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┗59.赤の心臓(115-119/198)

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119 :デ/ュ/ー/ス/・/ス/ペ/ー/ド(t_w_s_t)
2021/11/18(木) 22:46

・瓶詰めと海、シュレッドチーズ
 いつからかははっきりしてないが、僕らにとっての……改まって書くのは恥ずいが愛情は液体みたいなかたちをしている。僕が初めて好きでいっぱいになったときに「蛇口が壊れたみたい」と言ってからかもしれないし、あいつが「溺れてもいいよ」って言ってからかもしれない。「深くて重い」って言っていたあいつに「じゃあ海だな」って言ったこともあるから、もしかしたらそれかもしれない。
 お互いに注ぎまくって、溢れさせたら勝ちって言い合っている。あいつ曰く「器から瓶へ小分けにして時々移し替えている」とかで、そのせいかトータルじゃ多分僕が負け越していると思う。それがいつだって悔しくて堪らない。この先同じ関係のままい続けることが出来ても、どれだけ好きって思ったとしても、「オレの勝ち」って聞くたびに悔しくなるんだろう。これを書いている今も、正直悔しくなってきている。……「僕の勝ち」の数を増やしたい。

 一度、あいつが大事にしていた瓶をひっくり返してダメにした自覚がはっきりある。気まずいまま一夜が明けて、色々あって何も腹に入れてないあいつの腕を掴んでキッチンに行った。本当は一人で寝ようと思っていたんだが、見えた顔が……まるで迷った小さい子みたいだったから。
 冷蔵庫の中身を見てピザトーストを作ってやった。何も凝ったりしない、ただピザソース塗ってチーズ千切って散らして焼くっつう、マジでそれだけ。「チーズと愛情多めがいい。サラミかウインナーもあったら喜ぶ。」ぼんやりしながらもしっかり強請ってくるあたり、僕と喧嘩慣れしてきたなと思う。
 改めて持ってきたシュレッドチーズを一掴み分上乗せして、面倒だから包丁の代わりにハサミで切ったウインナーを乗せてオーブンに突っ込む。

焼きあがるまでの間、「そもそも愛情は作ってること自体に感じてほしい」と言った。  「同じこと思ってた」と言われた。
 「普段作る時なんかスライスチーズ一枚きりだしウインナーだって入れない」と言った。
 「特別扱いじゃん」って笑われた。
 「本当は言われなくてもウインナーは入れてやる気だった」と言った。
 「すきだから?」と聞かれた。
 「オレがウインナーすきだから?」と言い直された。
 「好きなお前が、ウインナーが好きなのを知っているから」と答えた。
 笑いながら、あいつがしゃがみこんだ。
 「涙出てきた」とあいつが言った。

 出来たのは蕩けすぎたチーズがパンどころか敷いていたアルミホイルにまで流れ落ちてしまっているような、ウインナーはかろうじて耳に引っ掛かっているような代物だった。美味そうより残念な出来って感想が真っ先に出そうなものを、あいつは「今まで食べたピザトーストの中で一番美味しい」と言う。さすがにそれは大袈裟だろと思う。
 それでも、シュレッドチーズ一掴み分……それとウインナーか。デロデロに流れ落ちた不恰好な見た目でも、あいつは愛情を感じてくれるらしかった。僕もしゃがんであいつが口を火傷しながら食べるのを眺めていて、こう。好きだな、って思った。何度目だろう、もしかしたら百何度目になるかもしれない。

 後片付けを終えて部屋に戻ってお互いに「ただいま」「おかえり」って言い合う。なんだか最近これが仲直りの合図に聞こえるのは気のせいだろうか。まあ、ココアやホットチョコレート以外にも仲直りの合図は幾らあっても困らないよな。僕らの場合。

 どうやらあいつは僕が「泣き虫デュースくん」じゃなくなっても、変わらず好きでいてくれるらしい。


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118 :デ/ュ/ー/ス/・/ス/ペ/ー/ド(t_w_s_t)
2021/11/12(金) 23:02


09XX(半寄り、監督生口調ほか注意)< 誕生日、何か思い付いているの?
一応考えているのならあるんだ。 >
< どんな?
あいつに「プリン作ってほしい」って
言われていて >
< うんうん
 バケツプリンってあるだろ?>
< あるね。
 あれと同じ感じで、 >
大釜でプリンを作んのはどうだろう。 >
< それ全部食べさせる気なの??
< 何人前??

