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跡部と手塚が、
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4 :
手塚国光
2008/09/12 14:33
観覧車が一周する迄に、終わらせられるだろうか。
そんな宜しく無い思いを馳せながら昨晩、恋人と遊園地へ行って来た。
二枚のチケットを買い其の姿を待って居る間も正直な話、口説き伏せ抑え付け、服を脱がせて黙らせる迄をどれだけ迅速に行うかが勝負なのではないか…と、声に出してしまって居れば、聞いて居た誰かが代わりに頭を抱えて遣りたく為る様な事を考えて居た。
人波の中に見つけた私服の恋人はひと際綺麗で直ぐにでも抱き寄せたかったが、如何にも恋人の様子が可笑しくて出来なかった。
後に其の態度が恥ずかしさから来る物で在ると知る事と為った訳だが、俺の無自覚で暫く彼奴の唇は尖った侭だった。
(余談では在るが、俺は以前、恋人の部屋で恋人に襲い掛かった事が在る。ソファから引き摺り落とし、上に乗って遣った。最終的には未遂であったし、俺の理性がはらはらと風に飛ばされてしまった所為で余裕の欠片も無い、乱暴な俺の一面を見せてしまうだけに留まった。)
そんな恋人との距離を詰め何食わぬ顔で、やれライトアップされてイルミネーションが云々と話す俺は宛らハ/リウ/ッド級の役者だったに違いない。
恋人は素直に聞いて居た。
いざゴンドラに乗り込み地上から離れてみれば、其れがほんの僅かな高さでも其れなりに綺麗だった……気がする。
二人の空間に為るが否や、恋人が身を寄せて来て、堪らず口付け抱き締めて居たので夜景を拝む余裕は無かった。
人が四人も入れば一杯で、其れも座って居ての話である、上半分がトランスペアレントの様に為った不安定なゴンドラの中。
外部から見られて居るのでは無いのか、と可愛い言い訳をして彼奴は俺を拒むに違いない。
揺れるだろう、危ない、と俺を諌めるに違いない。
其れを諭してあやして、其の奥に此の熱を埋めたら…、気持ちが良いに違いない。
最も高い位置に迄到達したら、口付けて舌を掬って遣ればきっと喜ぶ。
ゴンドラが地上に着く迄は、俺と彼奴の切り取られた時間だ。邪魔はされない。
余韻に浸る暇は無いが、恋人の乱れた衣服を整えて髪を梳いて遣ろう。
其れで彼奴は満足する筈だ。
惜しい事をした。
また誘おう。
次こそは其の狭い空間を、切ない声で満たして遣る。
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