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543.花鳥雲月
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21 :
D・スペード
2012/08/21(火)04:14
不可思議な気分だ。
何と無く眠れず誰かの声を聞きたくて堪らない。
しかし聞ける声の相手など居ないもので、プリーモやら其の取り巻きに電話をかけるのは私の矜持が許しませんし愛しい恋人は夢の中。眠りを妨げでもすれば腹部に一発攻撃を喰らい兼ねないのは明らか。
嗚呼、何だか昔の弱さが再び身に付いてしまったかの様。
一昔前までの私は恋人の声を聞きながらでなければ眠れぬ惰弱さを持ち合わせていました。
恋をすると弱くなる。此の弱さが貴方へ堕ちた証だと謂うのならば其れもまた一興でしょうが。
私は一人を好みます。
一人でもある程度の事は出来て楽しめてしまう分、他人と過ごしたいという欲は昔から余り無い筈。
ですが時折無性に人恋しくて堪らなくなる時も有りまして。
人、否…恋人恋しい。
ヌフフ、私も堕ちたものです。
こう眠れぬ夜は熱い紅茶を飲むに限る。余計眠れなくなるものの、紅茶の香りと温かさが不安も寂寥も掻き消してくれる。
私の行き着く先は何色なのでしょうね。
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