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スレ一覧
┗1407.telescope(46-50/50)

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50 :Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2025/06/02(月) 01:56

「君たちは喧嘩をしたりはしないのか」、正確に近付けるなら近況報告のような流れで「最近はどうしているんだ、喧嘩はあったか」という問いを真正面からぶつけられたことを、事あるごとに思い出す。それを聞いた人間が置かれた状況を知っていて僕は正直に「喧嘩はしていない、そもそも起こらない」と答えた……と思っているがそのあたりの記憶は曖昧だ。人間の記憶とは持ち主に都合が良く、己に突き刺さった言葉は覚えていても、他者を傷付けた自分の行いは容易く忘れてしまう。
だから僕のあの日の言葉が真実であったかどうかも、今となってはよくわからない。「喧嘩」とはどの程度を指す? 心の深くに根付いた感情は、その源である彼の一挙手一投足で揺れ動いては思考を歪ませる。弁論によく馴染んで回る舌は自分自身の主張を語るに慣れて、毎夜恋人の身体を抱き寄せ眠る腕は息を吸い込み膨らむ薄い背中を撫でて宥めるばかりだ。
僕は好意を持たない人間と日々を暮らせるほど許容範囲が広くはないし、打算で振る舞いを変えられるほど、対人関係に器用ではない。――半年と四日ほど前、あのギャンブラーにはどうにも、いくつかの謀があったようだが。だからつまり僕は大学で講義を終えた夜を彼の部屋で過ごす限りそれを好意の表れとするし、彼は彼で嫌気がさしたならそれなりの手段を講じることができる男だと思っている。……だが、当時の会話を鑑みるに「喧嘩」というのはそれとはまた別ベクトルにある問題として定義できる。そして互いに反発し合うものなのだろうとも。まあそれにしても、感情的な反発を向けられることには慣れている。論理的なものであれば、それはこちらも論理で応えるべきものだ。だから今この時にも僕の答えは恐らく望まれていたものとは違い、「よくわからない」になる。儘ならない感情も、彼との今に育まれる大切な一つだろう。疲れた顔で帰宅した彼の無防備な寝顔を眺める今日の夜だって、僕の心は穏やかだ。


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49 :Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2025/05/31(土) 10:13

浅い眠りの途切れ目に感じる隣の体温、碌に瞼の持ち上がっていない瞳が僕の名前を呼んで線のように細くなる瞬間に湧き上がる愛おしさが、どうしようもなく胸を締め付ける感覚が、朝の目覚めを過ぎても未だ甘い後味を残して消えていない。寝言にも近い宥めるような囁きを、言わせたのはきっと僕だろう。大袈裟な口振りでころころ表情を変えたり、それこそ前のページのように物をせがんできたり、好き勝手をしているのは彼のように見せかけているものだが。実際のところ、あの男は僕の頑固と情動の発露を許容し続けている立場にある。


この頃はまさに「びーびーぎゃーぎゃー」アティニークジャクさながらよく喚いた彼が羽を休める一助になろうと思っていたはずが、昨夜はむしろ反対に僕を気遣う言葉を吐かせる始末だった。そんなことを書いているうち起き出した愛おしい恋人が僕の胸元で眠気を振り払おうと呻いている間、ポケットで溶け出し包みを汚したチョコレートの香り以上にどろりとした甘ったるい心地に包まれているのだから呆れる。僕の言葉に代替案を挙げるときの思い巡らせる視線と言葉の静けさ、夜食の誘いを持ち掛けるときのふざけた真剣な表情、些細な手付きに緩んだ唇が僕を受け入れようとする瞬間。振る舞いのひとつひとつが堪らなく瞼の裏にまで焼き付いている。
バカもアホもマヌケも否定出来ない惨状だが、半年の道程を振り返れば前進していないわけでもない。感情に正誤は無く、快不快の答えは向けられた側が持つ。表明の手段が言葉であれ、態度であれ。与えられた明確なマイナスは当然改善するべきで……目下僕を悩ませる課題は、彼と暮らす創造物たちに、彼を何と呼べばいいのかというものだ。


以下、私信。
水の国のシェフ、あるいは知恵の国の踊り子に宛てて。
返信不要とのことだが筆を執りたくなったもので私信を綴る。君の日記を初めて手に取ったとき、僕もそちらの大陸についての知識は曖昧な伝聞のみだった。しかし文化を知らずとも、世界の理が自分たちの暮らす星とは違って見えようと、そこに生きる人間の瑞々しい感情に違いは無い。食を共有し眠りに寄り添い街を歩く君たちの思いやりに溢れた日々は、太陽が頭の真上を過ぎた頃の陽だまりにも似て穏やかで暖かい。……とは気候の違いに左右されそうな感覚だが。僕にとっては好ましく、訪れを楽しみに待つものだ。
ふむ。料理は科学という言葉もある通り、フルーツシロップ作りの原理は学問として馴染みがある。溶け出す甘さが染み渡り果実の風味と混ざり合うだけの間、段階を見て講義をしてもいいだろう。ちょうどこの部屋には、食への好奇心が旺盛で利口な小動物も共に暮らしている。良い提案とメッセージに、改めて感謝を。


