日記一覧
┗191.いろはに金平糖(31-35/44)

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35 :長／曽／袮／虎／徹
09/30(水) 21:38

　✾* 午睡

非番の日は、自堕落に過ごすに限る。
夕べ雪に酌をして貰い呑んだ酒が醒め切らぬまま、上掛け一枚で事足りるほどには涼しくなった縁側で、昼過ぎまでとろとろと微睡む。
遠くに聞こえる短刀たちのはしゃぎ声。泥の上を駆け回る軽快な足音。のんびりと流れる緩やかな時間。
平和がここにある。凡庸だが、だからこそ何より尊いとされる平凡な日々。おれが守りたいもの。守りたいと願うもの。
こういうものをきっと、幸せと呼ぶのだろう。

ーーと、ふと。玉砂利を踏む一組の足音がすぐ傍で響いた。
ゆったりとした足取りのものがひとつと、それに続く歩幅の狭い小さな音色。
どうやら、町へ出ていた雪と小／夜が戻ったらしい。

未だ夢うつつを彷徨う意識の中で、床の軋みを聞いた。
こちらへ向かって来る気配と、柔らかく翳るまぶたの裏の仄かな闇。
くすくすと笑い合う控えめな声が降って来る。体温の高い小柄な身体がおれの隣に寝そべるのを感じて、それと同時に、投げ出した手元へさらりと流れるひんやりとした髪の房は、今日も変わらず絹の手触りだ。
思わず動かした指先で、愛おしいそれを手繰る。すると漂う花の香りは、秋を感じさせる甘い匂い。

気の遠くなるような、今では当時の記憶すら危ういほどの、遥か昔。
母が好んで読み聞かせてくれた、御伽草子に綴られていた天女の姿絵を思い出す。
白い肌に絹の髪、花の香りを纏うというその女神に、おれはいつも雪を重ねるのだ。

おれのもとへ降りて来た、うつくしい天女。
いつか天に帰ってしまうのではないかと不安で、酒に酔うたび子供のように、羽衣を出せ、羽衣をおれに渡せとせがんでは、優しく微笑む雪を抱き締めて眠る。
おれの寝ている間に、どこかへ行ってしまわぬよう。
天に帰ってしまわぬよう。
おれの傍を離れるのは許さんと、関白を気取ってその実、雪に甘える。

#……私は、何処へも行きませんよ。

手の甲に触れる、滑らかな温もり。
囁く声は、まるでおれの心を見透かしたようで気恥ずかしい。
照れ隠しに握った手を強く引き寄せれば、抗う事なく腕の中に落ちて来た細い身体を抱き締める。
よりいっそう強くなる甘い香りに薄く目を開くと、切れ長の瞳を細めて雪が笑う。
その小さな頭を胸に抱き込もうとして……甘い香りの正体を知った。

>……花簪か。

呟いたおれに、雪が目を丸くして愛らしく首を傾げる。
つられたように畳へ流れた髪に絡む、橙色の花。秋の匂いを振り撒くそれは、色の薄い雪の髪によく映えていた。

>秋の神様からの贈り物か？妬けちまうなあ…

言いながら髪を撫でれば、ほろほろと崩れた花弁が風に舞い、畳を転がって行く。
おれの言葉の意味を未だ理解できずにいるのか、しきりと首を傾けこちらを見上げる雪を抱く腕の力を強めて、額へ口付けた。

背中に寄り添い寝息を立てるのは、守るべき小さなもの。
腕の中に収まる儚く尊いものは、おれに強さをくれる天女。
相変わらず庭の向こうでは、わっぱどもの歓声が絶えない。
守りたいものの全てが傍にある、幸福な昼下がり。

金木犀の香りに包まれて、頬が落ちそうなほど甘い幸せに、溺れる。

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34 :燭／台／切／光／忠
09/27(日) 21:23

　✾* “おむらいす”

過ごしやすい季節になって来たね。
丸窓から覗く月は綺麗な望月で、外し忘れた風鈴を奏でる風ももう冷たい。
畑仕事で流した汗を洗い清めて、夕涼みがてらに縁側で眺める星空がとても綺麗だ。
こんな夜には、僕の大好きな彼の話がしたくなる。

そうだね、これは他愛もない惚気話。
ほんの少しだけ、お付き合い願えるかい？

長／谷／部くんって男は、ああ見えてよく体調を崩すんだ。
無理もないよね。昼間は休む暇もないくらい働いてるのに、夜には無精な主に代わって、遅くまで机に向かってる。
案外好き嫌いも多い上、放っておくとすぐに食事を抜いたりして。
これで身体を壊すなって言う方がおかしいってものだよ。

