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174 :
幸村精市
2007/12/30 20:26
あと、334回。
目前まで近付いた、崩せぬ筈の砦。
崩せぬからこそ目指していた。
そうすることで安堵したのだ。
しかし、それも後少しで手が届く。
残すはたったの333回。
最早崩すのは時間の問題。
俺はただひたすら、剣を振り下ろす。
足元に見える恐怖を振り払うために。
塔を斬り伏せ、更なる高みへ。
上から崩れ落ちた塔を見据える時
俺は一体、どんな顔をするのだろう。
あと、332回…―――。
**
あと、322回。
プツンと切れた糸は、もう戻せない。
白が黒を追い詰めた。
黒が四隅を取り、反撃を始める。
もう、止められない。
冷酷な、
手招く闇へ。
…あぁ、何だ。
こんなにも簡単な事を忘れていたのか。
白は黒に染められてしまえ。
***
あと272回。
もっと強く、もっと激しく。
大きな目標を掲げ、
手には大切な剣。
…大切にしていたはずの、ぼろぼろの剣。
侵略する黒、支配される白。
それでも掲げなければならない、目標。
内容はなんだった…?
***
あと219回。
答えが出ないまま、早くもここまで来てしまった。
つりそうな腕、投げ出してしまいそうになる剣を必死に握り、振るう。
…足下に広がる恐怖にも慣れてきた。
慣れは気のゆるみを引き起こす。
あぁ、もう________________。
…あと、たったの50回。
剣を折ってしまいたくなるよ。
嫌だよ、君が消えていくなんて。
君との歴史が、超えられるものになっていくなんて。
高い高い砦だったはずの瓦礫を足下に溜めて、
>どうしよう、もうほんの少ししかのこっていない。
そんな風に嘆く俺は誰より愚かだ。
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