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┗1065.ラストノートがわからない(51-55/188)
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55 :
タルタリヤ
2024/02/18(日) 00:28
🐋🏹海に灯した黄金を
戦士として成長すること、人間として歳をとり老いること、恋心が膨らむこと。どれも見守っていたいものの、その時がきたら緩く手に持ち見守るだけでいいと地に足をつけて、友と茶を飲む一時を果たせなかった茶机を借りて二人それぞれ作った凧を上げながら、先生はまた少し寂しそうに笑った。
俺自身はと言うと長生きして一分一秒でも戦渦の中心で居たい気持ちも、逆らえない老いで正しく鍾離先生を捉えられない日が来るのを嫌がる気持ちもある。人間として朽ちる代価を気にし出したのは先生と過ごし始めてからだ。
吉兆の象徴の蝙蝠型に璃月の意匠やおめでたい色味の絵付けをした凧と、大小様々な黄色と橙色を飲み込んで自由に空を泳ぐ鯨の凧。
釣糸とも違うから始めは悪戦苦闘して、先に空を泳いでさっさと上がってしまう先生の凧との距離が悔しくて足掻いてもどうしようも無いとは思っても一枚だけ上がるのは許せなかった。
それでも上がった切欠なんて実際は嘘みたいに単純で、不意に訪れた強風で鯨凧は簡単に舞い上がって操縦性を俺に預けながら蝙蝠凧に並んだ。キスの済んだ距離間で先生が嬉しそうに、人間みたいに愛情を噛み締めた笑顔で告げる。
俺がいずれ朽ちてしまう人間だから、のんびりするのを止めて恋に向き合うと覚悟を決めた結果運命に任せて転生を待たずに急いて魂を回収してしまう算段を付けさせた事実。そんな事実はあれど今は隣で笑い合っていたいらしい。
前提を踏まえた海灯祭。
海灯祭で璃月テイストの服に小物でプラスアルファをして俺は付け毛まで使った髪を互いに編み込んで互いの色で飾り付けて、今日ばかりは恋人と勘ぐられても構わないと二人で少し変化した心を携えて璃月港を歩く。獣舞劇体験では先生と擬似的とはいえ殺気ばりばりの手合わせも出来た!
中原のもつ焼きの塩味と辛味噌味、翠玉福袋、下水湯(七味三振り胡椒一振り)、苺飴串、一口油淋鶏、ビール、璃月式フランクフルト。二人で分けて食べ歩いたり炉端の段差にしゃがんで食べたもの。
色ガラスに龍の刻印が裏に入ったもの、黒く塗られた陶器に金継ぎされて椿が咲いたものとで俺達二人だけが開けられる二つの宝箱も買った。この生き物は嘗てモラを建材にしていてものの価値も正しく理解しておいて、一個人が手に入れた金銭的価値の無い「宝物」を入れてきた「宝箱」は持ったことがなかったらしい。
…そのあどけないような横顔こそ宝箱に詰められたらどれだけ良かっただろう。凡人ごっこと自分でわかっておいてやれてない事が多すぎて勿体ないと度々思う。
自分だけの特別は幾らでも抱いていいし、民に対して導きの目を必ず向ける必要はもうないんだ。俺はただ、長い余生で失わない輝きを掌で転がして歩き続ける先生が見たい。……あわよくば、俺が隣に。
先生が線を描いて俺が色を塗って、人混みから抜けた穴場で二人で願いを空へ掲げる。俺にとって願いは自力で叶えるものだからこれは宣言の類。
世界踏破も好きな人達と思いが通じ合えるのも、みんな俺自身が足掻いて手に掴むもの。戻そうと思えば戻せるのが先生のズルだけど、そうすること無く二人並んで他の霄灯と混ざって消えていくまでを見守った。写真も撮ったしね。
写真を整理して二人の思い出を挟む為の一冊に今日だけで沢山増えたと一人にやけて、そんな俺を見て先生もくっついて笑うんだ。
俺の中で輝き続ける黄金であり傲慢に絡みつく龍でありたいと言ってくれた先生の恋心に水を滴らせ続けて、誰も居なかった俺の内海で幾らでも撫でて抱きしめて、恋人と銘打たれた瞬間ときめいて湧いて止まない鍾離先生に愛を込めて指を突き立てる。
その距離は俺自身も戦場から外れた先で縫い止められる事になる、それでもいいと思ったのは殉じる刃を鈍にさせず家族を大切にしてくれと願われたからだ。
