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ふたりでできるもん侍
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266 :
千石清純
2010/05/23 23:52
触れたい。
握手するフリをして指を絡めたりしたあの頃から、もうそろそろ2年が経つというのに、相も変わらず触れたくて仕方ない。
絡めた指にちゃちなリングの感触が加わったり、いきなり抱き締めたり膝に乗せても怪訝な顔をしなくなったりと小さな変化はあるけれど、
触れ合うだけでたまらない気持ちになるのは今も変わらず。
抱き寄せると、いつもはほんの僅かだけ上にある頭が、いつの間にか俺の肩先を定位置に決めて躊躇せずに体重を預けてくるとか。
背に回した腕が一番しっくりとくる角度と位置を覚えていて、意識せずとも隙間なく密着し支えることが出来るようになったとか。
そんなささやかな積み重ねが嬉しくて、頬が緩んでしまう。
俺の顔がいつもだらしないのは、君の責任でもあると思うんだ。
でも、手を繋ぐだけじゃ抱き締めるだけじゃ我慢出来ない。
俺のカラーで痛んだ髪とは違う、艶のある綺麗な髪に、その下に隠された頭皮に指先を這わせる。
髪の生え際から耳の後ろの薄い皮膚に頬に顎下にと、滑らせる。
ゆっくりと優しく、決して爪先を立てないよう指の腹でくるくると。
温度の違う皮膚同士が、擦れ合っていくうちに熱を分け合って同じ暖かさになっていく。
くっついて、別々だったものが一緒になっていくのは気持ちいい。
いつもは強い光を放つ瞳がうっとりと細められるのが嬉しくて、もっと側で眺めたくてギリギリまで顔を寄せる。
この距離で君を見つめられるのは、俺だけ。
指だけじゃ足りなくて、もっと近付きたくて鼻先を擦り合わせる。
俺よりも少し高いところがちょっとばかり癪に触るけど、至近距離で重なる視線に囚われてそんな事すぐにどうでもよくなってしまう。
くすぐったい鼻先だけじゃまだ物足りない。
こつりと合わせた額で、もっと広い面積の頬で、触れ合って感触を体温を確かめる。
こんな時、大抵君は笑ってるから、嬉しくて俺の口元も緩まずにはいられない。
君への愛しさでだらしなく緩んだ唇で、額に目蓋に鼻先に頬にと、指先よりも柔らかな感触を落としていく。
じゃれるのが楽しいのもあるけど、する場所はそこじゃねえだろって、開かれる唇を待ってたりするのもあるから。
俺は大雑把なO型だけど、指先とか唇とかは結構器用だ。
全身で触れられてない場所はもう残ってない、と言う君なら気付いてると思うけど。
君の見えない場所のことまで知ってるもんね。
でもそれは君だって同じでしょ。
俺の10本の指も掌の感触も、全部知ってるよね。
関節の太さとかそれぞれの指の長さとか、爪の生え具合とかマメの位置とか、指輪の感触とか。
どっちが上唇でどっちが下唇かとか。
見ないでも身を以て覚えてるんじゃない?
指の届かない場所でも、俺の形知ってるでしょ。いろんな角度でさ。
君が覚えてるかどうか、当てっこしようよ。
愛情たっぷりに、出題するからさ。
だから早く、触れって言ってよ。朝起きて一番にね。
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