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Lily.
 ┗88

88 :日吉若
2009/01/12 06:36

誰にも解けないであろう
問い掛けを持った
俺の低い体温に
溶け込む答えをくれたひと。

〔 Honeycomb Opening 〕


本当に、随分と過去の話。
あの頃は今以上に(今だって相当、捻くれてはいるけれども)、世界には自分と、其れ以外のものしか居なかった。
何が欲しいかと言われたらば其れだけで胸が一杯で、何も欲しくならないのが常で、其の癖自分は酷く率直に「何が欲しい」かと訊いてしまうのだけれども、兎に角そんな性格を知らずに決して何が欲しいかと問わない人がいた。
代わりにしつこい位に、何か足りない物はと、今日の御機嫌はと問う人だった。其れ自体にも癒されて、結局は何も言えなくなってしまった訳だけど。何時も想像も出来ない贈り物をくれたから。
何時の間にか自分を傷付けない人なのだと、懐いてしまった。
既に、世界は表情を変えていたのに。

共に過ごす時間が増えれば増える程切なくなって、息苦しくって、きっと此の儘隣で眠ったら死んでしまうんだろうと思う夜が増えて増えて、頬の内側に流れる悲哀に耐えきれなくなった頃。

傷付けたかった訳じゃ無いんです。
唯、寝かし付けようとする仕草があんまりにも優しくて、…心を奪う貴方が憎かった。憎くて憎くて、終わりが見えないことにすら厭がって問いを投げた。そりゃあ、もう、見栄も意地も全部捨てて。そんな決死の覚悟にあっさりと答えをくれた貴方に、嗚呼もう一生勝てないよって降伏論。空気の冷たさに浸食され易い身体は、きっともう其の温かさを忘れない。

四角い箱庭で俺を育ててくれた、唯一の──…
【悪戯に傷付けたって其の綺麗な人は、優しく微笑んで有難うと言ったのだ。】

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