無沙汰は無事の便り、なんて誰が言ったのだろうか。 お前から声が掛からなくなって一週間が経つ。俺は変わらず待ち続けているが、本当にお前は帰って来てくれるのだろうか。帰って来たお前にもう傍には居られないと見限られないだろうか。 俺はお前さえ居れば良いが、きっとお前は違うのだろうな。いっその事、俺から手放してお前を解放させてやれたら、俺もこの呪縛から解放されるのだろうか。
今は、待って居ても良いかすら分からないんだ、薬/研。 お前が体調を崩した時に、手を握って欲しいと言ったあの日は、遠の昔にお前の記憶の中から消えているのだろうな。俺はお前との思い出に縛り付けられたままだ。 手を繋いで歩いた紫陽花畑、共に本丸の裏手で見た夜桜、夏祭りの賑やかな屋台の数々。俺が不安に駆られた時は、いつもお前が慰めてくれた事を覚えている。今となってはお前にとって、どれも心労に過ぎなかったのだろうと考えさせられる。
出逢って一年を迎えた日、お前から貰った文は大切に仕舞い込んだ。 そろそろ、潮時か。
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