百日目 明け方。 不意に目が覚めたから 隣で寝ているアイツを抱き込むと 涙声で名を呼ばれた。 哀しい夢を見たらしい。 弱々しく俺の肩に顔を埋めるこの泣き虫は いつも唐突だ。 昨日は宇宙人と交戦した夢を見たと けらけら笑っていたのに。 だけれど、 弱ったときに頼られるのは悪くない。 僅かに込み上がる愉悦を押し殺すように わざと、仕方ないなあ、と呆れたように振舞って 口付けを落とせば 寝起きの頭では "怖い夢は全部俺が食った" なんて 胡散臭い言葉しかかけてやれなかったけど アイツがふにゃりと笑ったから これでいい。 指を繋いだ二度寝は 普段よりも愛おしく思った。 百日目、ありがとう。 |