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48 :アベンチュリン(hsr)
2025/05/28(水) 01:10

HAPPY HALF ANNIVERSARY!
今日は半年記念日、ということでここに記念に書き残して行こうかな。
今日で出逢って半年、更に半年経った一年記念日には彼は生ハムの原木を買ってくれるらしい。
“大事に育てて食べようね”って話したら、それを聞いた創造物が勘違いして怯えてたんだ。宥めるのが大変だったよ。
そうそう、生ハムの原木ってお世話がいるんだ。僕は本当は半年記念日に欲しかったんだけど、湿気が多い時期はお世話が大変になるから却下。
生ハムの話ばかりしてるけど、伝えたいことは全て手紙に書いたから良いんだ。他の人には秘密。
この同じ宇宙の何処かに存在する星の大陸の物語に彼が興味を持ち出したから交流の幅が広がるかもしれないね、僕は既にその大陸のことは調べてあるよ。僕もその大陸の暑い地域の踊り子の彼女と書記官の彼の日記、愛読してるからね。
今回の日記は、生ハムの催促と完全なる私信。


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47 :Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2025/05/22(木) 02:30

このままでは日記を書かないまま5月が終わると催促してくる恋人が居るもので、何度も書き出しを思い浮かべては筆を執る前に閉じたこのページにペンを走らせることにする。とはいえ何を目的として綴るわけでもない。さて主題をどう定めるべきかと、取り出したメモ書きに残っている文頭は「どうにも腹の虫が治らず、ピノコニーのアニメキャラさながらに態度を示す羽目になる前にここに思いの丈を書き連ねる。」……これは、没だ。彼の部屋で寝食を共にするようになってから、研究室のカレンダーが捲られた回数は6回。正しくは表紙を合わせて7回。だというのに今尚にして他の誰かの可能性を引っ張り出した男の口振りに納得がいかず書き記したものだ。いざ紙面にペン先を乗せるとなると、正確な事の顛末も、連ねるはずだった彼の貴重な生態も、僕が独占しておくべきものだろうと思い直した為に仕舞い込んだ。どうにも自己評価が低く僕を高く見積もるあの男に、言葉を尽くす機会は日記帳の外にも充分溢れている。
けれど、こんな振り返りだけで終えても面白味がないだろう。いつもなら己が愚かしく堪らないと破り捨ててしまうような内容だが、ここに残しておく。


前のページには肌寒さを抜け出したばかりの日のことを書いたというのに、この頃は暑さの残る夜が多い。そのうち汗ばみかねない肌で抱き合って眠る幸せも知ってしまうと名残惜しいが、そろそろ寝具を取り替えるべき季節になるのかもしれない。
今月の思い出でも書いておくかと彼とのやり取り専用のプライベートな手帳――僅かな隙間にも、彼への愛おしさを確かめ慰撫する為の一冊だ。――を開いたところ、5月に残されていた記録は僕バカフリーハグ、ついでに言うなら4月は生ハムポテトチップスだった。今月の言葉二つはともかく、後者に関しては……僕は何度この話をするのだろうな。あの男がこぼす空腹のぼやきに心揺らされるという話を、繰り返していると知りながら何度も語ってしまうから情けないものだ。
寒さを嘆く日にも暑さに嫌気がさす日にも装飾を取り払った「あの男」そのものを腕に収めて、不在の余暇には彼が好むと言った物語を読み進め、そうしているうちに日々は過ぎていく。専用の没入器で触れる遠い大陸の冒険譚の内側、木材を目当てに宛ても無く歩いていたところ温泉地を見つけたのは今日の話だ。誰かの言葉故に、愛おしい存在の為故に、世界が広がる喜びを思い知らせたのは君だ。責任を取れ、というのは僕の言葉だな。ああ、つまりこれは、たった一人への私信でしかない。他にここまで読んだ者がいるのなら失礼した。結局のところ僕は、一人を愛したただの凡人でね。


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46 :Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2025/04/30(水) 12:40

今日は講義こそ入っていないものの、第一真理大学内での些細な、けれど直接出向かなければならない幾つかの予定の隙間。よく日の当たるベンチで全身に感じる温度が心地良い。学内の食堂もカフェも学生たちで賑わっているが、次の予定を思えば食事を摂るには時間が足りていない。だから暖かな陽射しの下でタスクの確認ばかりを終えて、やけに寒さが身を苛んだ昨夜のことを思い出している。毛布に包まって震えていたあの男が、今日はあの哀れにも縮まった肩を理性ではなく自然な形で緩めているだろうかと。彼の仕事に余計なことを考えている暇も無いはずだが……これを見たときに、少しでも温もりを思い出せればいい。もし日が落ちるより早くこの書き置きに気が付いたなら、ペットカメラを覗いてみろ。きっと窓辺には、気ままに眠る創造物たちの姿が見られるだろう。


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