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拝啓、愛しのペリカンウナギ殿。
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跡部景吾
2008/07/12 15:03
約束通りの、1ページ。
この間は短時間だったが、ポチと海岸で散歩して来た。
俺はまた明日から出掛けちまうから、それまでに会って置きたかった、っつう次第、で。
暑くなってきたが、夜だったせいか海には人気も無く穏やかな時間を過ごせたぜ。
しかし俺は、暑さに弱い。
だからカセットコンロと、冷凍の鍋焼きうどんを持参した。
何つうか、暑いからと冷たいモンを食うと。食い終わって暫くした後、余計に暑く感じられねぇか。
だからと言ってずっと冷たいモンを食い続ける訳にはいかねぇだろう、体に障る。
だから俺は、暑い時には更に暑くしたらいいんじゃねぇ?と思っている。
冬の毛皮を着込んで熱いうどんを食い終わる頃には地獄の様な暑さが自分の体を包むが、冷める頃には常温でもエデンだぜ。
ああ因みに、毛皮は持って行かなかった。
ポチには自前があるから良いんじゃねぇか、と。
とは言え真夏に近いあの夜にカセットコンロと鍋焼きうどんを囲んで談笑する俺達の姿は、恐らく。
もしも海岸に居た誰かに見られていたとしたなら、かなりの脅威だろうよ。
ポチとは相変らず色々な話を楽しんだが、砂浜から海と空を二人で眺めたりもした。
何時も思う事だが、夜の海は驚く程に暗い。
…暗い、と言うよりも寧ろ、黒い、に近い。
呑まれそうな黒が続く遠くに、…何処かの港なのだろうか、明かりが見えて凄ェ綺麗だ。
海岸は、思い出の多く詰まった場所。
偶には砂浜から貝を掘り起こすみてェに、その一つ一つに触れてみたりもする。
そうしてまた、大切なそれを砂の奥深くに戻す。
俺はきっと、これから先も。
そうやって、生きていくんだろう。
口には出さなかったが、そんな事を考えていた。
それから、空も海も、俺がどれ程遠くに行こうと。
必ず、繋がっているから。
だから、もしも寂しくなったなら。
空を見上げればいい、と言って聞かせた。
ポチが俺を想って空を見上げる時、きっと俺も何処かで空を見ている。
そのとき鼻を擽る香りがたとえ違ったとしても、風が運んでくれたらいい、と。
きっと俺は、願うだろうよ。
なァ、ポチ。
俺達も、もう二年の付き合いになるんだな。
その間にどれ程お前に助けられただろうか、ふと考える。
色んな事が、あったな。
何も俺が劇的な毎日を送っている訳でも、なく。
生きていれば、そりゃァ色々あるだろうよ。
町に来られる頻度も、お前に連絡を出来る頻度も。
昔とは、凄ェ変わっちまった、けれど。
お前が俺を呼ぶなら、きっと俺は、何時でも変わらない思いで振り返る。
友人想いで、気ー遣いーで、優しくて。
ポチがこんな俺と何故遊んでくれるのか、正直わかんねぇンだが。
お前が立ち止まりそうな時には一緒に立ち止まって考えて、また歩いていけるような。
いつまでも、そんな俺で在りたいと心から思うぜ。
俺も、…ポチが好きだぜ。
偶には、濁さずに口にする時があっても。
…ああ、いいんじゃねぇの。
大事な友人へ。
今日も、何時でも、俺はウゼェ位に元気だ。
だから不安になった時には、この文を読み返せよ。
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