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93.MÖBIUSーThe next HEROー
 ┗10

10 :迅
2020/08/04(火) 07:19:40

第2話(承ノ前)

ー宮城県角田市・ある住宅ー

「烏丸警部!」
「よせ、そんなガラじゃない」

年若い鑑識が敬礼すると、巌のようにゴツい貌を貼り付けた中年の警部はぼやく。

「また、例の事件か……」

警部ーーー烏丸秀俊《からすまひでとし》は凄惨な事件現場に目線を映し、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
こう言うのも不謹慎だが、無惨に刺し殺された遺体が現場に残っていたりする方が、『人の力で行える範囲の』事件なのだと納得出来る。
『人の力で行える範囲』の事件だから、だ。

「(コイツは……人の範疇を明らかに超えてる)」

ここを含める数件の現場に残っていたのは、刺殺または絞殺された分かり易い死体ではなく、壁に叩きつけられた人型のしたシミのような『何か』。
鑑識はメモ帳を見ながら、険しい表情の秀俊に被害者の情報や当時の状況などの説明を始める。

「ガイシャは三好和也《みよしかずや》。23歳フリーター。近隣住民の話によると、今までのガイシャとまったく同じですね」
「夜中に大きな破裂音……か」
「はい」
「これで何軒目だ?」
「これで……10軒目ですね」
「一体、どう言う殺し方をすればこうなんだ……」

話を書き終えた秀俊は、再び壁に貼り付けられた人型のシミに視線を移し、小さく呟いた刹那ーーー

『あんた達誰なんだ!?ここは俺達警察が……』
『退いてくれないか』
『あ、ちょっと!』

外で揉み合っているのか、鑑識の一人と落ち着いた声の持ち主が何やら言い争いをしていた。
そして、落ち着いた声が鑑識の隣を抜けたかと思いきや、被害者宅の扉が開き、その中にメガネをかけた青年と二枚の黒服の男が入って来た。
これには流石の烏丸も嫌悪の表情を浮かべ、年若い鑑識がメガネの青年に向かって怒鳴りつける。

「な、何なんすかあんた達は!?」
「現時刻を持ちました、この一連の連続殺人事件の捜査は、我々の管轄となりましたので」

青年の答えに「はぁ!?」と叫ぶ鑑識。
しかし、状況を把握した烏丸は青年に問いかける。

「しかしアンタ、どこの所属だ?」
「《NEXUS》所属、久城と申す者です」

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