ついこの間も、熱を出して暫く伏せってた。
手入れ部屋に連れて行こうか？って聞いても、この程度なら寝てれば治る、なんて言って、頑なに手入れを受けようとはしなかったわけ。
仕方がないから、栄養の付く食事でも作ろうかって炊事場に向かう途中、手入れ部屋の前を通って気付いたんだ。
戦の経験を積む為、遠方の戦場まで足を伸ばしてた短刀ちゃん達が、手入れ部屋に詰め掛けてた事に。
それを把握してた長／谷／部くんが、自分の身体の不調より、彼らがより早く傷を癒す事が出来るように、手入れを譲ってあげてた事にも。

…それで、僕がどうしたかって？
勿論、一目散に彼の元に取って返したよ。

戻って来た僕の表情を見て、すぐにその理由を察したんだと思う。
僕に背を向けた長／谷／部くんの、掛け布団から覗く耳は真っ赤に染まってた。
誤解を受けやすいけど、本当は僕なんかよりずっと、周りに気を遣ってる長／谷／部くん。やり方は不器用だけど、誰より優しい長／谷／部くん。
そんな彼が、本当に愛しいって思った。

>早く元気になれるように、長／谷／部くんの好きなものを作るよ。何が食べたい？

少し汗っぽい髪を撫でながら問い掛けると、消え入りそうな声で帰って来た答えに正直ちょっと驚いた。
だって……ねえ？
病気の時に、まさかオムライスが食べたいなんて言うとは思わないでしょ？
好きだねえ。笑いながら呟いたら、赤い耳をもっと赤くして、すっぽり布団の中に隠れた長／谷／部くんは、最高に可愛かった。
ケチャップで描いたハートマークを見た瞬間、心底嫌そうな表情をされたのには少なからずショックを受けたけどね。

密かに思い出し笑いをしてたら、部屋の中から咳払いが聞こえた。肩越しに振り返ると、間髪容れずに手元へ飛んでくる丸めた紙の塊。

#…小腹が空いた。

手元に目を落としたまま呟く、長／谷／部くんの声に合わせて紙を広げる。
現れた神経質そうな文字は、その達筆に似合わずやっぱり可愛い注文を記していて。

>オーケー。すぐに用意するよ。

笑いながら腰を上げて、炊事場に向かう。
卵、あと何個残ってたかなあ、なんて考えながら。


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33 :へ／し／切／長／谷／部
09/20(日) 22:42

　❅* 書簡 其の弐

…燭／台／切に御願い、と強請られては致し方無い。主命では無いが、誠心誠意答えるとしよう。
先に言っておくが、此処に記した事には後日絶対に触れるな。──触れた瞬間に問答無用で圧し切る。



#大恋愛バトン

#＝ルール＝

#◆恋人のいる方限定なので、惚気まくろう

#◆同性、異性問わず

#①恋人のお名前は？
長／船／派の祖、光／忠が一振。
其の名を燭／台／切／光／忠、と云う。

#②お二人が出会ったきっかけは？
…彼奴が内密にしたいと云うのならば、俺に語る事は無い。が、敢えて云うのであれば初見で俺が説教をした事が如何やら彼奴の心を動かした切掛らしい。

#③付き合ってどのくらい？
出逢いは遥か遠く、桜の蕾が綻んで来た頃に。…其れから片時も離れた事は無かったな、互いが互いの背を必要として居る限り此れからも、屹度。

#④恋人の好きなところ
愛らしく、涙腺が脆く、思い遣り深い所。…挙げ始めれば切りが無い、悩みに悩んで三箇所挙げてみたが、此の他にも数え切れない程。詰まりは全て、と云う事なのだろう。

#⑤恋人のちょっと苦手なところ
……、考えてみたが苦手な所は特に。そうだな、遠慮がちな部分をもう少し積極性有る物に変えても良いかもしれない。苦手、とはまた違うが。

#⑥恋人を色に例えると？
薄紅色よりも薄く、淡い桃色。此の印象は昔から変わらない、…梔子の花色とも悩んだが矢張り此方だろう。
温かな色、春を思わせる色、想いの色。

#⑦恋人の一番可愛い(格好良い)仕種
──、…愛らしく思うのは甘えて来る所。両腕を身体に巻き付けて、まるで大型犬の様に甘えて来る。ふにゃり、と咲う所も。
格好良い所、とやらに散々悩んだが物腰だろうか。一つの一つの所作が美しい。

#⑧恋人の体の中で一番好きな箇所
此れも昔から変わらず、瞳と唇を挙げて置く。本当ならば全て、と答えるのが妥当だが敢えて挙げるのであれば。
炎揺らめく光の強い瞳も、弧を描く薄い唇も見て居て飽きない。

#⑨恋人を動物に例えると？
犬、時々狼。…時々兎。
普段は犬、其の時々によって狼に成ったり寂しがり屋な兎にも成る。

#⑩恋人と行きたいデートスポット
何やら物騒な事を彼奴が言っているが、そうだな…海に行きたい。寒い位が丁度良いだろう、序でに星でも見上げる事が出来たのなら。天体観測、とやらをしてみたい。


>>32

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32 :へ／し／切／長／谷／部
09/20(日) 22:41

