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拝啓、愛しのペリカンウナギ殿。
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7 :跡部景吾
2007/06/17 16:04

今日の朝早く、鳳が猫を拾った。
「犬じゃねぇのか」と聞き返しちまった理由は明らかながらも定かじゃねぇが、兎に角猫を拾ったらしい。
電話越しにも動揺が伝わって来そうな相手をどうにか宥め、取り敢えず様子を見に行く事に。
まだ育ち切っていないソイツは成程愛らしかったが、放浪生活故か体の細さが気になった。
人に馴れていない様子から、恐らく迷い猫では無く元々の野良なンだろうと云う事位は理解出来る。
土産にとコンビニで買って来た軽食、取り出したビニール袋の音に怯えるソイツに、人間の身勝手を知ったが。
飼うのか、と尋ねれば勿論だ、と淀み無く答える後輩に、手短に必要な物や動物病院の場所なんかを伝えて其の場を後に。


どちらが幸せなのだろうか。
帰路ではぼんやりと考える。


自由を手にしながらも、毎日の食事にも事欠く猫。
満足な食事を与えられながらも、外の暮らしを満喫する事の出来ない猫。
幸せの価値観なんざそれぞれで、俺のやってる事なンざエゴ以外の何物でもねぇ。
アイツは、幸せになれるだろうか。
否、鳳は大事にするだろう。
其れにあの侭放って置かれたなら、生きては行けなかった筈。
しかし、人間の価値観に於いての話だ。
生よりも自由を上位の価値に置くヤツが居る事を、俺もよく分かっては居る。
思考を中断する、着信音。
機械的にメールを開いて。


>猫の名前、Himmelにしようと思うんです。
>梅雨が明けて元気になったら、青空の下で遊べるくらい元気になって欲しいですから。
>それでも戻ってきてくれたらいいなって思うんですけど。…どう思いますか、跡部さん。


ああ、…そうか。
元気で居ると、信じて居る。
何とは無しに空を仰いだ。

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