>>0,90の続き。

>恋人にして欲しいことはありますか？
　ハグ。ダメか？

>ふと抱きしめたくなるときはどんなときですか？
　疲れてそうだな、ってとき。でも正直気がついたらくっついているんだよな。

>喧嘩はしますか？仲直りはどちらから？
　喧嘩も言い合いも話し合いだってしてばかりだ。でもそういえば、仲直りの切り出しは決まってお前からしてくれている気がする。

>独占欲はありますか？束縛したいですか？また相手に束縛されたいですか？
　束縛自体詳しくないんだが、最近少し「僕だけでいい」って思うことが出てきた。される方ならとりあえず監禁と素行不良を疑われるもの以外ならいいぞ、単位が貰えなくて卒業出来ないのは困るんだ。

>大切にしているものはありますか？
　……ちょっとクサいこと書きかけた。ラブレター。

>恋人を色、動物、花に喩えてみて下さい。
　色：ジャムみたいに煮詰めた赤。
動物：猫と犬の間……フェレット？
　花：花は全然詳しくない何だ、やっぱ薔薇か？ピンク色の……あ、チューリップでもいいかもしれない。とにかく花びらデカいもののイメージがある。

>恋人には自分、自分には恋人しかいないと思いますか？
　少なくともお前は探せばきっともっと相性が良かったり恋して楽な相手はいるんだろうと思う。それでも僕はお前がいいんだ。

>二人の関係を一言で表すと？
　隣に居たいから居る。

>今の関係に満足していますか？
　泣いたり怒ったりはもちろんなんだが。もっと笑っていてほしいし、大事に出来たらいいのにって思う。

>ここだけ恋人になりきって、恋人を自分に見たてて愛の告白をしてみて下さい。
　すき。だぁいすき。……一番すきだ。オレのデュース。

……ちゃんと真似すんのは恥ずすぎて無理なんだが……！？これで勘弁してくれ間違ってはない。

>これで質問は終了です。答え終わった今、恋人に伝えたいことを一言で。
　ああ。うん。今日もお前が好きだ。この気持ちを持って、また明日。

>これをして欲しい方3名の名前をどうぞ。
　白126の僕と、黒108のクドウさん。よかったら。他にもやりたい方いれば下よりどうぞ！

　もう付き合ってるしお前はだいぶ前から僕に惚れてるじゃないか。

　何だかやけに気にしているようだったから、ならあいつの言う「いつか」が来る前に僕から書いてしまおうと思った。それこそミドルスクール時代の女の子とかと色々あったんだろうし、そういえばそんな話をいつかに聞いたかもしれない。……が、何にしたって僕にはノーダメだしな……。こういうのは先手必勝だろう？

　もし死ぬほど嫌だって場合は言ってくれ。なんなら破ってくれたって構わない。

馴れ初めの話

　ベッドに入ってそろそろ寝ようかとか考え始めた頃、背後……というより隣のベッドの気配がやたら騒がしいことに気がついた。消灯時間を過ぎていたし一回は無視して寝ようとして……あまりに何事だ？って無視しきれなかったから起きてあいつのベッドに向かった。声をかけたらさっきまで静かだったのが嘘みたいにあいつの口が回り出して、しっかりその中で僕のことをバカにしてくるものだから「もうベッド戻っていいか？」と聞いた。「良い訳ないだろ！」ってキレられた。

　あいつのベッドに腰掛けて聞いたのは、僕には縁のない恋の悩みだった。ハロウィーンに出会ったらしい子との、宙ぶらりんになってしまった恋の話。その子に何かあったんじゃないか、実はあれは罰ゲームだったんじゃないか。普段スカしてたりバカにしてきてばかりのあいつがテンパっているのを見て、こいつマジな時はこういう顔をするのかと思った。恋愛自体「？」だった僕にそんな大したアドバイスなんて出来るわけもなく、ただ必死なあいつが何だか眩しく見えたんだ。上手くいけば良いのに、と思っていた。その日僕が結局したことと言えば、話を聞いて頼まれた通りに思い切りブッ叩いて背中を押したぐらいだ。
▽
　上手くいって、そうなったらいつか惚気の一つでも聞いてやろうと思っていたんだが……そうはいかなかったんだろうなと、どこかのタイミングで思った。僕のベッドにあいつがやってきて遅くまで話す夜が増えたのは、出来てしまった空っぽの時間を埋めたいんだろうと思っていた。それから、……寝かしつけだったり、勘違いで僕があいつのベッドで眠りこけたり、背中合わせで同じベッドで寝るようになったり色々……色々を経て。僕があいつを轢いたあの夜に繋がる。