大釜いっぱいに……さくらんぼとか…… >
< とりあえず大釜から離れようよデュース……


マジックってのはどうだ?
モノじゃないがお祝いっぽくないか! >
< あっいいかも!
だよな! >

監督生。 >
< どうかした?
今マジックの解説見てたんだが…… >
何度見ても理屈がさっぱりだ………。 >
< Oh…………


< 色々挙げてみたけどさ、
< 結局のところデュースが考えてやりたいって
 思ったものが一番喜ぶんじゃない?

僕が考えて、僕がやりたいこと…… >
大釜プリン…… >
< そこ戻っちゃうかーー。
でも監督生の言う通り、
二人で食うにしたって食べきれなさそうだ。 >
それは卵とか食材に失礼すぎるよな。 >
< ウン…
< こっちとしてはリアクションとか
 想像するだけでめちゃめちゃ面白いけどね?



もう少し自分で考えてみる。 >
< うん。それがいいんじゃないかなぁ
< エースのことはデュースの方が知ってるし?
……そうだな。 >
監督生、相談乗ってくれてありがとう! >
< 当日喜んでくれるといいね!
応!全力でやってやる!! >




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117 :デ/ュ/ー/ス/・/ス/ペ/ー/ド(t_w_s_t)
2021/11/12(金) 22:56

・ホットミルク
 僕が部室だったりオンボロ寮の部屋を借りて寝泊まりをしていた間、キッチンが待ち合わせ場所のようになっていたと思う。僕としても温かい飲み物を作って飲むってことが口実として丁度良かった。
 部屋で僕がマグカップに口をつけるあいつを眺めて、そこでふと星送りの日にあいつが願ったことを叶えられていたことに気づいたんだ。それを口にしたら「さすがスターゲイザー」なんて笑っていたが、あれは僕が叶えたというよりもあいつが叶えさせてくれたって方が近い。こんなところでも甘やかされているんだ僕は。

・チャイ
 喧嘩して気まずくなろうがしんどいことは待ってくれない。バイパー先輩に作り方を聞いてみるって言っていたあいつは、キッチンにすごくぼんやりとして突っ立っていた。声色で何かあったな、ってすぐにわかった。何だか恐ろしくなってしまった部屋に帰ることも何てことなくて、笑えるぐらい簡単に腕を引いて連れ込めた。そういや僕の部屋だったなここ、とか当たり前なことを思い出したんだっけ。
 「ちっせー時からデコ広いの」って言うあいつが、泣くのを我慢してる小さい子みたいで。守りたいって思うのはおかしいんだろうか。
 作ってくれたチャイは少しピリっとするぐらいで僕のイメージよりずっと甘くて、やっぱり温かい味がした。

・流星群の見えなかった日
 あまりはっきりは覚えてないな、確か前日は天気のいい満月だった気がする。厚い雲ばかりの空を二人で見上げて残念がった。満月の日じゃなくてこの日に誘ってくれたのは、僕が楽しいだろうと思ったからだってあいつが頬を掻いて言うから、こいつは僕のことをどこまでも想ってくれてんだろうって馬鹿みたいに思った。思っていたら口にしていたし、肯定もされた。勿体無いぐらい恵まれているんだよな、僕。次の流星群がいつなのか僕は知らないが今度は部屋の窓から流れ星が見れて、あいつが見る僕が楽しそうだといい。
 基本的に空を見上げる習慣が僕にはないから、あいつから流星群の話とか月がきれいだよって誘われない限り夜空を見ないせいで、僕が最近見る月は大体満月か限りなく丸い。この前三日月が見えた時にそれにやっと気づいた、この形の月を最後に見たのはいつだっけと思ったぐらいだ。

・ベッド
 あいつより僕の方が帰りが99%早い。寝支度を済ませて気分でルームメイトの手を盗んだりしてあいつのベッドを好きに陣取ることもそれなりにあったんだが、喧嘩の直後で何となく自分のベッドでばかり寝ていた(ヘトヘトで部屋の奥まで歩けなかったっていうのもある)。
 目を覚ました時に帰ってきていたあいつがいて、腕を好きに使っていたら抱きかかえられて……というより持ち上げられて驚いた。持ち上がると思わなかった。魔法で僕の体重を軽くしない限り出来っこないと思っていたから口にしたら、「バスケ部舐めないで」って言われた気がする。迎えに来られてあいつのベッドまで運ばれて、ああ僕ここにいていいのかって思った。

