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┗1406.Chick flick(6-10/32)

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10 :トラファルガー・ロー
2023/09/17(日) 09:05

ひな



完ペキなニンゲンは存在しない。
なんてもんは建前で、ニンゲン誰しも存在しないと分かっていても"それ"を演じて生きてるもんだと思っている。自分を割り切って受け入れるのは恐ろしい。特に好いたやつの前で曝け出すのは。
おれもあいつも素直にダメなところも情けないところも全て見せているかと言われるとそうじゃないだろう。お互い強がりで、ひとりで生きていくことに慣れすぎているから。どこかでボタンを掛け違えてしまわないかの不安は付きまとう。
それでも愛が、あいつを好きな気持ちが伝わっていることが嬉しくて、建前がずるずると剥がれていく気がする。
真っさらでもいいかなんて。下手くそでもいいかって。
あいしてる、なんて。おれがあの人から受け取った言葉をあいつに与えられていることが酷く愛おしい。

愛してるって言うと、しってる。って返ってくる。
あいつは知らないだろう。「知ってる」ことでおれがどれだけ…泣きたくなるほどに嬉しい気持ちを抱えるか。
……これはいつかちゃんと口で伝えないとな。


色のある話

はじめてあいつをおれの船の、おれの部屋で抱いた。
もともと海のうえであいつをモノにした日には連れ出してどこか遠くに囲ってしまう魂胆だったんだが……まだ海でやりたいことが尽きないうちは常に潮に揺れる狭い船の中であいつを愛してやるつもりだ。

別に初夜でもねェクセに朝目覚めた時のあいつはいつもより照れては、少しぶっきらぼうで。そんなところが可愛くて仕方がない。疲れて寝落ちまうまでは気を抜きまくりなくせに。意識がはっきりしちまうと照れが勝るのだろう。
やだやだ、だってが止まらずにガーガーと可愛く喚く。
おれの腕の中にいる時は外聞もなくあまく鳴いていると言うのに、いざなにが恥ずかしいのか分からないが、あいつが照れて顔を隠してる姿がアホで可愛いからもう少しは抱かれることに慣れないで欲しいもんだ。




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9 :トラファルガー・ロー
2023/09/15(金) 06:42

みたらし



昨日は紆余曲折の末、あいつが鼻血を出した。あの男の身体機能は格段に向上したと聞いているが……鼻腔内の血管の弱さはなんなんだ。今回のは興奮による血管の膨張ではなく、打撲による裂傷。鼻にも覇気を纏え。怪我をするな。
……しかし、血を流しながら笑ってんのには思わずグッときた。こればかりは心配する必要のなさからくる視覚的ダメージによるものだろう。普通の人間が血を流してりゃ心配が勝るのに、あいつの流す血は素直に興奮材料の一端になり得るってのは我ながら面白く感じた。(本人曰く)手足が長いおかげで至る所にぶつかったりしているのをみると呆れと同時に気をつけろと口酸っぱくなっちまう程度には怪我・欠損なんかは極力避けて欲しいのに。
医学を齧ったモンとしてあるまじきだが、鼻に残った血液くらい舐めて吸い出してやればよかった。今度知らないところで怪我したら舐めてやろうと思う。気をつけるようになるだろ。


透過と陰鬱と追記

寝床で、あいつの甘い声を聞きながらこれからの未来を見て肌を合わせる。穏やかな幸せを噛み締めては言葉を交わしている最中、ふと気になったことをあいつに尋ねた。「おれを好きになってよかったか?」と。他意なんてものはなく、あいつの口から好きになってよかった。と聞ければ穏やかに眠れる気がしただけだった。
そうするとおれの予想に反しんてあいつはおもしろくない顔をする。「過去形みたいに言うのイヤだ」だと。
ああ、おれはいつもそうだなァ。言葉選びが格段に上手くないうえに自分の自尊心を保つ為に無意識に自分を卑下する。そうすることで相手も共に落としていることに気づいていない。
今回だっておれがおれである為に、愛されてるという言葉を直接聞けずに、試すように尋ねた。それがナイフの刃先を向けて渡しているという自覚もなく。
だから、あいつがそれをダメなことだとちゃんと教えてくれることが救いだと痛切に感じる。刃はヒトに向けてはいけないんだって。見捨てないでそれはダメなことなんだと教えてくれる。あいつの優しさに甘んじすぎてはいけないと思うし、おれの気持ちが伝わっている内に卑下するクセを治したい。いつか取り返しがつかなくなる前に。
染み付いた悪癖だが、あいつのそばでなら。そう願ってもいいだろうか。


