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スレ一覧
┗1406.Chick flick(11-15/32)

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15 :トラファルガー・ロー
2023/09/28(木) 14:02

予感



可愛い、ってのは愛す可しって書く。
おれの中でそれは譲れない指針みたいになっていて、あいつに「かわいい」と言われることもそんなにイヤではない。……と思っていたんだが、カッコイイだとかも思われたいみたいだ。
あまりにあいつが常にかわいいを連呼するから、


男前ランキングも同一一位だったら受け入れてやる。

………、どっちかって言うと…可愛いが過ぎるランキング一位だな。ギャップが好きだからそれも一位だと思うけど。



思うけど。ってなんなんだ…ッ!と叫びそうになったのをグッと堪えたおれは褒められてもいい。あいつはおれのことをガキかなんかだと思ってるんだ。
……欲張り、になってるんだろう。
愛されるならどんなカタチだって嬉しいはずなのに、あれもこれもと求めて、あいつのなかで一番になりたい。
麦わら屋の話をしている時に、キャップが麦わら屋なことは理解しているし優先されるべきだが、おれのことを一番にしろ。と言うとあいつは顔を緩めたあとに「順位とかじゃない」と答えた言葉の意味をおれはしっかり理解したはずなのに。

どう考えてもあいつの一番になりてェ。
……これがガキクセェのか?



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14 :トラファルガー・ロー
2023/09/27(水) 12:05

"めいそう"




うっすら透過

うつらうつらと眠そうなあいつの顔をじっと見ながら今までの事を思い出していた。突然目を見開いて目覚めたあいつとばっちり視線が絡むと気まずさに視線を落とす。……いや、気まずいというよりずっと眺めていたことへの羞恥に近い。言い淀むおれと詰めるあいつ。諦めて事を白状したおれが視線をあげた先には放り出したままの海図と機密事案。
そう言えば新しい体制を整えて報告しねェと…。
改めて「なにを考えてる?」と尋ねるあいつにおれは、「新しい戦略を考えていた」


ここまでがあいつに怒られるまで。
ここから先は自戒と反省を込めたあいつへの惚気。
ひとつ説明が終わるともう次のことを考えてるのはおれの悪いクセだ。あんまりにも感情や状況を置いて筋を立ててしまって……淡白とはまた違うんだろうな。そのくせに昔のことを掘り返し無駄に考え込むことも多い。
なにも"思考力"が全てでない事はわかっているんだが。
あいつはその点どちらかというと感情優先方なような気がする。ただ自分の感情なら犠牲にしてもいいと考えているから厄介だが………ヒトの気持ちに寄り添えるってのは美点だな。自分のことを大事にしてもらいたいと思う反面、あいつに大事にされているんだという実感も湧く。

気持ちが伝わっているかの確認なんて実際そんなもんで充分で。あまりに気持ちが大きすぎるから、それを全て。と思うと際限がなさすぎて不安になるんだと思う。
愛されて、大事にされてる実感。
あいつも同じようにそれを受け取ってくれているから、お互い不器用なりに上手くいくと思っているし、今後もそうだろう。
烈しい激情も時折顔を覗かせるが、ゆっくり、ただ日々を慈しんでいければいい。

そのためにおれはもう少しちゃんと考えの軌跡をあいつに伝えていきたい。
寂しい思いはさせたくないしな。




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13 :トラファルガー・ロー
2023/09/22(金) 10:57

ステンドグラス



凝った料理を作るスペースもなく煙草も浮上した時の甲板でしか吸えないとなるとあいつは手持ち無沙汰におれの部屋のおれの隣で本を捲る。興味のないことを隠しもせず表情に浮かべて、…その姿が幼いガキっぽくて可愛い。
この機会に禁煙でもするかと尋ねると死ぬほどイヤそうな顔をしたのも悪くなかったな。

おれが健康になって長生きしてもお前がいないと意味ねェ

安心しろ、おれはお前より一秒だけ長く生きる

……ッ、グッときた……


ちょろくて可愛くて心配になる。アホだ。そんなアホを好きで好きで堪らなくて困惑しているおれもおれだが。
溢れた好きがぼたぼたと掌から零れ落ちていくのをあいつの前に常に差し出している状態に近い。元々扱い慣れていないからから、とめどない好きをおれ自身が持て余しているのかもしれない。
その日はその困惑が顕著だったんだろう。
零さないように必死に立ち竦むおれの手を取ってあいつは「だいじょうぶ」だと笑った。
贅沢なやつだと揶揄しながらも、繰り返しおれに"嬉しい"を教えるあいつの温もり。
好きだ。愛してる。離したくない。



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12 :トラファルガー・ロー
2023/09/20(水) 14:48

