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Lily.
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114 :
日吉若
2009/10/04 03:21
天使が遠くでラッパを吹く、其の時は、
(to you!)
# あの人の、彼を見詰める眸は棘の視線。
此の時期は何処も彼処も浮附いていて、落ち着かない。
「同じような毎日を」なんて歌詞にも定められてしまっているような自分達は、だからこそ誕生日だなんて云うものに過剰に反応してしまう。
だけどまあ、言ってしまえばこんなのは例年通りで、何も可笑しい話じゃない。――…可笑しいのは、相も変わらず充実した箱詰めの、つまり部室やコートで交わされる刺々しい視線の遣り取りで。
普段は周囲を忘れることなど無いくせに、其の瞬間ばかりは対戦相手も何もかも忘却した表情で互いの身体を射抜くのだ。
感附いた瞬間は本当に偶然で、部室の中で彼が放った一言に対してあの人が無言で差し向けた視線が、あんまりにも意識を反映したのが偶々視界に入ってきたのが初めだったと思う。
知らない方が良かったな、と、思いながら気附いてしまったらもう気に為って仕方無い。
部活終了後、去年には無かった筈の視線の鋭さ飛び交う中で。
盛り上げられる内輪の誕生会、もしかして自分等は無粋なんじゃなかろうかとの思考が顔を覗かせていながら、唯々気附いていない振りを決め込んだ。
前にも後にも進めない、そんな状況下なのだろうけども。
天使のラッパの音が世界に響き渡る其の時は、
きっと、あの人は彼の元へと走るのだ。
〔数センチの距離でも近く、君の傍に!〕
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