You are "ALL" in my world.

>> 2nd Anniversary.

　全ての始まりは初夏の植物園。あの出来事がなければ、アタシたちはこんな関係にはならなかったでしょう。顔を合わせてもすることと言ったら嫌味の応酬だけで、一通り険悪に噛みつきあったらつんと澄ました顔で背を向けて別々の場所へと歩き出す。実力は認めているけれど絶望的に気が合わない同級生……きっと、お互いの認識なんてそんなものだったはずよ。
　でも実際のところ、色々な……本当に色々な事の積み重ねの末、アタシたちは今、恋人としてお互いの隣にいる。今はもうそれが……アンタの隣に居るのが当たり前のように思えるけれど、一歩でも何かが違えば一足先に眠りにつくアンタの寝顔を眺める時間さえなかったかもしれないと思うと、少しだけゾッとするわ。今やもう、アンタの顔を眺めるのがアタシの日々の楽しみの一つなんだもの。

　アンタがたくさんキスしてくれること、ハグしてくれること、一緒に過ごす時間を楽しんでくれること、言葉を尽くしてくれること。普段のアンタを知る人からしたら信じられない程に優しい言葉や表情の数々にアタシはずっと支えられている。その何もかもに言葉で言い尽くせない程に感謝しているわ。でもね、その何もかもが嬉しくていちいち舞い上がって浮かれた反応をしてしまうのがここ最近のアタシの悩みでもあるのよ。だって、もう二年よ？　二年も経つのに、あれやこれやにどうして慣れることができないのかしら……これでもアタシ、学習能力は高い方だと自負しているわ。だからアンタからされるキスの一つや二つや三つ軽くいなして、「あらあらキュートな猫ちゃんは戯れたい気分なのかしら」なんて言って軽く手玉に取ることだってできるはず。でも本当に、全く上手くいかない。そもそもアンタからのキスをそんな簡単にいなすことができない。逆にキスする度に真っ赤になって、それをアンタから揶揄われる始末よ。こんな、いつまで経っても慣れない同じような反応で、もしも、万一アンタに飽きられてしまったら？　……そんなの絶対に嫌。アンタがぐっとくる反応を返せるように精進しないと。三年目にして新たな決意よ、いずれアンタを手玉に取ってみせるわ！　…………だから、その、経験を積むためにもこれからもたくさんキスをしましょ。ね。……いいこと、これはおねだりではなくて、必要な経験を積む為のオファーよ。決しておねだりではないから勘違いしないで。分かった？


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　二年間、それなりにお互い悄気あったり落ち込みあったり楽しいばかりじゃないこともあったわ。でも日記にはなるべく楽しかったこと、嬉しかったこと、アンタが読み返した時に笑って喜んでくれることを書こうと心掛けて、今日まで続けてきた。最近は更新を疎かにしがちだけど、今の撮影が一段落したら少しは手が空くはずよ。だから、これからもアンタが喜ぶことを書いていくつもり。とりあえず、アクアリウムデートの話はいずれページを取ってきちんと振り返るわ。……続きも楽しみにしているから、時間が取れたらまたいずれね。

　──アンタは、アタシの全て。誇張でもなんでもなくて、本当に。……ねえレオナ、いつも甘えさせてくれてありがとう。わがままに付き合ってくれて、感謝してる。何もかも下手なところばかりでまだまだ未熟だけれど……アンタの側に胸を張って居られるようにこれからも頑張るから、アタシの一番側で見守っていて。

>> 1.

　昨日一昨日とすこしバタバタしてしまって確保し損ねちゃったわ……はあ。とはいえ今日も朝から用事が詰まっているから、しっかり頑張ってこないと。後で編集、今日は……そうね、アンタが何もかもにかわいいだなんだと言ってくることについてかしら。別のことについて書くわ、これはまた改めて


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　明日でアンタと出会って二年になる、でもだからといって何かが劇的に変わるわけじゃないでしょう。アタシとアンタの毎日はもう日常で、なんの疑いもなくこれからもそれが続いていくと信じてる。
　！　……起きてきたからとりあえずここまで。また後で更新。


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　……はあ〜〜……、ようやくまとまった時間が取れたわ。
　とはいえ、もう二周年を迎えた後に筆を取っているからなにを書くべきか……ああ、そう。カウントダウンの件だけど、本当は記念日の10日前から一日ずつページをとって、毎日更新しようと思っていたのよ。まあ、そもそもの計算を間違えて9日前からのカウントダウンになったり確保だけになったり、挙げ句の果てに確保し損ねてしまったりして上手くいったとは決して言えないわね……とても無念だわ。はあ、余裕を持って準備していたつもりだったのに……これは三周年に向けての課題ね。まず日にちの計算を間違えないことよ、アンタにドジ扱いされて言い返せないのは悔しいじゃない。

　実はね、あと一日で出会ってから二年、って思った時に、中々信じられない気持ちでいたの。だって二年よ、二年。本当にあっという間だったから、なんだか信じられなくて……でも間違いなく二年の歳月をアンタと歩いてきたのよね。
　ね、ここまで来られたのはアンタのおかげよ。……なんて言ったらアンタは自分だけの手柄じゃない、みたいなことを言って首を振るんでしょうけど……そんなことないわ。今アタシがアンタの側にいられるのは絶対に、絶っっっ対に、アンタのおかげ。本当に感謝してる。……この続きは二周年の日記で書きましょうか。感謝なんてしてもしてもしたりないんだから。

>> 3.

