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拝啓、愛しのペリカンウナギ殿。
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179 :
跡部景吾
2008/06/07 11:20
俺はアイツの友人で居たい。
何処で誰を抱こうが関係無ェ。再び誰かを愛せるならば全力でその幸福を応援してやりてェ。心から祝おう。
「それがお前の愛か?」
姫と出会って間も無い頃だった。「猫」にそう問われた事がある。
「下らねぇ」
「本当に好きなら、な。自分のものにならねぇ命を奪って引きずって来たその体を愛せば良い、慈しめば良いだろーが。」
「欲しいモノが奪われるのを指くわえて見てンじゃねぇ。」
「―甘ったるい事言ってンじゃねぇよ」
今の恋人が出来る迄は随分方々で遊んでいた男だった。俺も姫と知り合う迄純粋な「会話」ッつうものをした事が無ェ有り様だったンで、猫と連んでナンパに行った事も何度かある。舐めるのが下手なら容赦無く横っ面を叩く様な、最低な野郎だった。
俺と似ていると思っていたし猫もよくそう言っていた。「最低加減がソックリだ」と。
知り合って少しした頃、猫は今の恋人に巡り会った。控えめな女だ。三日三晩抱き壊して手に入れた女だ。
恋人同士になってからも不安だったのだろう。毎晩立てなくなる程抱く事が癖になっていた。
「お前が他の奴に行くならその前に壊してやる。」そんな風によく言い聞かせる猫に、恋人は何時も「どこにも行きません」とただ笑って首を横に振った。
もう4年になるか。未だに変わらず愛し合っている。変わった事があるとするならば、すっかり骨抜きにされた猫くらいだ。彼女サンは細やかな愛情と心遣いで少しずつ猫の心を溶かし、不安を砕いていった。「大丈夫ですよ、愛してますから。」その一言で猫の鋭さは幾分丸くなる様だった。
昨日、猫とメッセで話した。
「あの時はああ言ったけど。」
「お前の気持ち、分かるわ。」
「アイツが幸せになってくれるなら、俺も。」
「受け入れられると、思った。」
――彼女の幸せは御前の傍に在る事だろう?らしくねえ事言ってンなよ。
そう答えた俺に「昔から『らしくねえ』事言っちゃってンのはお前デショ」と猫は笑った。
幸せそうな姿に俺の心も少しだけ優しくなった。
姫にも会いたがってたぜ。何時か又皆で町に出よう。来年の春、神社で花見でもしようじゃねえの。
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