天邪鬼の青い春。


登場人物
→謙也さん
俺の大事な俺だけのあほ。
→千歳先輩
謙也さんの元恋人。永遠のライバル。
→切原
謙也さんと俺のダチ
→他数名

閲覧自己責任。

謙也さんとするセックスは
めっちゃ気持ち良え。

…未だに不意に思い起こしてあれは夢やったんちゃうかて妙な感覚になる。
寝とって、隣に気配感じて目覚ましたら俺の布団ん中に謙也さんが居って。は、え…て驚いたんと可愛え事しとるなんやこいつて感覚だけ確かに感じたんに睡魔に勝てんと意識手放したら次見た時には隣に居らんかった。

朝それと無く聞いたら狭いから自分の布団戻ったて言うとったから現実に居ったんやろうけど、一言良えですか。

朝こそ隣居るべきやろ。
そんだけや。

>「なんで俺がこそこそせなあかんねん」


そう言うた謙也さんの気持ちは分かる。別にこそこそせんで良えですし誰に何をしてやるのかも謙也さんの自由や。やから俺は隠しといてくれて言いたい訳やなく、それをする事で俺が嫌がるかもて考えてくれんかったんやろかてそこがネックで不満やったんや。自分勝手な論理で言わせて貰えば、それは謙也さんがどうしてもせなアカン事や無いんに俺が嫌がるやろなて理解しながら引き受ける。その行為が自分を蔑ろにされてるて感じて嫌やったっちゅー話です。デリカシー無いて責めはしたけど要はあんたが悪い訳でも無い。単純に俺が嫌やったから不満なだけや。

勿論、逆に普段あんたが俺を大事にしてくれとるのは感じとる。やから不満だけやない。月末の事かてしゃあない事なのは理解しとるけど不満……ちゅうよりかはただ寂しいだけなんで、怒れもせんし怒る権利があるのかどうかすら疑問に思っとります。もし俺にそんな権利が無いんやったら無いてきっぱり言うて良えです。俺も萎れるだけ萎れたらどうにかなるんで、一週間は、まぁ、機嫌でも取ってくれたらそれで。

(何しとんねん謙也さんて顔)

何時もの事やけど何処まで言うて良えのか、境界は手探り。謙也さんが自由にする権利を思えば好きにして良えんやと思う気持ちと、俺が嫌がるの分かってても行って、それから毎日普通の顔で俺と接するんですかて理不尽に責めてまいそうな気持ちを綯い交ぜに抱えとる。
そんなんは表現一つ、捉え方一つでどうにでも変わるんに。不器用な言い方で不満を訴えて、その訴えをスルリと飲まれた事でまた余計に自分の無価値を疑う悪循環。俺が空回りしてるだけ。

何が悪いて事はない。ただ俺も感情のある人間で、見たくないものには蓋をしたい。例え幼稚な表現でもこんなんする程嫌なんやて、我を通して訴えようかなて思っとります。普段そんなに我儘言うとらんつもりやから、一つの事にだけどうしようも無くなる事を許して貰えんやろか。エゴをぶつけてまうんは堪忍。そんでも無理して送り出せはせぇへんのや。

…これでもあんたより年下なんで、冷静ぶっとってもブレる時はブレてまう。平気やていつも言うん、あれ嘘なんですわ。
あんたの当たり前の権利に口出して堪忍。あんたを責めとるんやありません、ただの自己嫌悪や。寝ます。

夕飯並んで食って仲直りしたろ思っとったんに。
謙也さんのドアホ。

謙也さんと切原らとパーティーゲームん中入っとる相性診断みたいのしとって思い出した。
こんゲーム、前にも同じ様な面子で二回した事があって。過去の記録も残っとった。今まででいっちゃん相性悪かったんは謙也さんと千歳先輩で、たかがゲームやけどざまぁて思っとったんスわ。

勿論そん後俺と謙也さんも相性診断した。謙也さんは絶対覚えてへんて言い切ったりますけど、そん時相性度の最高点マークしたん俺とあんたなんやで。俺はそれが地味に嬉しくて。そん時謙也さんの恋人やった千歳先輩よりただの後輩の俺との方が相性良えんやて妙な誇らしさみたいなん覚えたんや。俺は、な。
相手変えて一通りの組み合わせ回しとったから誰と誰が何点やったかなんて覚えてへんのはしゃあないとして。一位の記録に残っとる点見て「これ誰と誰やっけ」て平然と抜かしとる言葉に「さぁ？」て返しながらこのボンクラしねて思っとりました。安定のデリカシーの無さ。今さっきやったんやろ、覚えとけ。俺の事アウトオブ眼中過ぎるんちゃうか。


て、当時の自分が腹立てとった事を昨日思い出したっちゅー。
それに加えて、昨日のプレイでその一位やった記録は塗り変わってしもた。なんでか俺と、切原の恋人が相性抜群らしいで。組み合わせが笑うとこやな。

…あーぁ、謙也さん覚えとらんでも一位は一位として残ってたんに。ほんの少しだけ勿体無いっスわー。………。

謙也さんと花火見に行って来た。
去年も一緒に行った大きなモンで。迫力も規模も凄いモンや。打ち上がる光の花に目は奪われながら、俺は去年と今の違いやのを思い返して考えとりました。

去年の花火を見た時はあんたは千歳先輩のモンで。俺だけがあんたの事気にしてあれやこれやしたくて見とるんに、勿論気付きもせん謙也さんは無防備にシートに寝っころがって阿呆面晒しとりました。写真は撮っとったみたいやけどどうせ此処に居らんあの人に送るんやろうて予想はついて、複雑な思い抱えてたんを覚えとる。謙也さんが言うから態々買った浴衣なん着とったのも懐かしい。

せやけど今年はちゃう。
あんたは俺のモンで。俺の隣で花火を見とる。

素直や無い俺は言わんかっただけで幸せ噛み締めとった。花火の前後かて柄や無いんにあんたに構いたくて構われたくて、目も手も隙を窺っとるんに出さずして終わるばっかで。そこんとこまだまだ踏み込みが足らんのでしょうね。

そういや花火ん日も感じとったけど、俺とあんたて他カップルの惚気はめっちゃ聞いとるんに関係性と建前やらの都合のせいで自分らの事は話せるとこあらへんのが地味に不満や。阿呆の謙也さんは他所の人間の事可愛えやの何やの褒めとるばっかで、あの口から俺のことが好きだの、そういう惚気か自慢かを他人にしとる所が見てみたいもんや。…地味に俺も他人に阿呆の話がしたい。

いつか機会作る。
ほんで来年もまた花火は見に行って、今年出来んかった事を成し遂げて変化をまた記録したい。