ただいま



連日、捕物やその準備なんかでバタつく日が多く締めは船を上げての宴がしたいとどこのだれに看過されたのか騒ぎ始めたクルー達のためにそこそこデカイ宿を貸し切ってやった。おれも流石に顔を出さないわけにもいかず。
とりあえず遅くなること、メシはいらないことをあいつに伝えると気難しい顔をして「複雑…」と漏らした。その時は世話を焼かなくていい気楽さとメシを作らないでいいことに対しての矜恃の狭間かと思っていたのだが…そうではなかったらしい。
宴の前の晩、おれもあいつも疲労と睡魔に襲われる中

もっと快く受け入れるつもりだったのに、出来なかった


だと。
あぁ、複雑な気持ちってそういうことかと愛おしさが止まらずいつもより温かい身体をきつく抱き締めた。いつまでも背中を見送るのが惜しい相手でいたい。


透過とながいくらい

捕物が終わり駆け足で自船に戻る。
煙草も吸わず、大人しくおれの部屋で過ごしていたあいつが俺の姿を見つけて目を細める。
卵と、ソーセージとベーコン。出る前に使いに頼まれていた物は早々に食糧庫にいれた。母親に褒められるのを待つガキのようにおれはあいつに近づきそれだけを伝えて、称揚の声を待った。けれど次いで聞こえたのは茶化すような応酬ではなく、少し呆れた、それでも慈愛に満ちた穏やかな声だった。
「その前に言うことがあるだろう」
暫く考えて漸く頭に浮かんだ言葉をおれは悠久の中のような一間できつく噛み締めた。
そう、「ただいま」の一言を伝えることが酷く難しかった。
言いたくないわけでも、そのあとの常句を聞きたくないわけでもない。……恐ろしかったんだ。見ないようにしていた。

好きだと伝え合う前、あいつは「おはよう」と「おやすみ」は絶対に言いたい。と息巻いていた。そんな姿を愛おしく思ったのも懐かしいが、事はそこではなく"毎日の約束"みたいなものをお互いに作ることにおれは尻込みしがちだ。
今だって寝る折の言葉に囚われているのはおれの方。
眠い眼を擦るあいつにおやすみを尋ねてしまう。
あいつが起臥の言葉を掛けるのだと自分自身にルールを設けるのとは随分と違う、おれの中の弱さの指針。

「ただいま」「おかえり」、確かにおれの帰る場所はあいつの元だしあいつに迎え入れられる幸せに代わるものなどないだろう。ただ、それが、日常になることが怖い。
いつか消える「おかえり」をおれは受け入れることが出来るだろうか。いつか消える「ただいま」をおれは、………許せるんだろうか。

そんなことが一瞬の間に頭の中を駆け巡った。
目の前に立つ体を抱き締めて、深呼吸をする。一度口にすればおれは求めてしまう。たった一言がこんなにもおれを縛っていたなんて改めて気づいてしまった。
本当に細く、……違う意味でガキのように見えただろう。
零した「ただいま」を、あいつは笑って受け取ってくれた。ポンコツだなァ、がんばった、えらい。と抱き締めながら。

あいつはおれが戸惑っていたことを感じて努めて優しくしてくれたんだろう。その優しさにいつも救われている。

じんわりと胸に広がる「おかえり」の声を忘れたくないと思った。





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11 :トラファルガー・ロー
2023/09/19(火) 00:58

3はあとで


突然饒舌になるんじゃねェッ!


そうキレたあいつの可愛さたるや。
一から十までどれだけ好いているか説明した(実際は七割程度)ら、説明させたのは自分のクセにじたばた暴れ回って忙しねェ。時差で照れて死にたくなってるのは可愛かったから良しとする。

おれには分からせたい欲みたいなものがずっとあって、それの根本はきっと今まで散々言われた「何を考えてるか分からない」だとか「気持ちが伝わってこない」だとか…の的を得すぎてる言葉たちのせいなんだろう。 しかし、昨日あいつに「わからせたいってずっと言ってる」と言われてハッとした。そんなに口にだしていたのか。
一から十まで説明したいのはきっとおれの方だったんだろう。
分かって欲しい、とか伝わって欲しいとか。出来ることなら、おれの気持ちを相違なく伝えたい、複製して貼り付けてやりたい、と本気で思っている。

サニー号に久しぶりに足を踏み入れた時、メシの炊ける匂いとキッチンに差し込む強い西日に目が眩んだのを覚えている。
帰ってきちまった、と心のどこかで悔いながらもおれなんかにメシを嬉しそうに振る舞う姿や仲間たちとバカやってる姿にどんどんと惹かれていった。
それでも暫くあいつの気持ちを躱していたのは、海の中で大切なものを持つ恐怖のようなものだろうか。あいしてると笑って消えたあの人のように…手放すつもりなど毛頭ないのに、手放す覚悟ばかりをしていた気がする。あの頃は。

手を伸ばした先で手に入れた生暖かい心臓を握り潰さないようにおれは必死なのかもしれない。



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