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睡蓮の記憶
 ┗259

259 :滝萩之介
2018/04/07 04:23

新年度になった。中3になってやっと中3なのだと感じる。

僕は相変わらず僕のままだけれど、小さな変化を感じながら過ごしている。テニス部の正レギュラーで、会計の仕事もしながら、ほんの少しだけ袖が短くなったようなブレザーに腕を通せば手首にぴったりと止めたカフスが覗く。
君の足取りはいつからかわからなくなってしまった。僕はわからないことが怖かった。なにも君のことだけじゃない。この世界の様々に対してそうだった。わからないことが怖かったから、本を沢山読んで、例えば小説から愛を学ぼうとしたり、例えば一般書から知識を学ぼうとしたりした。わかりたいからではなく、わからない恐怖を拭うためにだ。
そんな間に君はいつの間にか。…。

やっとわかったのは、世界の様々をすべて理解する必要はないってことだった。わからないことはわからないままでも大丈夫なんだって。
理解を諦めるのとは違って、わからないとしか表現できないものとわからない前提で付き合う方法もあるってこと…。
君のことは未だに僕はわからない。けれど、わからないなりに付き合うより良い方法がわかったよ。高校までにそれに気付けたのは大きい。
去年はそういう夏だった。

今年の夏はどうなるだろう。部室には大会の文字が早くも踊っている。正レギュラーの重さも、今になって感じる。ジャージの袖はシャツと同じでぴったりだから。
来年もテニスを続けるのか、やめるのか、それはまだわからない。だけど、せめて今は好きでいたい。僕には僕のテニスがあるって気付けてきたから。僕のやり方で僕の身体を使った、僕のプレイ。時々、咽につかえた罪悪感がそれに型を与えようとするけど、自分の気持ちを貫けた時は少しだけ…少しだけ、罪悪感も晴れる。自分のためにテニスをしたいと思える時。汗をかくっていうのは、意外とそういうことなのかもしれない。だから、今はテニスが好きだと…言うよ。

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