今夜は中秋の名月。
…らしいが、こちらはあいにく曇り空。
あいつは月なんか見えなくても
団子ばっかり食ってそうじゃなと
想像して口元が緩む。
こんな十五夜の夜もお前さんが好きじゃよ。

今日じゃなけりゃ、意味がないと思っての。

好いとうよ。
お前さんのことが、とても。

今日はいつもよりももっと
そう感じた日じゃった。

コートの中のお前さんはもちろんだが
それよりも、俺の側にいる
そのまんまのお前さんが好きじゃよ。

また今度ゆっくり過ごせるんを楽しみに。

この頃、好きっちゅう気持ちよりも
不安や不満ばかり書き連ねとったな。
といっても愚痴や文句も奴を好いとるゆえに
出てくるんじゃけども。

好き、は本人に伝えちまうきに。
なかなか文字にする場面が少なくなったが…
そうしとるのは自分なのかもしれん。
っちゅうわけで、あいつの好きなとこでも
書こうかの。

そうじゃな…
なんにでも一所懸命なところ、か。
手を抜くっちゅーことを知らんらしい。
菓子作りも、材料からこだわるけぇの。
あいつの作る菓子はうまか。

ほかにもあるが
眠くなってきたきに今日はここまで。

定期的に来よる、あの頃はよかったーっちゅう波はなんなんじゃろ。

あいつの日記を遡っとった。
その中にいるあいつと俺。

日記のページを一枚一枚
過去にめくっとると
懐かしい気持ちと同時に来よる
時間を戻したくなる感覚。

確実に今の俺にないものを持っとる俺が
どうしようもなく羨ましくなるなんて、馬鹿げた話じゃ。

昔の方があいつはよかったんじゃなかろうか
今は本当に幸せなのか………。
そんな風に自問自答しちまう。

比較べるもんじゃなか。わかっとる。
わかってはいるが…

戻れるものなら戻りたいぜよ。

逆に

戻りたいとは思わないが
あの頃の俺たちに会ってみたい。

なんて思える日がいつか来るんじゃろうか。

その時、あいつは俺の隣にいるじゃろうか。

昔の俺になくて今の俺にあるものと
昔のあいつになくて今のあいつにあるもの。
それを見つけていくのもいいかもしれん。

寂しさだけで死ねるなら
先輩、とっくにどうにかなっちまってそう。
だから俺に、話し相手を探していいかと
許可を求めてきたんだけど。
何を隠そう俺はずーっと前、今と似たような状況の時に
先輩に、いいよって言っちまったことがあった。
…気がする。
その後、んなこと言ってすんげー後悔した気もする。
気、っつーのは、正直あんまし覚えてねーから。
嫌なことは忘れちまうらしい。
とくに嫉妬したこととか数え切れなくて
全部覚えてたら俺の頭パンクしちまうっつーの。

で、俺はまたもや、同じ選択をして
いいよって頷いちまった。
バカだと思う。
ヤだって言ったけど、先輩は毎日聞いてくる。
なんで聞いてくんだろ。
内緒でしたって俺にはわかんねーのにな。
…でも聞いてくるから最後には半ば諦めて頷いた。
そういや、前に許可した時もそんな気持ちだった。
やるせねー感じ。

嫉妬して怒る俺が好きだって言う。
嫉妬なんか今でもほぼ毎日してんのに
あんたはそれじゃ足んないんスか？

どうしたら
あんたといっぱい話せるんだろ。
平日は部活あるし
学校休みで部活ある日はいいけど
問題はそうじゃない休みの日。
全然、あんたと一緒にいらんねーんだ。
あんたといられねーから、他のことして
時間を潰しちまう。
寂しい。
先輩も寂しいっスか？
毎日日記見てるってホント？
それって俺が恋しいからなのかとか
期待しちまう。
付き合い長ぇ先輩。すっげー一緒にいんのに
まだ、こんなに、恋しい。

今週末、デートだな。
待てんのかな、週末まで。
あーーーッッ逢いてぇ…。

時間のすれ違いじゃあなく、気持ちの方が
すれ違っとる…んかのう。これは。

日記、日記とブーちゃんがせっついてきよる。
悪い気はせんがどうせなら交換日記でもした方が
手っ取り早そうなんじゃが…。
まぁやってみたところでお互い遅筆じゃけ
半月にいっぺん更新のペースになりそうじゃの。

あいつには寂しい思いをさせる日が続いとる。

離れとる間も好いとうよ。

そんな気持ちをどうやったら伝えられるんかのう。

あいつはしょっちゅう俺不足になる。
もう少し低燃費でいてくれんか。
なぁ、丸井サンよ。

………俺も然りだが。

心底、あいつの包容力には驚かされる。
あいつのそれがなかったら
今の俺たちはないだろうと思う
くらいには。

好きだから、嫉妬も寂しさも苦しさも
好きになれるんだとあいつが言う。

呆れるくらいのバカだなと、俺は思う。

…好いとうよ。

嫉妬をよくするし、される。
だからケンカも多い、多かった。
最近はどうじゃろう。
嫉妬の回数はともかく
ケンカは減ったか。
そもそも逢う機会が減った。

このまま嫉妬もしなくなったら怖いと
あいつは言うが
それは本当に怖いことなんかのう？
嫉妬がなくなればあいつは
ストレスもなくなるんじゃなかろうか。