彼女とのデートは、白くて、ひらひらの服にした。おそろいの衣装だ。
いつもかわいいけど、俺のために着てくれるところも、かわいくて大好き。えらんでほしいっておねだりも、好き。俺はきみのためなら、なんだってできるよ、エダ。世界だって敵にまわしてあげる。
エダがねむったから、彼女にとどいていた封筒をとりだす。へんなカードだ。書いていることはよくわからないけど、彼女に見せるまでもない。かわりに俺が返事を出すことにする。
『エダの代わりに、ありがとう。できれば、もう彼女に変わったカードはおくらないでほしい』
これでいい。カードはもやしておこう。
エダが、俺じゃないものを見ていた。
治りょうをしようとよってきた女を、けんせいする、強い目。言葉はやさしいのに、いつもより少しだけ早口で、冷たい視線。
彼女の目が、好きだ。あの強いまなざしが、まっすぐに俺をつらぬくしゅん間、時間がとまる。彼女だけが俺をただしくみちびいてくれるんだと、わかってしまう。なにもかも、どうでもいい。彼女の声と、笛の音だけが、俺にとってのすべてだから。
まぶしさに目をさましたとき、おはようの形になるくちびる。おはようできてえらい、って頭をなでてくれるやさしい手のひら。ベッドから起きあがるときの白い、ふくらはぎ。服をえらぶときの、うで。寝まきをぬいだときの、背ぼね。着がえるときの、布がこすれるおと。行ってきますと、行ってらっしゃいの、キス。食事をするときにみえる、舌。たいき室の、つくえの下でにぎる指。治りょうのとき、俺をみつめる真けんなまなざし。俺をよぶ、とくべつな笛。おかえりなさいの、ハグ。シャワーをとめて、体からしたたる水てき。タオルをかぶせてくれるとき、香るいいにおい。おやすみのとき、ベッドにおちるやわらかい髪の毛。毛布のなかで、ぴたりとくっつく体温。長いまつ毛に、まあるい目。眠そうな、まぶた。ちいさな寝息。
ぜんぶ、俺のたからもの。
エダが、書いてくれてる!うれしい!大好きだよ、俺のおひめさまЪ
エダとは、Ъをかく遊びをしている。
どちらかがせんをかいて、どちらかがぬりつぶすって遊びだ。どんな色でかいてもいいし、どんな色をぬってもいい。かたほうがかいたら、交代して、ふたりでЪをかいていく。
毎日やってるうちに、Ъはたくさんになった。数えるのがたいへんだったから、いまЪがいくらあるかってべつの紙に残してた。……のに、もうすぐ4回目の1000っていうとき、その紙をうっかり手からすべらせて、だんろに落としてしまった。火の中でパチパチともえはじめたかとおもうと、すぐに消えていった。
すごく、かなしくて、かなしくて。おちこんだ。そんなとき、あたらしい紙にдЪって書いてくれるエダのこと、好きだなぁ、って感じるしゅん間なんだ。
そのあと、笑顔になってくれてよかった。って、ほほをつつみこんでくれるやわらかくて、やさしい手も好き。
チョコレートのはなしをしたら、エダといっしょにすることになった。