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拝啓、愛しのペリカンウナギ殿。
 ┗213

213 :跡部景吾
2008/06/27 09:41

誰かを羨むッつうのは、俺が最も苦手とする感情だ。だがそんな頃も確かに在った。
本人にも疾うに話した事なンで書いちまえば、俺は正直な所プラシシが羨ましかった。姫と俺がある程度の距離感に持っていく迄にはかなりの時間を要したが、プラシシは気付けば姫の中に存在していたからだ。其れは或る意味で俺が渇望した物かも知れなかった。常々日記を読んで興味を持っていたし、姫の愛犬には如何しても会いたかった。
プラシシと俺が初めて会ったのは夏祭りの頃だったんじゃねえだろうか。そうだとするなら、あれから二年を数える事になる。時が過ぎるのは本当に速ェ。

プラシシは本当に良い奴だった。初対面の時から姫を通してではなく、一個人として好感を持っていた。―‥斯う書くとプラシシの恋路を邪魔しかねねェから改めて言っておくが、俺と彼の間に疚しい事は微塵も存在しねえ。魅力的な男だから全力で応援してはいるが。
初めて会う時だったと思うが、姫からは「絶対手ェ出すなよ、お前」と胸倉を掴まれた。好意を持つならば先ずは交換日記から始める事と、心も体も傷を付けたら一生赦さねえと云う事も。そんな風に必死になるアイツを見たのは初めてだった。愛犬家と言うよりは寧ろ愛娘を初めて男と会わせる父親みてェだったし、其れ迄に聞いていた数々の事も含めて余程大事に思っているのだと更に関心を持っていた。
‥如何も俺が言うと下心が見え隠れするが本ッッッッッッ当に、純粋な興味だった。不純物は一切入らない混じりっ気無しの興味だった。

そして今、姫の事は抜きにしても俺はプラシシを個人的に好ましく思っている。凄い奴だと心底思う。愛犬家と愛犬。そう言いながら姫をあそこまで手懐ける辺り、猛獣使いの素質があると睨んでいる。嗚呼、勿論姫が猛獣な。
今は俺と姫が言葉を交わす事さえ稀だが、矢張り必ずプラシシの話題は上る。俺も姫も、彼の事が「大好、き、嫌いじゃねえよッ」だ。笑

俺達が何時も彼から癒やしや元気を受け取っているからには、彼が「しょんぼら」しちまいそうな時には構い倒してェものだ。元気だろうが性欲だろうが何だってやりてェ。

――姫の昔話シリーズで、アイツがプラシシと会ってから変わった話をしようと思っていた。然し筆を執ってみれば、まるで俺からプラシシに捧げる恋文の様じゃねェの。

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