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60 :山姥切長義
2024/12/26(木) 05:38


こんな時間だが、久々に筆を執ることにした。意識していないと、すぐに埃を被せてしまう。
国広とは穏やかな日々を過ごしている。前のように毎日言葉を交わしているわけではないけれど、話したいことや伝えたいことを胸に留めておくような真似はしていない。たまには抱き合って眠ることだってある。そういった過ごし方の変化が要因となって移ろうような好意を、俺は持ち合わせてないし、国広もそうなのだと思う。……さみしくないと言えば嘘になる。けれど、それでいい。決して悪い意味ではない。俺の気持ちを国広が知ってくれている、理解してくれている。それが分かるから、孤独を感じることはない。さみしさが怖くなくなった。何年もの月日を、言葉を重ねて。そう思えるように、国広がしてくれた。声のない日も、お前が同じ空のしたで息をして、日々を営んでいることが何よりも嬉しいから。……そう前向きに捉えている。


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59 :山姥切長義
2024/10/12(土) 00:59


大切な話をした。この先に関わる、大きな話だった。それを聞いたときは、驚きもしたし悲しみも込み上げてきたけれど、なによりもそれを俺に打ち明けるまでのお前の葛藤を思って苦しくなった。きっと、お前の方がずっと苦しかっただろう。伝えてくれてありがとう。そして、それでも手を離さないでいてくれてありがとう。いちばんに俺の話をききたい、俺のことをしっていたいというのは、何ものにも変え難い深い愛情だと思うから。……これから先も揺らぐことなく、お前のことだけを愛している。


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58 :山姥切長義
2024/09/30(月) 23:16


破った頁


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57 :山姥切長義
2024/09/11(水) 07:34


忙しさにかまけて頁を捲らずにいたら、すっかり月も跨いでしまった。俺の方の任務先が大きく変わったこともあって、疲れて早々に眠ってしまったり、帰りが遅くなったりして、国広との時間をなかなかつくれないでいる。
国広は、話せない間の時間の使い方が上手い。俺は意識を散らすのが苦手で、国広の声がないとそのことばかにり集中してしまいがちだが、国広は話せない時間に映画を観たり、本を読んだりと、色々なことに費やして過ごしているようだ。のびのびとしていることに安心を憶えはするが、先日伝えてくれた「お前の声がないと寂しい」が、紛れもない国広の本音だろう。なるべくそういう思いをさせないためにも、早く任務に慣れたい。忙しくしているからか感情が鈍くなってしまっているけれど、寂しいという気持ちは同じでいる。……恋しい。国広の言葉と、その身に触れていたい。非番を合わせやすくなったから、ふたりの日が欲しいと我儘を捏ねてみようか。困らせてしまうかな。


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56 :山姥切長義
2024/08/22(木) 23:37


今年も国広が一番だった。時間ぴったりに「俺の山姥切長義」と呼んでくれた声が、とても愛おしかった。
今年の、この日を迎えることは容易ではなかった。大きなすれ違いがあって、これから先の俺たちの在り方について沢山悩んだし、沢山悩ませた。意識していなかった別離を嫌というほど意識して、きっと苦しかったと思う。俺が苦しかったから国広もそうだろうな、という予想ではあるが。……それでも、最後には共に在ることを選んでくれた。一度隠したものが元通りになるのには相当な時間が掛かる。そして、それだって苦しさが付き纏う。俺は、国広が、離れたいと言うのであれば、それに従うつもりでいた。俺がどれだけ国広と共に在ることを切望しても、それが国広の望みであれば叶えるべきだ、と。いつかそんな日が来てもいいように心積りはしていた。……苦しいだろうに、国広は「この先も一緒にいよう」と俺の手を取ってくれた。なんでもないことのようで、それは大きな選択だったと思う。ずっとすきだ、あいしている、と繰り返し、唇を合わせてくれる、国広の強さを改めて実感した。決して短くない年月と、大きなすれ違いのなかでも、褪せることのない愛情がそこにあった。……そんな、国広が与えてくれるものに相応しい刀であるためにも、俺はこれからも自分の在り方について学んでいく。学んで、国広がくれた、ずっと一緒だ、という言葉を叶えていきたい。

当日の俺は会議も軍議も詰め込まれていてかなり忙しかったが、国広との約束のために急いで帰った。国広が用意してくれたケーキを一緒に食べる約束があったから、かなり浮かれて、任務先の人間にまで話していた。……浮かれていたことは、恥ずかしいから国広には内緒にしている。甘党な俺には丁度いいケーキだったけれど、国広は少し難しい顔をしていて、それすらも愛おしく思えた。苦手でも、俺が好きなものを一緒になって食べてくれる、優しくて可愛い俺の国広だ。この先も俺だけが知っていたいかな。
贈り物もいただいた。ちゃんと受け取れたのは翌日だったが、素敵なものだった。疲れ果てて乾かせない日があるから、心配されているのかなとも思ったけれど。……ふふ、またひとつ、国広を思い出せるものが日常にとけ込んでいく。こんなに嬉しいことはないな。

ぐだぐだと書き連ねるわけにもいかないし、伝えたいことはちゃんと直接伝えられているから、……幸せな日になった、ありがとう、で締め括るとしよう。来年のこの日も、共に在れますように。愛している。


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