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Mr.Shangri-La
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9 :
忍足侑士
2008/10/09 03:06
Mr.シャングリ・ラ
>お嬢さん――…
>>どうか、振り払わないで。
重症。アイタタ。自分が思うてたより症状はきっと、末期で。魔法を用いたというのに改善されない。ふわふわ包まれる様な、甘く温かいホットココアの魔法。知っとった?甘くて温かいもんは魔法で出来とるんよ。飴細工みたいに脆くて綺麗な魔法で。普段は甘苦い方が好きやけど、今みたいなときは馬鹿みたいに甘ったるいぐらいが丁度ええん。俺の強い強い味方。隙間を埋める大事なもんを恋人、と定義するとすれば、其れは俺の立派な恋人で。せやから、俺には沢山の恋人がおる。上に書いた通り、ホットココアも俺の恋人やし、餡まんも俺の恋人。それに食い物だけやなくて柔らかな、囁く様に溶ける歌声の音楽も俺の恋人で、温かく肌を包み込む、バスタブの湯も俺の恋人。包まれて、揺れて心地がええ。海から生まれた生命やから水の中にいると安心するんや、と勝手に思うてみたり。人は誰しも空を飼っとると同時に海を飼っているんを知っとるやろか。涙、しょっぱいやろ。其れって海の名残なんやて。海から生まれてきた俺らの、海に対する郷愁。身の内に小っちゃな海を抱えて、生命の源を恋しく思う俺らの。
それに、バスタブの湯がひとしおに恋しいんは其れだけやないん。生まれてくる前は羊水の中で安寧を貪っていたから。まるで、誰かの腕の内に抱かれている気分で安心するんよ。人肌、は気持ちええやろう。温かくて幸福感を分け与えてくれて。だけど何よりも温かくて、きっと哀しくなる。溶け合えないことに。
(08.10.09)
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