国広と過ごすようになってから夏が好きになった。暑いのは苦手だけれど、国広との思い出が沢山ある季節だから。……時期に訪れる大切な日。どうして過ごそうか、今から楽しみだ。

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人員の補充が全くされない任務先に身を置いているうえに、月末と月初に掛けての忙しさ、それから、個刃的に身の回りの環境が著しく変化したこともあって心身共にかなり疲弊していたのか、涙が溢れて止まらなかった。……昨夜の話。国広が「大丈夫か」と声を掛けてくれて、そこからはもうぐずぐずだった。
国広のやわらかい言葉とあたたかな腕の温もりに包まれながら過ごす夜は、本歌でありながらも弱音を吐露することを許されているようで、ほんの少しの罪悪感と多大な安堵を与えてくれる。苦手な夜の、好きな時間。

任務先の上司が流行病に罹ったせいで、俺が非番を返上することになった。明日は国広の帰りをのんびり待とうと思っていたのだけれど、……共に頑張る日は、それはそれで嫌いではないから良しとしよう。

久々に悪夢を見た。俺の目の前で国広が折れてしまう夢だった。飛び起きると涙が溢れていて、国広を失うことが俺にとってどれほど胸が痛むのか、まざまざと思い知らされた。……ずっと共に在ると約束した。それでも、もしも万が一、折れてしまうようなことがあるのなら。そのときは俺も一緒に、……なんて、お前が聞いたら悲しむかな。

毎日、早朝から既に肌がひりつくような暑さで参ってしまう。俺も国広も暑さに弱くて、特に去年の国広は完全にとけきっていたから心配だったけれど、今年はまだなんとか耐えているようで少し安心した。任務の忙しさからも漸く抜け出せたらしく、そちらの面でも不安はなくなったが、……今度は俺が忙しさに身を投じる羽目になりそうで、今から気が滅入っている。少し夜戦にも呼ばれるだろうし、また寂しくさせてしまうと思うと胸が痛む。……どうにか大切な日は非番を賜れそうだ。その日の為に、明日からの任務も手を抜かずにやりきってみせよう。

五日にわたった忙しい任務が終わった日の非番。国広も非番を合わせてくれて、二振りでのんびり過ごしていた。
夏らしいことをしよう。と、国広が誘ってくれた手持ち花火をした。本丸の縁側、隣に並んで座って。国広の前だと思うと、つい気が緩んでしまうのだけれど、……そんな俺を他の刀には見せたくないのか、周囲を注意深く窺う国広を可愛らしいなと思ったことは、本刃には秘密にしておくとしようかな。

七夕の夜。任務を終えた国広は健やかに眠っている。お前に対する思いは、去年の今日となんら変わっていない。揺らぐことなく、ずっと愛している。今日も一日お疲れさま。