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Cherish
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32 :
南健太郎
2009/09/28 01:04
昔、尊敬している先輩が居た。
敬愛しているが故に遠慮がちになりながらも俺は其の先輩に懐いて居て、時々無理を承知で御願い事をしたり相談話を持ち掛けたりして居た。
夏合宿の或る夜、先輩方の部屋に集まり皆で騒いだ後、起きていたのが俺と其の先輩の二人だけになった事が有った。
先輩は「こんな話を聞いたんだけど」と前置きをして、俺に関する噂話を聞かせてくれた。
「噂話は本人に“返してやる”のが俺の信条なんでね。」と最後に付け足された言葉に、益々尊敬の念を深くした。
噂話自体は大した内容では無く、事実関係を先輩に釈明して長い夜は御開きとなった。
俺より何ヶ月か先に産まれただけなのに、此の人の達観したものの見方はどうしてこうも俺と違うのか。
人は自分に無いものを求める生き物なんだと、欠けてしまった儘の内なる世界を改めて思い出す。
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