思い思われ、流れ着く先に互いが居る。この愛情が続けばいいと深く深く蕩けるばかりの先生の奥に刻みながら切に願った。
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54 :
リオセスリ
2024/02/14(水) 23:14
🐺⛓️恋慕六粒
海灯祭の事を書き終え次第埋めるバレンタインの話。所謂のちへんってやつだ。
あぁだが、ヌヴィレットさんから「大事に大事に頂こう」を貰った事だけはリアルタイムで書いておかねぇと。あの人からは何を貰えるのやら。
配送に手違いがあって少しばかり遅れちまったが無事にヌヴィレットさんとはバレンタインの交換っつーのが出来た。
メロピデ要塞で取り寄せられるものは一つ単位だと中々面倒でね。何かあれば携帯型マシナリー端末で俺に連絡してくれと看護師長に頼んで、ちょいと水の上まで出張して手に入れた、この時期でのみお目見えする俺も気に入りの青に水色、青みがかった白でそれぞれコーティングされたハート型のチョコレート。スパイスやナッツ、はたまた酸味が効いたもの……色んな水を嗜むヌヴィレットさんならこんな風味も楽しんでくれると思ってね。
半分は俺の趣味もあるが、何よりこの色味はあんたにこそ渡したかった。形の露骨さも折角俺のコイビトに渡すならこれくらい気取らなきゃ天然なあの人には通じないかもしれねぇだろ?このくらいあからさまにする度に楽しそうに小綺麗な顔が歪む。乏しいと鉄面皮と理性的はどれも違う。
さてそれじゃあヌヴィレットさんが期を待って欲しいとまで告げて渡してくれたのは──なんてホリデー前の子供宜しく浮かれていた俺に跪いて差し出されたのは、九本のスイートフラワーに風車アスターを一輪添えたミニブーケ。
その下にはフォンテーヌ特産品を模したチョコレート三粒。軽率に齧っていいチョコレートもたっぷり入ってたからな、これは看護師長と分けて食う方がきっとあんたは喜ぶとみたぜ。
流石にメロピデ要塞に野生の花は咲かないが、それでもいつ何処で俺が上に出ても咲いているスイートフラワーを束ねる事でフォンテーヌに数ある美しい花よりもその在り方のように見知らぬ土地に居ても安心出来る存在になりたいと思ったらしい。そうしていつしかあんたを重ねて、俺がどこにいてもヌヴィレットさんを思い出すようになりゃいいなんて隠れて傲慢なあんたらしくて少し笑っちまった。
四桁弱生きているあんたにとって俺は枷なのか視野の広がりなのか、とどのつまり幾ら愛していようが結局は他人である以上あんたの気持ちは完全には分からないし定めてしまうことも望んでいない。
だが俺なりに欲はあるんだ。受け取ってからはちょいと情けない顔でリアクションも上手く出来なかったが、俺なりに浮かべられた「嬉しい」や「愛している」は閊えた数も含めて伝えることは出来たと思っていたいんだよ。
錠は心に繋いで水の下で二人歩いて行けるような俺達だろう、とはいえ下手な慢心もしないで俺なりに渡せる誠意ってやつを余さず渡そう。偶に気取るのは男の矜恃っつーことでな。
……あぁだが。風車アスターと九本の意味合いは俺の胸の内だけに大事に閉じ込めておこう。温かく注がれる愛情と眼差しは俺個人が得られた貴重な宝物なんだからな。…「あいしてる」ぜ、ヌヴィレットさん。今度執務室に下りて来る時に花瓶にあんたの水を貰っておきたいもんだ。
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53 :
ニィロウ
2024/02/11(日) 01:08
🪷💃🏻あなたの日、ふたり
誕生日おめでとう、アルハイゼンさん。ちょっと眠たいからちゃんと書くのはまた後で。
…日々を、私を。優しく撫でて大切にしてくれてありがとう。
🪷
花神誕祭もいいものだけど、一度は二人で行ってみたいと思って二人で璃月まで出向いて海灯祭を楽しんだんだ。
全貌は私のペンでは書かないつもりだけど、アルハイゼンさんの前提知識を元に私が雑誌でチェックして璃月の民俗着を二人で借りてのんびりと港を歩いて出店を見て回って…。
