よくない振る舞いをした。溜息が出てなかなか眠れないし、思うに例え怒られても仕方ないってくらいの。

これは悟の言だけど、私は「心が半畳くらいしか無い」ので本当に狭い。狭小。だからすぐに「無駄なやきもち」をする。これも悟の言。一見して辛辣かもしれないけどこの辛辣さは気に入っていて……全部正解、なんにも反論できない所が好きだ。
……とはいえ。実際悟は私の人格を尊重してか、普段からこういう事柄で怒ったりはしない。ただそれも申し訳なく思うほどに苦い言葉を言わせてしまったから、寝顔を見ながら少し考え込んでしまっている。

今夜言葉を残すのはやめておこうと思ったんだけど、気持ちを綴る行為を恐いと思わない為に敢えて書いておこう。後で悔やんだりしないようにね。
悟、私は君と居るのが楽しいよ。これからもずっと素直にそう言える人間でありたい。

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うん……眠れない。
おやすみ、の前に抱き締めなかったからかな。

自分の生き様に起きた変化が君の言う"良い影響"じゃないとは思えない。だから、その言葉は飲み込めないよ。

昨晩傑から渡された一冊の本。見覚えのある表紙に一瞬固まった。
以前渡された物は新古本だったから、改めて新品をくれたのかな…とは思ったけど、口振りからしてそうでもなさそう。

「傑…、この本前にも貰ったよ……？」

そう言った時の傑の顔と来たら。
〝絶望〟ってこうやって表現するんだろうなっていうお手本みたいな顔だった。
そりゃあね、最初は僕も少し戸惑ったよ。
でも…「好きな本なんだ」って渡された物なら二冊あっても良いじゃない。
しかも絶版なんだよ。僕は傑の大好きな絶版の本を二冊持ってる男……凄くない？
それに、一冊目を貰った三年前に数回読んだだけだったから…、「また読んで」って本に言われてる気もして……昨晩はゆっくりページを捲った。

傑の記憶力は僕よりずっと優れてる。
傑の言葉に「そうだっけ？」って返すのがいつものやり取りで、こんな事は本当に珍しい。
そう考えると傑のこの本に対する愛情を感じるでしょ。

「大好きな悟に大好きな本を読んでもらいたい」

その一心で絶版の本の新品を見つけてきちゃうんだよ。
記憶を吹っ飛ばす程の愛。


今日は恐らく僕の方が帰りが早い。
傑を待つ間、もう一度じーーっくりこの本を読んであげるつもり。

寝なくちゃいけないんだけれど、書いておきたい事があったから。

実は三年前に一度贈ったことのある希少本、その事実をすっかり忘れてまた買って悟に渡してしまった。そうそう物事を忘れたりはしないから自分でも驚いて暫し固まったよ、フリーズってやつ。やれやれ。
自分でも呆れるくらいなんだから悟からも呆れられたって仕方無い話だと思うんだけど、当の悟は二冊の本を並べてあははと笑って、
「傑の"読んでほしい"って気持ちがマッハになっちゃったんだね」
「この話、読めば読むほど味が出るから好きなんだ〜」
ってページを捲ってた。
なんだかその言い方がものすごく優しかったのが嬉しくて、実は今になって少しほろっときてる所。そう、私も凄く好きなんだ。その話も、君のそういう所もね。
悟には（明日の朝までの）内緒だけど。


今この部屋に聞こえる音は、ベッドでのんびりくっついているうち先に限界が来て眠ってしまった悟の寝息と、ベランダの方から微かな雨音。それだけ。
私もそろそろ目を閉じよう。おやすみ。

他人のことを一切気にしなくて良かったからこそ嘗ての私は強かったんだろう。過去を思えば躓いたのはいつも他人を気にしなくてはならないシーンだった。
戻りたい訳ではないけれど、承認肯定欲求の扱いには難儀する。

ああ、ミスしてページを汚しちゃった。
初めて削除機能を使ったけど、これ跡が残るんだね。

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しまうまのしまをぐるぐるとって……って童謡。知ってる？
最近私の中では何故かちょっとしたブームになっていて、しましまのものを見かけるとしまをぐるぐるとって他のものにくっつけたくなってしまう。ま。（出来心だ）
しまさとるとしますぐるで「なんか二人ともしましまになったので」ってサボって、しましまつしょ（悟考案。しましまなのでかなり読み辛い）を書こうね。

んん、今夜は静かで、悟があったかくて、良い匂いで、すごく眠い。おやすみ。