>>33


#⑪恋人から言われた萌え言葉
…彼奴と同じ回答に成ってしまうが、名を呼ばれる事が一番に嬉しい。たったの五文字だけの其の言の葉に色が付くのは、お前が奏でる故なのだろう。
柔らかな音が、聲が。全てを伝えて来るんだ、…言葉にせずとも。気恥ずかしく成る程に。

#⑫恋人を漢字一字で表すと？
過去に直接伝えた事があるが、"想"。
相手の心を想う、想。理想も高く、想像力も俺より遥かに豊かだ。…勿論良い意味で。

#⑬恋人に作って欲しい(あげたい)料理
料理の腕は比べ物にならん程、彼奴の方が高い訳だが…そうだな。作って遣りたいと思うのは、味噌汁を挙げておく事にする。
出汁やら何やら非常に手間の掛かる物だと聞くが、…握り飯に合う物が此れしか思い浮かばなかった。

#⑭恋人に着せたい衣装(コスプレ)
何を着せても映える奴だ、着たい物を着れば良いと思うが…そうだな。袴姿、が見たい。道場で着る様な物でも良いが、大正の記憶の様な学に励む者が着る物を。

#⑮恋人としたいエッチなプレイ
──、…黙秘と云うのは許されないのか？
少し気に成る物があるが、此処では言えない。…直接伝える。

#⑯プレイ中恋人に言わせたい(言われたい)言葉
……上記に同じく。言の葉にしても行為にしても仕置をされるのは嫌いでは無い、とだけ。──触れるなよ、圧し切る。

#⑰恋人の浮気はどこから？
彼奴自身が其れを浮気、だと感じたら。
俺にされて嫌な事を光／忠は絶対にしない、…互いに不器用な事もあって、生涯縁の無い行為だと思って居る。

#⑱恋人を一生愛し続けますか？
期間は定めない、其の必要は無いだろう？…何時の時も、どの世界でも。俺はお前を探すだろう、

#⑲恋人へ愛を叫んで下さい
素直に成り切れない、こんな無愛想で態度も詰い俺を好きだと云う物好きはお前だけだ。…お前だけで、良い。
有難う、と云う言葉では足りない程に。お前が大切だと心から想う。お前が隣に居てくれるからこそ、俺は此処に存在する事が出来る。

#⑳３人にバトンを回す、うち１人は恋人へ
今回は俺で終い、にさせて貰う。…こんな羞恥な物を投げられるか。光／忠に投げ返しておく。

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31 :燭／台／切／光／忠
09/14(月) 01:11

　✾* 書簡 其の弍

桂花抄の鶴／丸くんから、ありがたい事にバトンを貰ったよ。
実は長／曽／袮くんが回答してるのを見て、羨ましいなと思ってたんだよね。
さあ、張り切って答えて行こうか！

#大恋愛バトン

#＝ルール＝

#◆恋人のいる方限定なので、惚気まくろう

#◆同性、異性問わず

#①恋人のお名前は？
へ／し／切／長／谷／部くん。

#②お二人が出会ったきっかけは？
内緒。
僕達の日常とか、些細な出来事ならいくらでも語れるけど、出逢いは僕達だけの秘密にしたい。
単純に、僕の一目惚れだから恥ずかしいっていうのも理由のひとつなんだけどね。

#③付き合ってどのくらい？
主のような人間の時間で喩えるなら、もう少しで四年目かな。厳密に付き合ってから、と言うとまたちょっと変わってくるけど、毎年お祝いをしてる日を指すなら、四年。

#④恋人の好きなところ
ピンポイントでは難しいね。ちょっとした言葉だったり、振る舞いだったり、表情だったり、好きだなあって感じる部分は沢山あるけど……そうだな、敢えて言うなら、誠実でとても優しいところ。

#⑤恋人のちょっと苦手なところ
特に苦手なところは無いんだよね。まっすぐ過ぎる部分はあっても、生きにくいだろうなあって心配になるだけで、それもまた可愛いところじゃない？

#⑥恋人を色に例えると？
白。
一見頑なに見えるけど、実は柔軟に、恋人の色に染まれる可愛い人なんだよ。

#⑦恋人の一番可愛い(格好良い)仕種
恥ずかしい時目を逸らす仕種。
何でもないふうを装って、そのくせ真っ赤になってる時なんか最高に可愛いよね。

#⑧恋人の体の中で一番好きな箇所
全部、と答えたいけど、それじゃ月並みすぎるかな。
ひとつ挙げるとするなら、指。握ったり、絡めたり、噛んだりしてひたすらいちゃいちゃ触れ合うのが好き。

#⑨恋人を動物に例えると？
忠犬……って答えると思った？
正解は猫。気ままでつれない事が多いけど、そのぶん甘えて来てくれる時の可愛さはひとしお。

#⑩恋人と行きたいデートスポット
長／谷／部くんとならどこでも楽しいよ。二人なら地獄に落ちたって構わないくらい。
でも、そうだな…僕は恋人を着飾らせるのが好きだから、服でも見に行きたいね。

>>30


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