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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/05/22(土) 00:56:56
違う。
光を奪われたんだ。
真っ暗闇に、ぽっと白い仮面が浮かんでいる。
パァン!と乾いた銃声が轟き、私は崩れ落ちる。
足を撃たれた。
「射殺か、刺殺か、扼殺か。死に方くらい、選ばしてあげるからね」
仮面は優しくささやきながら近寄って来た。
銀の刃がするりと下ろされ、私の肩に、喰いこんだ。
痛い。それよりも、恐怖。
「たすけて・・・おねがい・・・・・」
突然の出来事。
真っ暗でだだっ広い、何も無いこの場所に、眩しいくらいの光が飛び込んだ。
5色のマントに身を包んだ5人の戦士たちが、仮面と私を取り囲んでいた。
「レジェンドレッド!」
「レジェンドブルー!」
「レジェンドイエロー!」
「レジェンドグリーン!」
「レジェンドピンク!」
「5人そろって、レジェンドレンジャー!!!!!」
5人は歌舞伎のような大仰な立ち居振る舞いでキメポーズを取った。
その瞬間に私の中の恐怖、苦痛、混迷は消え、安堵、希望、そして決意が差し込んだ。
「レジェンドタイフーンだ!Pink!」
「Green!」
「Yellow!」
「Blue!」
「Red!」
5人の戦士が次々と光の弾ををパスし、徐々に威力を高めていく。まるで、バレーボールのように。
「Finish!!」
レッドが最後の一撃を打ち込んだ。
「なに!」
敵に直撃。仮面はぐにゃりと歪み、吹き飛ばされて――
私は廊下にうつ伏せに倒れていた。
顔を上げると奥で仮面の男がもがいている。青白い仮面は分厚い金具に挟まれひしゃげていた。
「レジェンドタイフーン・鼠捕りだ。連行しろ。」
赤い戦士がそう告げる。
「怪我は?」
彼は私の肩にそっと手を置いた。
でも、私のやるべきことはもう、わかっていて。
「死ね!!」
私は立ち上がると仮面の男に襲い掛かった。怒りの炎が具現化したのか、男を包み込み、壁を突き破って吹き飛ばした。
「やめろ!」戦士の1人が叫ぶ。
お構いなしで。
「逃げんな!」
仮面の男は空を飛んで逃げた。
その時の私は、もはや私ではなくなっていただろう。
全身の毛が逆立ち、白い身体は膨れ上がる。
手も足も太くなり、鋭い爪と、背からは大きな翼が生えた。服はびりびりに破ける。
ブチッという音で口は裂け、血飛沫が白い肌を汚す。
真っ赤な目を見開き私は飛んだ。
私はあいつを逃がしたくない一心で、宙を走り夕空を駆け上がった。
仮面の男は空中でくるりと振り向いた。
「任務遂行だよぅ」
真っ黒な腕が私の首を掴む。呼吸が遮断される。
「アズサワ:ナナみ、お前を殺す。」
「死ぬのはお前だ!」
こいつは、私のお父さんを殺した。そうであれば殺してやる。今殺さねば、二度とそのチャンスは無い。
やつの腕をへし折り、仮面に思い切り、噛みつく。
ゴキンというものすごい音、私は仮面の頭部を喰い千切った。
真っ黒い血が、噴きこぼれたコーラの様に飛散する。私は切断された頭をバキバキと噛み砕く。
残されたやつの胴体は、真っ暗な地面に、落ちてゆく。
「お前には死に方も選ばせない。今ここで死ね」
「雷(ライ)!」
私は真下に稲妻を叩きつけた。
「もっぱつ!」
2度の雷鳴がやつを木っ端微塵に消し去った。
直後私は雨となった。生暖かい雨となり地面に落ちた。私の体も心もドロドロに溶け、もう何も、考えられない。
「MARCH消滅。これでは奴からの情報を聞き出せない。無論、奴が如何なる拷問でも口を割るとは思えないが。ところで保護対象は損傷が激しい。どうされますかマスター。」
「お前に任す。」
「はい。」
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