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智慧者猫のエトワール
 ┗40

40 :柳蓮二
2010/06/08 22:22

滲む視界、
不明瞭な世界で、

朧に見えかけていた姿に手を延ばす。




つと手を伸ばして、

そこにあると、
届く距離だと思っていたその背中に手が届かなかったとき。

宙をかくその手に。

なににも触れなかったそのてのひらに。

腕から這い上がってくる得体の知れないもの。
背を這い回る寒気。
胸を塞ぐ暗いもの。
足元から纏わりつくような虚無感。


そんなものに、

俺は とてつもなく戦慄する。



胸をふさぐものはやがて喉をとおり額に集まって、両の眼から雫となって頬を伝う。




>(いなくならないで、)
それが、俺が受けるべき断罪でも。

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