　僕に好きと言った次の日、自分の好意に対して何よりお前が負い目を感じているように見えた。長くない期間で恋愛相談をした相手のことを好きになるって説得力がないとか、それでも言ってしまったことについて堪え性がないだとか。……なんというか、今の僕からしたらややこしいこと考えてるなと思う。
　覚えてるか？お前が、僕のことを突然褒めたときのこと。例えば僕が上手くいくよう願ったお前に実は彼女がもう二十人いるかもしれないだとか、そういう裏を勘繰らないで目の前のものを信じれることがすごいとか、多分そんな話。当時も小難しいこと考えてんなこいつと思ったから聞いた。「でもお前は二十股しないだろ？」「しない。」ならそれが全てじゃないかとあの時に思った。……僕にとってはそれと同じなんだ。
／
　僕はな。少なくとも、僕は。お前の好意に説得力がないなんてこれっぽっちも思わない。それはお前が自分嫌いの僕に気の迷いなんかじゃないって分からせるぐらい、何回も伝えてくれたからだ。
　お前の愛情はすごくデカい。それから僕にも自分で抱えてるソレにもお前はとことん誠実だ。あのタイミングで、たまたま声をかけたのが僕だっただけなんだよ。直接でも伝えたが、僕はお前との出会い方に負い目なんて全ッッッ然、感じてないからな。
　もし出会い方のせいでそれってどうなんだ？とか言ってくる奴がいたとしたら、「まるでマンガや小説みたいだろ？」って笑っておくさ。頭がお花畑？上等だ！それでもお前ん中で割り切れないって言うなら、一回僕の強さを信じてくれないか。

　週末、もう一度黒い襟の下でリボンタイを金具で留める。3日を過ぎて誕生日でも何でもない日に、またこの服を着た。今度は出歩いたりしない。……というより、怒られる気しかしないから出られないの方が正しいんだが。当日いられなかったあいつのためで、……うん。あのな。あとで揶揄ってやろうと思って、凄く眠そうなところをスマホで録っていたんだ。録画ボタンを押したタイミングであいつが言い出したアレ……の、ためでもある。うん。とんでもないものを録ってしまったし、僕は今後再生出来る気がしない。
　部屋に戻ってきたあいつがやたら感動してるから、写真撮っていいぞってしたらまさか連写食らうと思ってなくて。キメてやってたのにテンパってたら笑われて……思い出してみると悔しくなってくるな。

　いつか言い合いをしていた時に「寮長になってオレのブーツにキスさせる」とかほざいていた口が、今日はオマエが女王みたいなもんでしょって言ってタンブラーにアイスティーを注いでくれる。モストロラウンジで発注してくれていたらしい小さめのクリームケーキが、またすごかったんだ。表面が淡い色で、青から白に変わってく上で小さい星形のチョコが散らばっていて、「Happy Birthday」って書かれていて……すごくないか！？すげえよな！！？写真を撮ってもらって、キャンドルに魔法で点けられた火を吹き消す。バースデーケーキのキャンドルは、願い事を込めて火を消すとそれが叶うんだそうだ。あいつは僕の知らない事ばかり知っている。一度に吹き消したら驚かれたんだが僕の肺活量を舐めないでほしいし、そう言ったら「なめてたわ」って言われた。この野郎。
　二人で食うのにケーキがピースじゃなくてホールなのは、あいつが家だとホールケーキが出るって言っていたのと、それがいいって僕が言ったからだ。あいつの家じゃ誕生日にはお父さんがマジックをして、お兄さんがホールケーキを買ってくるらしい。……だからそれと同じように誕生日祝いにホールを用意しようとしてくれることが、すげえ、嬉しかったんだよ。嬉しかった。僕が言い出してケーキを切り分けて、ああ、勿論味もすげえ美味かった！これを作ったオクタヴィネルの誰かにも礼を言いたいぐらいだ。
▽
　食べ終わってから改めてプレゼントを貰った。二本のシューレース。事前に聞かれて頼んだ時は「強そうなのにしよ」って言っていたから、どんなのが来るかと内心ヒヤヒヤしていたんだが実用的なもので安心した。本当はシューズの方がプレゼントっぽいかとも思ったんだが、それは足のサイズとか形でちゃんと選ばないと使えない確率の方が高えだろうと思ってやめた(……から、ハント先輩はマジですげえと思う)。切れないよう大事にしよう。
　それから、チョコレート色をした表紙のノート。……に、挟まった手紙。これも僕が頼んだんだがその前から書き進めてくれていたらしい。誕生日ってすごいな。こんないい思いしていいんだな……。

　ま、それから結構すぐに言い合いが始まったり拗れたりするんだが。……今となっちゃもう笑い話な気さえする。ある意味僕ららしいか？いっぱい祝ってくれてありがとう！
　願ったことだし三ヶ月後、その日が来たら頑張ろうと思う。