お前と軽口を叩き合ってる時間が好き。お前と膝を突き合わせてじっくり話したり、お前の言葉に耳を傾ける時間が好き。互いに忌避してきた言葉を口にし合えるようになって、毎日お前が好きだなって実感する。毎日恋をしてるってこういうことなのかもしれねえなって思ったり、この恋を必ず受け止めて何倍にも膨らまして返してくるお前の熱量が嬉しくて思わず笑っちまったりして。今日も愛してるなあ、って心底感じる。相変わらず朝は眠いし、授業もラウンジも部活も忙しいけど、お前と過ごす時間の為に柄にもなく頑張っちゃってるくらいには、毎日どこかでお前を感じられる時間がねえとダメになってきた。ねえ。着々とダメになってるよ、オレ。嬉しい?
>嬉しいに決まっています。随分と丸く柔らかくなったものですね。出会ったばかりのフロイドはあんなに尖っていたのに。その棘が愛おしくて手を伸ばした筈でしたが、いつの間にか丸みを帯びて、更に愛おしくて堪らなくなって。気付けば出会った頃よりも夢中になっていました。日毎に“好き”を増していくこの想いはあなたが育ててくださる賜物。僕はフロイドの何もかもに骨抜きです。明日も愛しています。大好き。
今となっては可愛こぶってるオレも大好きだもんねぇ♡
陸に上がって、生活の何もかもが変わって、最近ではオレ達の関係まで変わって。ふと思った。オレって、お前のことを知ってるようで知らねえことだらけだ。二番目三番目に好きな食べ物、嫌いな食べ物とか。階段に最初に乗せるあし、咄嗟の陽射しを遮る腕はどっちか、とか。
人間の食文化を知って二本の尾鰭を得て、熱い太陽の下で白い肌の兄弟に恋をしてさ。少し前まで暗い深海で一日一日を生きていたのに、バカみてえに平和な毎日で笑えてくる。お前自身も知らねえくらい些細なことも知りてえなって考えるくらい安逸を貪るような日々だから、脳味噌の余白は全部お前がいい。
書くことが思いつかねえ
✎𓂃𓆜𓆝
𓆛𓆜𓆝𓆞𓆟
↑
勝手に落書きしたウツボは罰としてオレにちゅーしろ。
✧
最近は互いになんとなく、前より少しだけ、臆病になった気がする。そもそもウツボは臆病な生き物だけどさぁ、ソレはソレとして。…多少は心が解れて、元から抱え込んでたモノが露呈し始めたからなのか。変化した事で恐れるモノが増えたからなのか。分からねえけど。弱さを甘えに混ぜて曝け出し合えるくらいには、兄弟を越えて番らしくなってきたって都合良く解釈してもいいかな。
不安が綺麗に消えることもない、この先不満が生まれない保証なんてない、きっと喧嘩もするし気持ちが擦れ違うことだってある。つらくない恋愛なんてねえと思う。でも、だからこそお前との間に産まれた気持ちは余す事なく全部受け入れて飲み込みたい。それに、オレ達ならきっとつらさの何倍も楽しんで生きていけるだろ。退屈なんてさせねえから、今日も傍にいて。明日もオレを見て。明後日も好きだって言わせて。オレに愛されて。明後日のその先も、…ずっと。
……、情欲の昂りが治まらねえ。大事に絡め取った身体とこのまま穏やかに揺蕩っていたい反面、感情のままに掻き抱いて今すぐオレのものにしちまいたい。仄かに朱が差した頬を撫でて、熱い呼気代わりに言葉が溢れる唇を奪って、喰らって、オレの熱で心身を溶かしてやりたい。
好き、…好き。オレの唯一。
いつかまた書いて良い、と許可をいただきましたので。
確保
︎︎◌
少々時間が経ってしまいましたが、頁を確保したこの日のことを綴るといたしましょう。毎日暇さえあれば傍に居るからか、良い意味でペンを執る時間が無いという幸せな悩みに苛まれていましたので。
この日、フロイドが告白をしてくださいました。
今までも何度だって好きという言葉を交わした事がありましたし、それ以上の言葉を契ることもありました。しかしウツボという臆病な性格と過去の柵からそれ以上先を望めず、お互いに一歩を踏み出すことが出来ずに居ましたね。僕はフロイドを失うくらいならそのままで良いとすら思っていました。
ですが、フロイドは勇気を持って“番”という輪を薬指に嵌めてくださいましたね。これは僕にとって驚きと喜びに満ちた告白でした。もちろん一切の混乱や不安が無かったかと聞かれたら、それは否、でしょう。今まではあなたが消えてしまっても番では無いからと自分を無理矢理にでも納得させる理由がありました。しかしそれが無くなってしまう畏怖。だからこそ怖さは想いの強さの証明だと、悩んだ末に僕も番いたいと手を差し出したんです。フロイド程に格好良く、美しく、可愛い方がこの世界の何処に居るでしょう。そんなあなたが僕を見初めてくださったことがどうしようもなく嬉しかったんです。後悔はしていません。この先何があっても、あなたを想っているこの日々は確かに有ったもの。喧嘩をしても、寂しさに打ちひしがれる夜があっても、僕は何度だって想いを重ねていくことでしょう。
穏やかで温かい日々に驚きつつも、このままずっと続けば良いと願って止まない。この日に誓った想いをフロイドに信じていただけるよう、僕の持てる時間の限り全てで愛していきます。ずっと僕だけを見ていてくださいね。
愛しています、フロイド。僕の自慢の番。
唯一無二の片割れから、この先は世界で一番大切な番としても沢山の時間を共に過ごしていきましょう。
幸せな毎日をあなたに注ぎ続けます。もっと駄目になって、僕抜きでは息も出来ずに溺れてしまう可哀想で可愛い人魚になってください。