Invitation
令和3年6月26日
午前10時30分
シェラトン・ワイキキ ザ・マカナチャペル
赤井が僕の左手の薬指に指輪を嵌めてくれてから、約2年半の月日が経ちました。クリスマスイブの朝にアドベントカレンダーからきらきら輝くシルバーリングが出てきた衝撃は一生忘れられそうにないです。嬉しくてたまらなくて、幸せで。でも僕たちは男同士だから、ただふたりで一緒にいられたらそれでよかった。赤井と僕は愛しあってる。それをおたがいがわかっていれば、よかった。……そう思っていたはずなのに、何年も共に過ごしてもっともっとあいつのことを好きになって。家族にまで紹介してもらえて、何倍にも、たくさんの思い出ができて。実際に婚姻届にサインをしていざ正式に夫婦になれると思うと、もう以前のようには思えないです。人って欲深いですよね。ほんとうに夢みたいだ。
「いつも通り、ふたりでのんびり過ごしたいな。」
「独身最後の夜を、明日俺の奥さんになる君とふたりで。」
結婚式を明日に控えた一日。嘘みたいに大きいハンバーガーを完食できたところまではよかったんだけど、明日はついに!と思うと緊張してどうにかなってしまいそうで。動揺から今からマッサージに行って身体をほぐしましょうか!?なんてとんちんかんな提案をする僕に、赤井はこんなに優しくて甘くて、あたたかい言葉をかけてくれました。じゃれあいながらマッサージしあって、ゆっくり話をして、たくさんキスをして。何度も愛を伝えあって穏やかにぐっすり眠ることができた、そんな僕たちの幸せな結婚前夜の話。
ホノルルの空港に到着するなりふたりしてド派手なアロハシャツとサングラスを選んで、目に見えて浮かれている観光客丸出しなふたり組がいますね。そう!僕たちのことです。「君が似合うというのならそれにしようかな。」「零くんはこれなんかどうだ?」と終始でれでれの赤井がかわいすぎて心臓が痛い。あのド派手かつ真っ赤なアロハシャツを着こなせるのはあなたくらいのものだと思いますよ。よく似合ってた。
クリームにナッツやフルーツが山盛りになったふわふわのパンケーキに、色鮮やかな海を連想させるブルーハワイ。チェックインした豪華すぎるホテルのオーシャンスイートルームの窓からはすぐにエメラルドグリーンの海が見える。バルコニーから夜景をのんびり眺めるのも最高だった。僕は世の中には楽園が複数あるということを知りました。赤井の腕のなか、そしてハワイ…。(めちゃくちゃ浮かれている。)こんな素敵な場所で赤井と愛を誓えるなんてほんとうに夢みたいだ。
どうにも緊張しています。明日にはついに式を挙げるんだと思うとそわそわしちゃって。落ちつかない。今日は赤井とどでかいハンバーガーを食べる予定です!少しずつでも明日に向けて気持ちを固めて行けたらいいな。秀一、今日も愛してる。
明日のことを思うと既に涙ぐみそうになっているが、零くんとのハワイ、信じられんほど楽しいな…!アロハシャツとサングラス姿で朝食を食べる、ただそれだけのことでわくわくする。ホテルの部屋から見える景色も最高だったな。今日は巨大ハンバーガーを食べてホテル内の教会を見に行く予定だ。「ハワイでは赤井と夫婦にもなるしフードファイターにもなる。」と零くんが言っていたから、ここでも彼の食べっぷりに惚れ惚れすることになりそうだよ。俺は君がなにかをうまそうに食べる姿が大好きなんだ、零くん。
昨日はいつもと違うホテルのシャンプーを使ったし、ベッドには俺たちの匂いなどついているわけがない。「ベッドから赤井の匂いがしない、しばらくこうしておこう。」と俺の使用済みシャツを枕に巻きつける零くんのかわいさよ。そのくせ俺が真似をすると、僕を嗅げ!とばかりに迫ってくるんだからな。ほんとうに世界でいちばんかわいいよ、俺の奥さんは。…一日フライングしてしまった。かなり浮かれている証拠だ。
『赤井ちょろ毛ましまし派閥の頭領』である零くんが悩んでくれていた、挙式での俺の髪型について。零くんは俺の前髪のくるくるっとしたところが好きなのでね、例として見せてくれる俳優の写真もわりと癖毛の目立つものが多かったんだ。だが一日中悩みに悩んで頭領としての心がまるくなったのか、最後には「これのようにさらっとまとめるのもかっこいいな…!?」と、癖毛を横に流してさっぱりとした髪型をいたく気に入ったようだ。なのであれが今の第一候補だな。まあ、正直なところ自分の髪型はなんでもいい。世界一かっこいい!と零くんに思ってもらえるものでありさえすれば、だ。自分に似合うかどうかではなく彼の甘いひと声、それが一番大事なことだよ。
>ちなみに例の写真はデ○ー/ン・フ○オ/カ攻めだった。
俺たちの結婚式やハワイ入りについて気に掛けてくれている君たち、ありがとう。元気にパンケーキやブルーハワイ、スイートのホテルを満喫しているよ。幸せモードの零くんがかわいすぎて気が狂う寸前だが…。