・勉強
結構長い間授業を休んでいたから何とか巻き返ないとと思って自由時間に勉強して、煮詰まっていたタイミングであいつが帰ってきた。頭が疲れきっていて唸ってた時に声がか
かってきたもんだからビビった。あ、いや、ビビってなんかない。
僕のノートを見るなり「二問目間違ってる」って言ってくるんだから、今考えると少し腹立たしい。指摘されても何をどう間違えてるかが全然わかってなかった僕に、途中の式をなぞったあいつが代入する値がーって短く答えにならないヒントをくれた。……もらっても最初はうん……?って感じだったんだが。ずっとあいつは何も言わないままで、ピン!ときて解き直して見せつけたら「合ってると思うよ」って返してくれた。うまく解けなくてイライラしてたのが、すげえスッキリした!
解けたスッキリ感に気を取られていて……というか忘れていて、思い出しておかえりって言った。あいつ多分笑っていたと思う。
・アイスココア
談話室で座り込んでいたあいつの表情が全然動かないから、よっぽどのことがあったんだろうと思った。キッチンに連れて行ってさあ作ろうってなった時にあいつが「作ってほしいけど離れたくない」って状態になってしまって……こういう時魔法って便利だよなと思う。実践課題があった魔法で自分の体重を軽くさせて、おぶりながらココアを作った。
昔家で母さんが作っていたものだから、丁寧にグラムとか量らないし味だって正直運によるってところもある。でも甘い匂いがし始める頃に僕の後ろからじーっと片手鍋の中をガン見しているあいつがなんだか微笑ましくて、完成したあたりであいつの表情が戻ってきたのもホッとした。
部屋に戻ってあいつを僕の上に座らせて、なかなか魔法を解かないから普段よりずっと軽いあいつの体重がものすげえ違和感でしかなかったのを覚えている。その後魔法を解いてちゃんと重くなったことに安心した日。
・アイスカフェオレ
購買部から出てきたあいつを迎えに行ったら、袋からあいつが炭酸ジュース以外でよく飲んでいるやつのチルドカップを渡された。当たり前にこいつは二人分買ってくれるし、甘い方が好みな僕のために片方をシロップ入りにしてくれる。
ストローを刺して飲みながら帰ってる最中にあいつが珍しくヘマをして、それに噴き出した。いや、必死に耐えようと頑張りはしたんだが震えてたみたいで思い切り背中を叩かれてまた笑っちまった。ふてくされたみたいにそっぽを向きながら、それでも隣を歩いてくれるあいつと部屋に帰る。喧嘩した翌日のことで、喧嘩が多い分仲直りも多い僕らだ。
・月の綺麗な夜だから、
今日は満月だって言ったあいつがベッドから窓まで連れて行ってくれて、また部屋から月を見た。前見た時よりも確かに丸かったかもしれない。
時々僕のことを王子様みたいなことするとか言うが、自分だってなかなかロマンチックなことしている自覚を持ってほしい。ロマンチックなこと好きじゃない?って、そりゃ。好きなやつにやられてドキ!てなんないやついないだろう……!?心臓に悪いし悔しい。ときめかされる度にときめき返してやりたくなる。
後半話していたことは……ここには書かなくたっていいな。
・プリンと七ヶ月
僕が生クリームの上にさくらんぼが乗ったプリンを二人分。あいつがコーヒーを二人分。それぞれ用意して七ヶ月を祝った。やりだした僕が言うのもあれなんだが、乾杯でぶつけんのはプリンカップじゃなくてコーヒーのカップだったよな……。
早く食べたいダメでも食うって言った僕に「じゃあダメ」って言うあいつをスルーして「いただきます」って言ったら「あー!」って叫ぶから面白かった。
自分の分もあるのに一口ちょうだいって強請る言葉も聞かなかったことにしたりして、……本当は少し悩んだんだぞ?きっとあげたら喜ぶし、恋人らしい。でも、僕のだから!で押し切った。少ししょぼくれてたがまあ見た目ほど凹んではいなかったと思っている。何でもなくない、僕らの記念日おめでとう!一緒にいてくれてありがとう。