オルモス港も立派で賑わってると思っていたけど流石璃月港、みんな笑顔でキラキラしていてお金の話はしているようでしていなくて、去ってしまった神様の意志を継いでみんなで思いを馳せて一人一つずつの黄金を積んでいくような賑わいが素敵だったんだ。
話で聞いていたよりも大きな大根の揚げ団子を二人ではふはふ齧りながら歩いていつもよりお肉がたっぷり入った大餅巻肉にかぶりついて、本を持たない日ならと一緒に飲んでくれた璃月のフルーツを使ったタピオカティー(珍珠って言うみたい)を味を交換して飲んだり、スメールでは認知度がとても低くて私も舞の動きを簡単にしか知らない獣舞劇の体験ゲームを楽しんで…。
何時もの男子会を少し前倒してでも誕生日に私と過ごしたいって何日も前から考えてくれたの、本当に嬉しかったんだ。アルハイゼンさんの恋人に自信が無いわけじゃなくてルーティーン?を変えてでも私を選んでくれたのが、普段は追いつけないから伸ばしたつま先を戻してくれるみたいで。
年上のあなたがちょっとだけ子供っぽく無邪気になる瞬間、前からずっと回数が増えてるってアルハイゼンさんは気付いているのかな?
君相手でなければこうも抱かない不安がある事を少し前に教えてくれたんだけど、その不安は私にもあるんだよって答えたの。
自分の心が下にしまってあるから自分が好きな、自分を好きになってほしい相手へ取り出すのに勇気がいるのが恋で、でもそれを乗り越えられると二人で心を見せ合うに値する愛になると思っているんだ。
心配しないで。嫌いな箇所を言っていないのが、私のあなたへの全て。気になるところを押しっぱなしになんて出来ないしアルハイゼンさんみたいに賢くもないからせめて勘違いがないように、そのままをあげているの。
生まれてきてくれたあなたの日へ。あなたなりにまっすぐ冷静に見つめている世界の片隅で、どうかわたし専用の椅子を置き続けさせてもらえるよう明日からもがんばらせてね。
お誕生日おめでとう、アルハイゼンさん。…だいすき。
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52 :
魈
2024/02/07(水) 21:18
👹⬇️喋喋喃喃
「少し話しただけで魈とデートに行きたい場所が増える」と告げる、三時間ほど前のお前の顔が浮かぶ。
時期故なのだろうとは分かっている。お前には国を渡り地を駆けるに至る理由がある。──が、その手指の置かれる意味。視線の緩む意味。弾む声音の意味。意味を知っている以上卑下も出来まい。
どの時間も愛おしくてたまらないと寄り添う体温が手放しがたくて困るなど今更言うに躊躇うのすら無駄だと分かってはいるが、お前に余り出さぬだけで我にも羞恥心というものはある。
そう簡単に記憶を手放せぬ身であるのとは別に、お前の言葉を忘れるような我では無い。そもそも何時かお前が一人抱いていた寂しさへの認知及び自覚とて、余りに印象深かったからだ。
恋しく思う内を隠すなと言うべき時であったが、当時のお前はそう思う心の一箇所を落としてきたようで気掛かりだった。人は他者と笑い泣き、時に義憤に満ちた最後には晴れやかに楽しげに幸福を甘受する生き物だと我は認識している。
然しその欠落を知ってからのお前は甘える姿勢や楽しげに笑う顔が増えたな。理性的に真っ直ぐと先を見据える視線は見ていて不満は無いが……お前には我がいるのだから、楽にしていて欲しい。呼ばれたら顔を出すと告げた意を撤回する事とて起きん。
同時期にお前が我に渡してくれた言葉もまた、この意を留めおいている。「大好きな魈の幸せなひと時を同じ空間で見ていたい、あわよくばその幸せを構成する一部になりたい。魈に恋をしているから蚊帳の外で見ているだけじゃ足りないんだ」
───曰くあれは、口説き文句なのだろう。我を蝕む慟哭や痛覚がほんの一瞬穏やかな風に包まれた事実を今でも明朗に思い出せる。甘えた緩みが出始めていた我も我だが、この言葉は永遠に仕舞い込んでいたい。
