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別冊・特別強化乾汁ノート
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9 :
海堂薫
2008/11/23 17:31
ちょっと前のことだけど。
母さんとかとデパート行って、そんでコート買うことになった。
俺は正直着るものとか全然よくわかんねぇし、
コートなんてある程度あったかければ問題ねぇくらいには思ってんだけど、
どうもそう単純なもんでもねぇらしい。
やれ色がどうだ丈がどうだ仕立てがどうだってすげぇ歩きまくって、
結局母さんが選んだのは、デパートの一番奥のこじんまりした店に置いてあった一着。
黒くって、ボタンがいくつもついた、どっかで見たようなPコートだった。
てめぇ何考えてそのチョイスだこの野郎、とか、
んなもん着れるわけねぇだろ恥ずかしい、とか、
言いたいことならたくさんあったけど、もちろん母さん相手にそんなこと言えるわけもなく、
焦りに焦った俺は、適当にその辺にかけてあったコートを手に取って、
俺はこっちが欲しいんだと、言ってしまったのだった。
母さんは喜んだ。
俺がとうとう洋服に目覚めたんだと、そう思ったらしい。
なりゆきで俺のものになってしまったコートは、
黒くって、フードがついてて、あとなんか毛っぽいのがついてて、
とびきりにあたたかく、
これはこれでいいかと、俺はすぐに納得した。
悪くねぇと、思う。
黒いけど、まぁ、違うし。
おそろいじゃねぇし。
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こないだ、先輩がうちに遊びに来た。
コートを見せたら、なんかいろいろ見たあげく、
おそろいだなと言いはりやがった。
とんでもねぇ眼鏡だと思った。
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