・カシスオレンジ
 買いたいものがあるとかでモストロ・ラウンジであいつがバイトしてる時間に邪魔したことがある。出迎えてくれたあいつは黒いハットを被って、正式に働いてるんだから当たり前なんだがオクタヴィネルの格好をしていた。少しリーチ先輩を思い出す口調で席に案内してくれるもんだから、動揺した。笑われていたような気がする。
 一杯奢ってくれるってことでメニュー表を見て、オレンジかグレープフルーツのやつは無いかと聞いたらあいつが作ってきてくれた。混ぜるだけ、って言っていたが混ぜるだけでグラデーションが出来るわけないと僕は思う。赤に変わっていく色合いを崩したくなくてろくに混ぜずにストローで飲んだら濃くてびっくりして、また笑われた。混ぜて飲む飲み物だった……。

・暮れどきの空
 下の方が夕方のオレンジで、薄い黄色を通って、上の方が夜に近い青色の空が好きだ。好きだし、この色合いの空がふとした時に見えると冬なんだと思う。不思議だよな、青と黄色が混ざっても別に空は緑色にならないなんて。

・10ヶ月
 「できるだけ長い間いっしょにいよう、って意味だよ。」
 いたい、……いれたらいいなって思うんだ。


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116 :デ/ュ/ー/ス/・/ス/ペ/ー/ド(t_w_s_t)
2021/11/12(金) 22:54

 一応……一応は燃やしてしまいたい衝動が落ち着いたから、また少しずつ書いていくことにした。冬は本当に落ち込みがちだから、春までこのノートが生き残ってるかが僕自身少し不安だったりする。燃やしちまったらごめんな。

感情整理。 思えば大喧嘩や気まずくなっちまう時って大体僕の切り替えが遅いからなんだ。僕が余計なこと言っちまった時も、あいつがあいつの香水の匂いがしない知らないウィンドブレーカー羽織ってた時も(ただのバスケ部の備品だった)、僕が勝手に取り乱して宥めてくれる時もそうだ。あいつがモヤついてる時はハッキリ口にした後ビックリするぐらい速く切り替えて元に戻るのに、僕は大体置いていかれてる。お前みたいになれたら、いいんだけれど。正直無理だと思う。それはあいつ相手だからとか恋人だからとかそういう理由じゃなくて、単純に性格の問題だしこのことをノートに何度も書いている気がする。何度も書くハメになるぐらい、学習も変わることも出来ていない。
 多分普通の恋人たちより喧嘩が多い僕らだから、もっと喧嘩も落ち込み方も仲直りだって上手くならないといけないなとずっと思う。なんだろうな、突然頭の中で警報音みたいなのがずっと鳴り続けるんだ。鳴り出すとどうやってこの場から逃げようか、どうやって僕からお前を逃がそうかばかり考えてしまう。僕がずっとこのままだと、付き合わせるあいつが可哀想でならない。これからの季節は特に自己嫌悪が加速するから……先のことを考えると、とにかく気が重い。それでも結局一緒にいることを選んだのは僕なんだから、本当恋って奥の奥はただのエゴだ。

 ああ、もっと強くなりたいな。でも、きっとお前は弱くてもいいって言うんだろうな。
 俺は人の期待に応えられなくなんのが一番怖えことだと思うよ。


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115 :デ/ュ/ー/ス/・/ス/ペ/ー/ド(t_w_s_t)
2021/10/24(日) 00:07

 僕は自分と向き合うことがとことん苦手なんだなと思ったのは、前向きになる気のない書き殴りをした途端ノートを開く気も起きなくなってしまったからだ。
 ……どこまで残しておこうか今もかなり悩んでいる。

 指の先が腐って、これ以上腐ってだめになる箇所が広がる前に手首とか腕とかから切り落とす。僕が死にかける時はそんな気分なんだって、最近やっと丁度いい言葉を見つけた。

 (消した跡がある)

 いけない、ノートを燃やしたくなってきた……やっぱりしばらく引き出しの奥にしまっておいた方がいいかもしれない。


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