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120.賭狩《トガリ》
 ┗5

5 :迅
2020/10/08(木) 22:41:01

「ただいま帰りました……」
「あ、おかえり〜……そうそうポチ。あのさぁ私ィ、足がむくんで来ちゃったなぁ〜」
「ッ!!」
「おいポチ、巳羽さんが困ってんだろうが」
「さっさとついてあげなよォ〜」
「っ……はい、ただ今……!」
「はぁ〜楽チン楽チン」

 いつの時代でも階級は絶対だ。その不変の掟に逆らう事など、絶対にあってはならない。
 逆らえば管理委員会からの報復が待っているし、例え逆転しようにも、とてつもない金額の『奉納金』が請求されるからそれも無理。
 要するに、『詰み』なのだ。

「ロイヤルストレートフラーッシュ!」
「うおおマジかよ!」
「イカサマ仕込んでんじゃね?」
「まっさかー、奴隷じゃ無いんだしさー」

 巳羽が零した一言を皮切りに、周囲に居座る彼女の取り巻き達がドッと笑い出す。
 例え悔しくても、彼女達の『奴隷』である彼に言い返す権利は無く、ただ歯を砕かんばかりに食いしばる事しか出来なかった。
 だからこそ───

「オラ、しっかり働けよ『ミケ』」
「ホント。『奴隷』の分際で栗崎君に買われるなんて、烏滸がましいにも程があるんだから」
「それな。ありがたく思えよ?奴隷ちゃん」
「……」

 絶望と失意に溺れる中で、僕は彼女との出会いを果たす事が出来たのかもしれない。

「(綺麗だ……)」

 全てを投げ捨てた僕にとって、強い意志を宿した彼女の瞳……彼女の存在は、巳羽の付けている悪趣味な装飾品よりも輝いて見えた。

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