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スレ一覧
1065.ラストノートがわからない
 ┗23

23 :タルタリヤ
2023/11/28(火) 13:19

🐋🏹褪せる前に塗り潰せ

>>21 プチ旅・続
所謂甘い夜「公子」の務めが済んだ後の魂は鍾離先生に売り払う契約を結んでいる以上、執行官として大分アレでも本名も教えている。乱用しないでとは常々言っているんだけど愛おしさが一定数を越えてしまうと呼びがちになるらしく、閨で乱用するのは流石にずるいの度を超えていると思う。……甘やかしが原因なのは棚上げする。
示しあわさずとも二人こっそり「支度」をしてあわよくばの蜜月めいた夜を期待していた。真っ直ぐ目を見て、■■そうになる度必ず口に出す代わりに他の声は抑えろ、と命じられるだけでぞくぞくと下腹が締め付けられる。
獣の目をした先生を前にするとその先の”ご褒美”や俺だけの特別を知っている分逆らえない。もっと俺にその余裕を剥がさせて、そして見せつけて。戦場でしか得られなかった昂りを何処まで上書き出来るのか、俺はその獣性が一番欲しい。
契約が正式に達成された暁には数日や数週間に渡って情交に及ぶ時もあるかもしれないと告げた上でお湯と先生ので、……身篭ったみたいに膨れて苦しいのに、暗示のような言葉回しで一層従順になる事で”鍾離先生の良い番”になりたくて、心象風景の内海に植え付けられて転がる大きな石珀を我が子みたいに扱ってしまう……なんて、夏の頃の俺に言ったら鼻で笑われてしまうけど今はそれが俺の幸せに埋め込まれている。
「俺の意地悪と触り方を覚えて夢中になる練習」なんて殺し文句が言えるあんただから、俺からも事後の朝に挑発したくなるんだよ。

翌朝、望舒旅館の七星御用達の部屋から見る璃月の景色と遠く見える雪山、すぐ隣で俺に甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるかわいい先生と食べる湯豆腐膳はそれはもう絶品だった。テイワット東側特有の「旨味」にもだいぶ慣れたんだよね。
俺達はそれなりに食に拘る部類だ。だからこそ値段に差をつけず時間がある時は食事を家でとるようにしては来たけど……まさかお櫃ご飯ごとおかわりする羽目になるとは。まぁまぁでかいサイズなのに。鍾離先生、お櫃買うってよ。
曰く、夜より朝を共に食べる方が特別に感じるらしい。朝食は共に夜を過ごし朝を迎えるか朝一番に会いに行こうと思わなければ分かち合えず、友人同士という関係でもなく互いの好意があって成り立つ貴重な時間と見なしているとか。
俺達は普段朝の時間が合わないしなんなら夜も同じ帰路には着きづらいけど、それでも逢いたがって夕方には互いの職場の窓から顔を出して晩酌も時々行う。
……成程。長く生きすぎた生き物は反響する存在が欲しくて、加えて家族という群れに憧れを抱いていたなら大凡に合点が行く。屋根の下に誰かを居させて、最後におやすみを告げられる誰かの為の権利。
愛おしい迄に揺らいで龍に戻りすぎてしまう激情の理由と今日共に嗅いだ愛おしさの種類を覚えていられるなら、ヒトに永い時を得させた共犯者つがいに屋根をあげよう。「いただきます」の理由も教えないとだし。
──だから、鍾離先生。どうかこのまま二人きりで愛させて。二人他所の国に旅に出て、冥府に行けない世界の果てで座を踏みつける瞬間も、契約書を持ち続けているからさ。
今回の旅行で交換した愛情と三枚の写真も先生に沿う慈しみになればいい。個人的には飲み食いはいつ何処で誰とするのかが大事、と先生の言う価値観がもう少し分かった外泊デートでもあった。
愛してる。また一緒に何処かへ行こうね。


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21 :タルタリヤ
2023/11/21(火) 22:11

