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拝啓、愛しのペリカンウナギ殿。
 ┗186

186 :跡部景吾
2008/06/10 04:15

初めてペンを執った時から、俺のインクはずっと此の色だ。此迄に書いた日記の凡てで一貫して此の色を選んでいる。

海の色だと姫が言ったからだ。

単なる蒼だと思っていたがアイツが信じるならそうなのだろう。アイツの視界には此が海の蒼に映ると言うなら、俺は其れで構わない。
俺の視界に映る物とアイツが捉える世界とは恐らくかなりの隔たりがあるのだろうと思うが、俺にとって其れは必ずしも共有しなければならねえ何かではない。時間と空間を共有する見知らぬ他人はたくさん居る。例えば学校で。例えば交差点で。
今日の夜空を眺めながら或る者は物悲しさを覚えるだろうし、己の喜びと共に此のグラデーションを彩る奴も居るだろう。まァ単に見ている奴の気分かも知れねえがな。
単純で嫌になるが、俺の眼が捉える世界は感情によって左右されがちだ。百聞は一見に如かずとはよく言ったものだが、其れを考えればおいそれと信用出来ねえ。
実際の所は気分が高まっている時程には世界は明るくはなく、落ちている時程悪い物でもねえと解っているんだがな。

―‥又話が飛んだ。
時間と空間を共にする奴が何人居ようと、其々が同じ世界を捉えてるッつうのは考え難い。同じ事を言ったりやったりしてみても評価は何時だって人によって様々だ。
俺と姫にも全く同じ事が言えて、「似ている」と言われた事もあるが感覚を丸ごと共有出来る事は殆ど無い。似ている様に見えるのは重なっている所が確かに存在しているからで、其れ故に違いが目につきやすくなる。何一つとして重ならない二者を普通、人は比べねえ。
俺はそんな違いも愉しんでいる心算だ。アイツの眼が捉える事象に興味がある。
どれ程多くの人が溢れていようと俺の愛する姫は世界中に唯一人で、絶対の特別だ。そんな相手が臨む景色を俺も覗いてみてェ。

文が何時も以上に乱れきっているが、要は――
――アイツにとって特別な何かを感じさせる物ならば、俺にとって他のありふれた物と同じだろうと矢張り「特別」な物に相違無いッつう事だ。

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