もしもの話。
ローレンのやわっこくてまぁるい恋文の後に書くことではないのかも知れんけど。急に書きたくなったこと、そして聞いてみたくなったことがあってさ。
Q.もしもある日、自分だけが五感を奪われるとして。ひとつだけ五感を残せるなら、なにを残す?
聴覚、視覚、触覚、味覚、嗅覚……。
ちなみにこの並び、人間が忘れて行くとされている五感で得た情報の忘れやすさの順番でもあるんだけどさ。
それでも、僕は視覚を残したいという結論に至りました。
記憶力には自信があるしねえ。それをなにで記憶しているかなって考えた時、圧倒的に視覚情報が多いなと感じたから。綺麗だった景色も美味しかった物も忘れがちだけど、貰った言葉や表情はよく覚えてる。
ローレンの声が聴けなくなるのは寂しいけど、言葉は紙や画面越しに得られるし。
触れた時の温もりや感触がわからなくなるのも、もちろん寂しいんだけど、それだけではきっと不安になる。
舌でお前の存在を味わえないのも、僕らからしたら致命的な繋がりの欠如に思えるけど。でも、これだけになったらそれもちょっと違って。
寝つく時の安心する匂い、同じシャンプーの匂い。お前の匂いを感じられなくなるのだって寂しいけど、それだけだと見失ってしまいそうだし。
だから、やっぱり。僕は残すなら視覚を残したい。
見せてくれる表情をぜんぶ見詰めていたい。見送りたいし、出迎えたい。お前の言葉を目を通してだって摂取したい。同じ景色を見て行きたい。
なによりお前と、目と目を合わせて生きていきたいなあ。
ローレンなら、なにを残すのかな。
他の人なら、なにを残したいんだろう。
唯一残したいくらい大切にしたいものは人それぞれだから、いろんな答えが出そう。そんなもしもの話に思い馳せるお昼時でした。
関心がない、なんて言いながら決してローレンは冷たくはない。
僕の見るものに対しては比較的興味を持つし、手を伸ばしてもみる。大事にしたい子達を一緒に、大事にしようともしてくれる。
そんな子ですよ。なんて、呟いてみる。