  • 🐋🏹真紅と桃が似合う日を待って

    諸々で長くなりそうだから今の内に分割で一泊二日デートの記録をつけておこうと思う。
    前に書いた通り俺は先生が欠かせない、と言っていた朝の散歩の日課を結果として奪ってしまっているのが気がかりで本人の意思で俺との時間を作ろうとしてくれていると分かっていても…の気持ちがある。だったらその習慣に俺もたまに混ぜてもらう形にすればいいんじゃないか、と思ったのがデートの切欠だった。
    主目的は荻花州でこの時期に咲く花の種類を教えて貰いながらのんびり山歩き、夜は鍾離先生おすすめの隠れ夜景スポット明蘊町でお月見からの望舒旅館にのんびり宿泊──となんとも平和ボケしたもの。建前上は外交官殿に観光案内らしい。
    二人それぞれの洞天いえで眠って璃月港の外で待ち合わせ、じゃなく石門の茶屋で待ち合わせようと言ってくれたのは先生のアイデア。二人で見る前に一人で今日の予定になる景色を見て、きっと変わる色合いを楽しもうなんて穏やかに笑いながら言われたら”ときめく”に決まってるってば。
    俺が切欠を出した後先生が肉付けをしてくれるのは勝手に俺達のあるあるだと認識しているとはいえデートにも通じると思わなくて実はニヤついてしまった。初デートの時も夜泊石のものにしたけど、ピアスだけ変えてアピールしたくなるのは先生に意識して欲しいから…で、それが今回も通じたらしい。
    温かいお茶をのんびりと最初に嗜む先生の目線が愛おしさを隠しきれなくて、それが嬉しい。鍾離先生に以前スメールの出張土産で贈った海色のオイルと金箔を注いだ硝子玉の簪(この日も付けて来てくれた!)とこっそり揃いで作った石珀色のオイルを使ったピアス、絶対にこの先も大事にしよう…。

    軽策荘でなら璃月の冬に咲く代表的な花──雪中四花の内二つなら咲いている筈、これから先生と確かめながら歩めるんだって思うと何だか楽しくなっちゃって途中から岩を降りる為に広げた風の翼は勿論璃月柄!
    ここでも先生に不意のときめきを与えられたみたいで、「きっと貴殿が思っている以上に俺は公子殿に弱いんだ」って言わせる事が出来てとってもいい気分!…一本取れた意味でも、恋人としての単純な嬉しさでも。胸がとくとく鳴るのはあんただけじゃないんだよ。
    雪中四花の内見つけられたのは早咲きの蝋梅(名前を教えてもらった!)と帰り道の山茶花(璃月語では茶梅、椿は山茶と言うらしい)。でも甘い匂いで引き付けておいて神経毒のある蝋梅が俺に似てるってどういう事……?
    軽策荘の簡単な歴史解説やら観光地になりきれなくても心血を注ぐ住民への敬意に飽き足らず花の知識も話す先生はとっても楽しそうで、出してくれた軽食を一緒に食べながら聞くのも吝かじゃなかったのに観光ガイドとデートのエスコートは勝手が違うと申し訳なさげに照れる姿が可愛くて。
    話してくれる内容の豊富さも表情の変わり方も普段とはまた違って、あぁこんな所にも魅力はあったのかってずっと俺は惹かれてた。難攻不落、揺らぐこと無しの鍾離先生のちょっとした綻び。きっと俺だけが撫でさせて貰えるあの生き物の弱いとこ。
    その揺らぎが愛おしくて大切で初めて撮ったツーショットで俺達は互いがどれだけ気を抜いているのか思い知る羽目になった。山茶花を飾りあってみる戯れに勤しむ表情は間が抜けていたり子供っぽかったり……でも、それでいい。それがいいんだよ、鍾離先生。
    楽観的に恋をして、何処よりも暖かい影の下で楽しく秘密を抱えていよう。明かした腹の中に境から外れた幸福を詰め合えるなら理想に他ならない。「慈しみ」を持って「ひたむきな愛」を俺達なりに進めていこう。
    ……もう少し書くつもりが長いと怒られてしまった。これでも削ったのに。続きはまた近々。