R20 | 同性愛年齢捏造 | 流血表現 | 現代軸カナ使用 |半完混 ヒガンバナ |
摘み取り アイツに一目惚れをして100日間。 出遭ってすぐに芽吹いた恋心は 此処で育って、花を咲かせた。 目標としていた百日を迎えられたから 今日で一旦筆を置いて 押し花にしてアイツに贈ろう。 100日間欠かさずアイツと遣り取りできたこと、 その喜びを余すことなく綴ったこと、 どちらも俺は誇りに思う。 アイツを想って筆を持つひと時は 甘くて、切なくて、苦くて しあわせだった。 ページの最後に、これからも 白いヒガンバナの花言葉のように 悠久に一人を愛し抜くことを誓おう。 さて、締めの言葉はこの辺にしようか。 いつまでも愛しているよ。また今夜。 |
百日目 明け方。 不意に目が覚めたから 隣で寝ているアイツを抱き込むと 涙声で名を呼ばれた。 哀しい夢を見たらしい。 弱々しく俺の肩に顔を埋めるこの泣き虫は いつも唐突だ。 昨日は宇宙人と交戦した夢を見たと けらけら笑っていたのに。 だけれど、 弱ったときに頼られるのは悪くない。 僅かに込み上がる愉悦を押し殺すように わざと、仕方ないなあ、と呆れたように振舞って 口付けを落とせば 寝起きの頭では "怖い夢は全部俺が食った" なんて 胡散臭い言葉しかかけてやれなかったけど アイツがふにゃりと笑ったから これでいい。 指を繋いだ二度寝は 普段よりも愛おしく思った。 百日目、ありがとう。 |
九十九日目 アイツと長らく綴っていた物語が ようやく章を進めた。 98日かけて創り上げた2日間は それはそれは密度が濃くて、 終わらない夜を繰り返しながら 俺達は互いを深く知っていった。 思い返せばあの時、 アイツが俺の髪に花を飾らなければ こうして日記を書くこともなかっただろう。 アイツから返書が届く都度、 その美しさに息を呑んで、疾走感に胸が躍り、 抱えた過去の切なさに感情が揺れていた。 愉しかったなあ。 はやく次の展開を書きたいけれど 折角だから、最初から全部読み返してしまおう。 今夜は感想戦をしようか。 ひとまずのハッピーエンドに祝福を。 足元に影が射す程に 燦燦と満ちた満月の下でのあの出遭いが 俺はまだ脳裏に焼き付いて離れない。 |
九十八日目 菜の花畑を見つけて 真っ先に浮かぶのはアイツの顔だ。 デカい図体に似合わず花が好きだから。 連絡を入れてやると 案の定、 "見てみたいなあ"と返事がきた。 仕方ないなあ。 連れて行ってやるよ。 近くに風変わりな喫茶もあるんだ。 ついでに寄ろう。 夏になったら、海にも行こう。 暑い暑いと文句を言うだろうから きっと夜の浜がいい。 秋になれば リスが寄って来る公園を教えてやろう。 腕を伸ばして胡桃を強請るんだ。 愛らしいだろう? アイツと行きたいところが沢山ある。 季節がどれだけ巡ったら行き尽くせるだろう。 まったく先の長い話だ。 愉しみにしていろ。 全部、連れて行ってやる。 |