　今日見た夢にアンタが出てきたわ。アタシは大きな帽子を被って観光船らしき船の上にいて、アンタは日陰になる場所で柱へと気怠げに凭れて立っていた。「折角だからデッキに出ましょう」って言ってアンタの手を引いて、アンタはやれやれ、みたいな顔でついてきた。確か、その時帽子が風に吹かれて飛んでしまったのよ。でもアンタが咄嗟に掴んでくれて、被せ直してくれた。何か揶揄うようなことを言われた気がするんだけどそれは覚えてないわ、でもその手が随分大きく感じられたことははっきり覚えてる。その後はいつ船を降りたかも分からないし、断片的に覚えてる事も辻褄の合わない支離滅裂なものだったから割愛するけれど……久々にアンタの夢が、しかもアンタがとっても格好良い夢が見られて嬉しかった、って話よ。
　……ここまで書いておいて今思い出したけど、そういえばアンタは夢の中の自分に嫉妬するって言ってたんだったわ……。これはその、アンタが夢に出てきてくれたのが嬉しい、嬉しかったから教えなきゃって気持ちで書いただけで、決してアンタに嫉妬させたいとかそういう邪な気持ちで書いたわけではないのよ。本当よ？　今日のお昼を賭けたっていいわ、賭けたところで野菜嫌いのアンタは嫌そうな顔で要らないと断るんでしょうけど。アタシの特製スムージー美味しいのに、まったくもう。


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　アンタの尻尾がゆらゆらと揺れて、柔らかそうな耳がぱたぱたと翻る。アンタの機嫌が良い時の合図。少しだけ間の伸びた語尾でアタシを揶揄ったり、目を意地悪そうに細めたり……そんな風に、アンタがアタシの側で楽しそうにしているところを見るのは悪くない。可愛くて格好いいアタシの素敵な恋人。弱ったところは滅多に見せてくれないけれど、その時にはきっと全力で甘やかすわ。

　でも、今年に入ってからのアタシときたら何かしらの不調でダウンばかりしていて全く格好が付かないのよ。アンタに間違って自分に呪いを掛けたんじゃねえか、なんて揶揄われても仕方がないくらい。一ヶ月と少しでもう今年も折り返してしまうし、後半はもっとシャキッと動けるように今からフィジカル面のコントロールにも力を入れないと。頑張るから見守っていてちょうだいね。

>> 5.

　嘘をついていたことがあるの。アタシ、どんな質問でも滅多なことでは嫉妬なんてしないわ、とか余裕ぶったことを言っていたけど、実際そう言う場面が出てきたときにきっちりしっかりヤキモチを焼いてしまって……自分の感情だっていうのに中々思い通りにはいかないものね、はあ。

　言い訳をさせてちょうだい、想像上では大丈夫だったのよ。どんなことがあってもアタシが一番よね、なんて確固たる自信があって、それが揺らぐことなんてなくて、だから嫉妬することなんてないと思っていたわ。
　……でも、実際は些細なことでヤキモチを焼いて、早くアタシの所に戻ってこないかしら、なんてそわそわと帰りを待って……見るからに余裕のない態度。我ながら呆れてしまうわ、こんなはずではなかったのに。良い子にしている、って言ったのにこんなことでは、いつかアンタに愛想を尽かされてしまわないかしら。……いえ、こんなこと言うとアンタはまた「愛想尽かすわけねえだろ」なんて大層呆れた口ぶりで言ってくるんでしょうけど、それだけアンタに好かれていたいのよ。分かってちょうだい。アンタの側に居る努力を欠かす男ではないのよ、アタシ。

　アンタが好きで、好きだから一番側に居たい。でも足手まといにも重荷にもなりたいわけじゃない。だから、アンタが部活へ行く姿もちゃんと良い子で見送るわ。怪我せずに帰ってくるのよ、行ってらっしゃい。


>> 4.

　毎日一枚取って……と思ってたんだけど、アンタの確保したページが流れてしまうのが惜しくて今日はここに追記。……いえ、これはこれで書くのを急かしてしまってるように見えたら困るわね……？　焦る必要はないからアンタの時間を大切にゆっくり過ごしてちょうだい。アンタを喜ばせたくて書いている日記なんだから、しょげさせたり焦らせたりするなんてもってのほかよ。

　アタシは、……アンタのことが本当に好きで、時折その気持ちを抑えられなくなりそうになる。もちろん公衆の面前で何もかもを曝け出すような醜態は見せないわよ、アタシのイメージ問題にも関わるもの。ただ、アンタの前ではどうにもね。
　アンタと一緒にいる時間はいつだってハグしていたいし、そうでなくても身体のどこかには触れていたい。手でも、指先でも、背中だって、アンタの体温や感触を確かめられるならどこだって良いわ。……猫を飼う知り合いにあまりベタベタ触れすぎるのもストレスになって良くないって聞いたけれど、アンタには立派なお口があるのだから嫌だったら直接文句を言ってくるでしょ。……ふ。喉をガルガル鳴らして猫じゃねえ、って不満そうにするアンタを想像したら笑っちゃったわ。

　でもキスはタイミングを見計らわないとダメね。……だって、どうしてもそれ以上が欲しくなってしまうんだもの。