2023-09-27 追記
ヒトの性質ってのはそう簡単なもんじゃなくて。
昨日も「言葉をひとりにするな」と言われた。気をつけているはずなのに、なんの進歩もねェ。情けないし、不甲斐なくて堪らない。
あいつとおれと、ふたりで歩んでるはずなのに。
ごめん。…と、根気強く諭してくれてありがとうをお前に。






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8 :トラファルガー・ロー
2023/09/13(水) 03:17

花の名



あいつが言った言葉ではっきりとおれを救ったものがある。

お前が歩いてきた大事な道だから、おれはその道に咲く花に水をあげる


今思えば多少の強がりもあるんだろうが、おれ自身摘んで燃やしたい花たちにあいつは水をやると言った。いらない雑草なら根が深くても抜いてやるとも。
おれは花を摘み取っても根を抜き忘れて痛い思いをすることが多いから、強がりだったとしてもこの花や根たちを共におれの一部だと受け入れてくれようとしたことでどれほど救われたか。
……のちのち「綺麗な花なんかじゃない全部食虫植物だった。虫だけ食わす。」ってむくれてたんだが。綺麗な花じゃないっていう割に虫を与えて結局育ててるところもアホで可愛い。
全てひっくるめて好きだと思う。

おれはあいつの道端の花に水をやれるだろうか。
その優しさがおれにあるかどうかはわからねェが、あいつの優しさにかまけて勝手に根腐れしてしまった花どもには中指立てながら除草剤でも撒いてやろう。

ベポの言った「黒足が可哀想」ってのは確かにそうかもしれねェ。おれはおれの花を育てることが当たり前だと思っていたが、実際共に歩くってのはおれも育てられる側なのか。……なるほど、確かに一理ある。



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7 :トラファルガー・ロー
2023/09/11(月) 16:14

やきなす



毎日好きが爆発してる


どうしてくれるとガーガー鳴いてるのが可愛くて笑っちまったが、おれも言わないだけで「毎日好きを更新している」と思っているからあいつのことを笑えないかもしれない。
新鮮に噛み締めて、驚くくらいに好意が募る。

味噌汁が飲みたいと言えば、教えてもねェのに好みの味噌のそれが出てくる。月見がしたいと言ったら今晩の月見に団子はお預けだと言う。…おれが団子は今じゃなく中秋の頃に作れと言う前に。そんな細やかな価値観の合致が新雪のように日々積もっていくことが愛おしく、改めてこの男を誰にも渡したくないと実感する。

愛ってのは譲歩だと思っていた。今もそれは変わらない。
ただ、譲歩の前に揃う足並みが必要だということをアヒルを飼って初めて知った。爪先はお互いを向くより同じ方向に向いている方がいいらしい。今日の教訓。


透過と下世話な話

共に寝床で寝ながら微睡む時間が好きだ。
昨晩は好みの話から好きな料理の話になり、美味そうな料理の名前を列挙されて深夜に腹の虫が鳴った。天津飯に麻婆豆腐、甘酢と餡掛けが好きなおれ達。「食の好みって案外大事だろ?」とにこにこしながら抱きつくあいつが愛おしくて堪らない気持ちになる。腹の減ったあいつが手首の骨が美味いって齧るから、おれは愛おしさを笠に着ながら耳の裏にかぶりつく。 お互い動物的だなァ、なんて遠いところで思いながら幸せも一緒に噛み締めた。





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6 :トラファルガー・ロー
2023/09/10(日) 18:39

ガラスの宝箱



クルーのために忙しく動き回るあいつと自堕落なおれとでは多少生活のサイクルが違う。眠たい目を必死にがんと開きながら宵っ張りのおれに付き合って、日付を跨いでも起きていようとする様がいじらしい。ただ、眠さが勝つと普段より物腰が柔らかくなってしまうことが本人は些か不服みたいだ。
その差だったり、おれだけに見せる姿をおれが楽しんでいるんだから別に構わないだろうと言うと、「ならいいか」なんて笑ってたのが………あまりにチョロすぎて心配になった。チョロさが海の果てまで知られないように閉じ込めておきてェと思うのは酔狂か。そんなか弱いもんでもねェのに。
それでも、隠して匿って、だれにも見つけられないところでひっそりと可愛がりたいって欲はいつまで経っても消えそうにない



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