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拝啓、愛しのペリカンウナギ殿。
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跡部景吾
2008/02/09 01:17
ラルと舞部の俺様集会には結局顔出しすら出来なかった事が悔やまれるが、殿が本当に出席していたとは驚きだ。
行って来たっつうから何して来たよ、と尋ねたところ返って来たのは此の言葉。
# 「乙女」
…、…ああそうかよ気になるじゃねぇか畜生。
しかし心から楽しかったとの事、アイツに代わって礼を言わせて貰うぜ。
さて、近頃は関東でも積雪が見られて冬らしい景色を喜んでいたが。
明日もどうやら雪になるらしいとの予報、またしても屋内練習になりそうだな。
寒空の下での練習は真っ平だと部員共は口を揃えるが、俺様は開放感があって嫌いじゃねぇので少しばかり残念でもある。
勿論この寒さが好きだとは言い難いが、冬っつうものは寒くあって然るべきだとも思っているからだろう。
何よりも、冬は空が澄んでいる。
現国の授業で、「物語の主人公が悲しい気分の時に更に悲しくさせるのは晴天と雨天のどちらでしょう」と云う問いがあったが、俺個人に限った場合は迷う事無く雨天が答えになるぜ。
まァ言わずもがな、わざわざ聞いてくるっつう事は晴天が答えだと分かりきっていたからそれに従ったがな。
そんな風に何時だって、世の中の答えは見知らぬ誰かの常識でしか無ェ。
それに関連しての事だが、氷帝の中等部に上がった俺は国語の選択問題をほぼ初めて目にした。
ア~オの内この時の主人公の考えに適当なものを選びなさい、っつうよくあるタイプの問題だ。
実際に出題されたテクストを書いた本人がテストを受けてみたところ、燦々たる結果だったとか云う有名な話を聞いた事があったが、成程その意味が漸く理解出来た様な気がした。
「どれも有り得る、だから選べなかった」と言ったらしいが。
確かに塾や家庭教師が言う通り、こう云った選択問題にはテクニックがあるらしい。
しかし問題集や解説を見た限り、それがイコール読解力になるとは俺には頷けねぇのが現状だな。
まァ1人1人に書かせてその答案を採点となると採点者に対する教育が必要になったり、判断基準が曖昧になって結局公平じゃなかったりっつう事情がある事も理解はしているつもりだが。
分かってはいるつもりだが、そうやって全部を区切ってしまうのも余りにつまらねぇ篩じゃねぇかと思っちまう時がある。
感性だの、葛藤だの。
その手の問題じゃ測れねぇそれぞれの考えがあるとして、誰かの手によって用意された答え候補よりもっと筆者のイメージしたそれに近いモノを持っているヤツが、中には居るかも知れねぇからだ。
本なんざそれぞれが楽しんで読めればいいと思うんだがな。
大人の作った考えっつうお仕着せの服を着せられて既製品に仕立て上げられていく事が、其処まで重要だとも俺には思えねぇ。
何かに折り合いをつけていく事が大人になっていく事なんだろうと、俺は何処かで知っているんだがな。
今のこの時期はモラトリアムだ。
親の仕事を習う関係でまた海外に行く事になるかも知れねぇし、これから先の道は数えれば切りが無い。
それはそのまま可能性っつう言葉に置き換えられる筈だが、今の俺ではなくなる事をも意味している訳だ。
時折、ラケットを握り締めて考える。
俺は跡部景吾だ。
鏡に向かって言い聞かせるまでも無く、この地位に変わりは無ェ。
信念や執念や云々を口にする前に、自分の美学を損なうなら俺は自分を失う。
例えば人目だけを気にして善行を働くなら、ソイツは隠れてやる少々の悪事には手を染めちまうだろう。
俺には俺の美学がある。
常に俺は俺を見ている。
他の誰が見ているからでも無く、他の誰に言われたからでも無く、ただ自分が己の在るべき姿で生きて行こうとするからだ。
俺の主は俺様で、だから常にそのルールに従う。
これが美学だ。
それはつまり、人に許されたからと言って自分を甘やかしてもならねぇ事を意味する。
常に自分に対しては一番厳しくなければならねぇ。
だからこそ今この時期に、考える。
ノブレス・オブリージュ。
血筋では無く、行動で示さねぇとな。
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