お前が我を飽きぬ、其の日迄。お前が我に詰めてくれる萎れぬ言葉の瑞々しさを思い返す度に、我もまたお前に渡せるものが増えるといいと強く願う。
一番美しく高く、花火が見える場所で海灯祭は過ごすか。人間の作る料理の手数は煩わしいが、お前が言うのなら綿菓子程度ならば隣で食したいとも思う。
……今宵も早く逢いたい。髪を梳くか両頬を愛でるか、何れにしてもお前が寒くなければいい。
…霄灯、共にあげられてよかった。拙い出来ではあったが、ちらちらと灯りに照らされるお前の金の髪が美しかった。長く、永く、我らの願いが宙へ届いて輝く日が来るといい。
👹
連名になられたのですね。御身の興味を惹くに値出来た本棚の入れ返しへ筆舌に尽くし難い程の感謝を。唯告げておきたいが故の言葉、どうか我の事は気にせず。
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51 :
タルタリヤ
2024/02/05(月) 20:49
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆🐋🏹冬極を鍋に一匙
「はあ、……はあ…っ…!?」と雪に怒りながら歩いた鍾離先生vsその先生が大層おかしくて笑った直後璃月特有のしゃびしゃび雪に踵を持っていかれた俺vs風蝕ウェネト。
上司が休めと言わないとしょうがないしスネージナヤから離れてはいても雪国生まれである以上有り様過ごし方はずっと前から身につけている。ちゃちゃっとやることを纏めて明日に回したりさっさと返して一部の部下には各々滞在先で仕事をさせたり、でも基本は家で温かい料理やお茶の時間を楽しむに限る。璃月じゃ宝盗団も雪原と化した地にはいないらしい。
カフェ好き団欒好きのスネージナヤ人には当たり前の冬の過ごし方だけど、先生もこの過ごし方を気に入ってくれた以上(昔の璃月も冬篭りはやっていたらしい)やらずにはいられない。
生前寒がりだった意向を踏まえ葬儀を延期した結果、今日ばかりは教鞭も置いてきた鍾離先生を誘って、一緒につついた坦々胡麻豆乳水餃子鍋はなかなかに上出来だった話を後で書く。
レシピを書くまでもない料理を上手い具合に盛り付けてバランスを勘で整えるのが我ながら得意なだけだと自負しているのに、鍾離先生はちょっとしたお茶請けから重箱まで等しい審美眼で評価した後期待に瞳を輝かせてくれる。リアクションについては逆だったかもしれない。
鍾離先生は熱い汁物が好きだけど味の濃淡の好みは品ごとに変わるから、今日は積雪で疲れた身を労わってちょっと練りゴマを濃いめに投下して辣油も多めに。野菜はいくら入れても無罪だから水気で薄くなるのも気にかけて、うどんはスープが煮詰まってきたタイミングで。
あの綺麗な顔した生き物が水餃子にかぶりついて肉汁や旨みたっぷりの汁気を顎下まで垂らしたのを慌てて俯く様を見せたり、口の中を空にした途端明朗とした声で美味を訴える。〆のうどんに飽き足らず明日の朝飯におじやとしても真剣に食いたがる振る舞いを見ているとパブリックイメージと異なるのはまぁ分かるけど。それでも根幹は変わらないだろう?
価値がわかるからこそ拘る。見定めた途端気に入ったものを手に収めずには居られない。その許容範囲が神様尺度だから広すぎて、様々な括弧書きを省略しているだけだと俺は考えている。
俺を選んでくれたのもそこに当てはまって且つ細かなツボをつけたからなんだろうか。あの時はただ、また璃月に滞在するついでにあの声で茶飲み話をまたやりたくなっただけだったのにね。
俺はあんたに願望も敬愛も畏怖も向けない、あんたは俺に侮蔑も狂信も畏怖も向けない。広い知識と語り口が気に入った関係値が飛び出して、いつからか熱を伴う単純な恋が欲しくなった。
ねぇ、今日も幸せってやつを先生との時間に見出していい?あの時の距離感を把握しながら二人隣同士並んで長さに笑う瞬間が好きなんだ、と有り触れた夜に思う。静寂を好む雪だけがきっと俺達の蜜事を捉えていた。
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