after the end roll

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　大切な約束をした話。

　それは、終わりの話。全ての物事に始まりと終わりがあるように、アタシたちの関係にもいずれお終いが来る。幕を閉じない劇は無いし、太陽は必ず沈む。できることは、その日がなるべく遅く、遠く、考えうる限り先の未来で来ることを願って、努力することくらい。そんなことは分かりきっていたし、出会ったころからきちんと認識していたわ。
　ただ、今日改めてその可能性を考える機会が来て、変えられない未来と事実に愕然として、同時に、アタシがただ利口なふりをしていただけだということにも気付いてしまったの。

　アタシたちはいずれ、インターンの時期を迎える。レオナは自国の研究所に学外研修に行くし、アタシは自分の夢のため、妥協した研修先を選ぶ気はない。だから、その間は会えない。話すことも出来なくなる。じゃあ卒業した後なら、とも思ったけれど……それはそれでお互い、スケジュールに追われて益々忙しくなるのは目に見えている。いつまた学生時代みたいに……今みたいに側に居られるようになるかは、アタシにもアンタにも分からない。

　そうなった時の事を考えたときに、アンタはアタシのことを一番に心配したのよね。だから、あんな風に言ったのね。言われた時は頭に血が昇ってしまって、悲しくて冷静には考えるのは難しかったけれど、今ならアンタの気持ちも少しは分かるわ。でもやっぱり、それでも嫌だった。何度聞いても、どうしても慣れることも受け入れることもできなかった。

　アンタの前で初めてきちんと怒って、慣れないことをしたものだから加減も分からずに無駄に傷付けたわ。傷付けられて、傷付けて、お互いにどうしようもなかった。
　ただ、アタシはアンタと一緒に居たかったから、それだけは曲げなかったでしょ。アンタが語る終わる未来の、タイムリミットの話を聞く間も、酷く落ち込みはしたけれどね。どうしても、聞き分け良くはなれなかった。お利口な顔はできなかったわ。

　……でも、そのおかげでアンタが折れた。アタシの強情に呆れながら、少しだけ柔らかくなった表情で、アタシがアンタを待つことを認めてくれた。……約束をしてくれた。

　嬉しかったのよ、本当に。嬉しくて、嬉しくて、この気持ちだけで何年でも待てるって思うくらい嬉しかった。ねえ、……アタシといる未来をあきらめないでくれてありがとう。

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　アンタの都合がいつからつかなくなるかは分からないけど、その日がきた時に後悔はしたくない。だから、今できることは何でもやっておかないと。アタシにできる限りのあらゆる方法で、アンタに愛情を伝えないとね、……って思ったけど、それって今までとあまり変わりない気もするわね……？　改めてなにか出来ることはないかしら……また考えておくわ。

I love you.

>> 33ヶ月記念。

　確保。
　……こうやって、早速自分もって実践してくれるところが好きよ。

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　さて、何から書きましょうか。まずは……そうね、この一ヶ月は年末に比べてアンタとゆっくり過ごせた日の多いひと月だったわ。久々に勝負もできて、アタシが勝って、……ふふ、アンタの悔しそうな顔ったら、ねえ？　かわいいひとよね、ふふふ。

　久々に触れ合うこともできて嬉しかったわ。多少のすれ違いもあったけど、それでもアンタの側に居続けられているのは、不甲斐ないアタシをアンタが許してくれているからよ。

　そうだ、そういえばガトーショコラはちゃんと食べてくれたのかしら……？　シューズも、まだ使っているところは直接見ていないけど……喜んでくれたなら嬉しいわ。大切にしなさいよね。まあ、ぼろぼろになったらまた新しいものをプレゼントしてあげるわ。それこそ毎年だってね。

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　アンタが好きで、好きだからこそままならないことに苦しく思ったり、寂しく思ったりする日もあるけれど、だからってアンタから離れたいとは一瞬も思わない。……誰よりもアンタにそれを信じていて欲しい。どんな時でもアンタの側にいたいわ。愛してるの、……本当に、愛してるのよ。

　レオナ、好きよ。……何があっても、どんなことがあっても、アンタが好き。

私信。

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　アタシ視点の1000日記念後日談。

　結論から言うと、しっかり喜んでは貰えたのよ。……ただ、アタシから祝いたいって気持ちばかりを優先した結果、当日までどういう日かを知ることすらできなかったレオナが、『そんな大切な日を自分からは祝えなかった』って思った時にどんな気持ちになるかを全く考えていなかった。今思うととんでもない馬鹿ね……アンタを落ち込ませて、何で落ち込んだかを丁寧に噛み砕いて説明してもらってからようやく自分の浅はかさに気付くんだもの。
　アンタとアタシは違う人で、価値観なんて違って当たり前。それなのに、アタシはアタシの目から見えるものをアンタも同じように見て、アタシが思うことを同じように思ってくれると勘違いしていたの。……本当に馬鹿ね。

　もうその後のアタシは全然ダメ。落ち込んでるのを隠そうとして失敗するし、察しの悪さが大爆発。本当にダメ。まるで良いとこなし。でも最終的には持ち直して、次の1111日は二人でお祝いしましょってことでまとまったわ。でも冷静に考えると1111日って三年祝いの5日後なのよね……ちょっと間隔が近くない……？　まあでも、お祝いごとはたくさんあった方が嬉しいから、いいのかしらね。


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　そして反省しすぎて身動きが取れなくなった結果、もう一悶着起こしてしまうっていうダメっぷり。は〜……。
　恋人は手に掛かるほど可愛いだなんてアンタは嘯くけれど、最近ちょっと……手を掛けさせすぎている気がする。でもアンタに隠し事が通用しないことはよくよく分かっているから、そうなるともうアタシがどれだけ早く素直に泣き言を漏らせるか、って話になるのよね。情けない限り。はあ。

　……どんな時でもアンタの側に居たい。それだけは何があっても変わらないわ。


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All I need is YOU.のアッシュへ。

　ふふ、お久しぶりね。それとお引越しお疲れ様。またここでもアナタの姿を見ることができて嬉しいと共にホッとしたわ。……熟練カップルだなんて言われると擽ったいけれど、アタシもアンタたち二人の気の置けないやりとりを好ましく思って日記を追っているわけだし、お互い様ってやつかしら？　これからも何卒宜しくね。