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拝啓、愛しのペリカンウナギ殿。
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84 :
跡部景吾
2007/11/16 13:55
風が、冬の匂いになって来たような気がする。
黄金色に輝く銀杏の葉が一斉に舞い散る様は、何処か春の桜を想わせた。
ただ俺に言わせりゃ、銀杏には秘密が無ェ。
安.吾や基.次郎に描かれる様な、陰鬱としたイメージが何処にも感じられねぇから。
安心して見て居られる様な、其れでいてかえって胸が騒ぐ様な。
不思議な心持ちだ。
車窓から見える木々の緑は段々と赤みを増していくのに、…俺は何かを変えられただろうか、と。
変わってしまえば懐古して、変われなければ其れを嘆く。
つくづく人間っつうのは不思議な生き物だ。
#恋は、罪悪だ。
#そして、神聖なものだよ。
桜の木を撫でる相手の指先ばかりを眺めていたら、幹を見つめた侭そう言うから。
ああ、其れは誰の言葉だったろうか、なんて。
俺も、ぼんやりと考え込んでいた。
度忘れしてしまった事への苛立ちは無く、単なる興味で。
#心は、何時も彼女の傍に。
#恋なんて、一種の信仰みたいなものかも知れない、
「こ.こ.ろ」、次ぐ言葉に導き出された答えを呟いて、
余りに言い得た其れに、小さく笑った。
そんな日を、思い出す。
桜には、やっぱり秘密があったよなァ、なんて。
ンな事をつらつら考えて居たら、悪戯を思い付いたみたいな顔してる、とジローに言われて。
…強ち外れでもないかもな、と。
頬を綻ばせた、穏やかな昼下がり。
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