ラストノートがわからない

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┗1065.ラストノートがわからない(189-193/207)

193 :鍾離
2025/03/06(木) 00:26

🐉🔶落花流水の情

「俺」として「彼」を語る際は「お前」と称し頁のステッカーの貼る順番を変えることにしているが、「彼」から「俺」を語る際は「アンタ」と称する差別化でもするのだろうかと思いながら。

璃月の石畳をにわかに積もらせた雪は俺が目を覚ます頃、朝露と紛れ苔のむす岩に滲みて消えたらしい。
キンと冷えた夜を裂く風が俺のピアスや外套を揺らす。スネージナヤとは異なる岩肌の冷たさをお前に教え、同時にその風が服の隙間を抜ける寂寞を教えられた季節の二周目の足取りをまた一つ進む頃合が近い。
日のある内に蓄えた璃月の新たな情報や若者の知識、その日目を覚ました花鳥風月───生憎俺の得手とする事はこの記憶力程度だが、夜毎俺の元へ帰る彼にそれらを渡すところりと表情を変え海を閉じ込めた瞳に星の光を映して笑い、時にこれは細かい好みが合わないと屈託なく告げる青年の顔がいつ見てもあいくるしい。
数年前から趣味が変わらないと皮肉を言われたら返す言葉もなく微笑むしかないのだが、俺からは百面相に見える顏が俺の振る舞いで転がるのはやはり見ていて落ち着く。

言うことを聞かせるのではなく、この小さな凡人の身体に何時からか覚えさせられた恋心が生み出す波紋の広がりを知っていて欲しいだけだ。結果として振り回しているのかもしれないが。
そうして湧いた感情に五感をくっつけ、また一つ思慕が互いに連なり積み上がる。俺の特技も利用出来る公子殿との日々に悲愴なぞ永劫に訪れないのではないか、と慢心をしたくなる程に安寧を注がれる今が尊い。
供えた香木にはにかんで擦り寄り人馴れした子猫の振る舞いで寄り添う暖かさに、そろそろお前自身も慣れたか。公子殿。
逃がしてやれる気もしない故、どうか引き続き俺と居て欲しい。

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192 :タルタリヤ
2025/02/24(月) 02:08

🐳🏹甘やかに嘶いて

ああ、もう。俺の鍾離先生ってば本当にかわいいね。

柔らかな傷と共にもう少しだけ貴殿と話したいと引かれる裾が愛おしい。
かの岩王帝君が気恥しそうに視線をさ迷わせて、むき出しの恋心を手にしながらいつもの甘え方とは違うらしい甘えを向けてくれる。
俺は明日休みだと告げていて任務もないからある程度楽しく夜更かしできると知っているのに、わざわざ躊躇って会話一つで今更恥じらって引き止める仕草が初心過ぎるんだ。
許されて愛されて、それでも俺の幸せを俺の一番近くで願いたがる。独りよがりの愛情ですまさない真摯な愛情は、引き続き俺だけのものにしておきたい。

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191 :八重神子
2025/02/14(金) 21:17

◆

🦊⛩️カカオニブと花蜜

祭りの最中じゃが渡すものは渡し、貰うものは貰い、交わすものは交わす。そういう意味じゃ、の後程編集としよう。

妾からは買い揃えた中から影好みの花蜜や薄く軽い食感、滑らかな舌触りのしょこらや酒精の入ったマカロンを。あやつからは一粒ずつ妾の好みを熟慮して選んだとびきりのぼんぼんしょこらの箱を交換した。
無論手作りの良さも分かるが、妾の場合は元からしょこらが好ましいこともありとびきりの逸品からあれやこれやと恋人の顔や積み重ねてきた好みを思いながら吟味を重ね、これじゃと思うたものを渡すことに愛情を感じたのじゃ。そも手料理は屡々渡しておるしな？
世間知らず、特に西洋菓子の専門的な知識に疎い影が背を正しながら妾の解説を童のように輝く瞳で聞く様が愛らしく、一粒ずつ丁寧に摘む指先は武人ではなく乙女のものじゃった。
じゃが、妾もきっと似たようなものじゃろう。可愛らしい狐のマスコットも添え妾好みを懸命に吟味し詰めた纏まりの無い箱の中身が愛おしく、今も若葉型のがなっしゅを摘みながら書いておる。
くふ。甘く楽しい暮らしを過ごしたいとは、眷属相手には随分と甘く拙い口説き文句よな。

それからは互いに甘いカカオの匂いを纏いながら揃いの寝巻きで少しばかり踏み込んだ乙女の密談をしておった。
最近の悩み、もどかしいこと、眠気や思考の散らばりを纏めてでも伝えたい幼子めいた告白。お喋りが止まらないんです、と含羞む眦の皺があいくるしい。
「あのですね、神子」から始まるあやつの言葉は真に知らしめたい言葉と知っておるが、其の純心は何時までも妾だけが噛み締めていたいものじゃな。
さて影よ、三川花祭は此度のでぇととして捉えて構わぬな？なぁに主催があちこち歩いて不思議はあるまいよ。嗚呼それとも汝の永遠に刻む賑わいを一つでも増やしたい、と無垢を気取る方が恋人として可愛らしいかのう？

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190 :綺良々
2025/02/12(水) 23:27

🐱📦今日のお届け・あまおう苺三パック

なんだか今日は千織お姉さんがスランプの日みたいで、お店にもわたしの前にも出てこれないみたいなんだ。
朝からしんなり、へっちょり、後で迎えに行くからねって書き残してくれた手紙の文字はなんだかしおしおしていて、いつも付けてくれるいい匂いも珍しくしていなかったの。
待ってるよ？勿論、待てるよ？わたしのことより千織お姉さんが大事だもん。いい猫又だもんわたし。
……でも、大丈夫かなぁ。瑞希先生にも出せないお悩みを書き損じた伝票の裏に落書きしても、今日に限ってお月様がぴかぴか綺麗だから余計心配になっちゃうよ。

千織お姉さん、冷たい夜風に腕をさすって居ないといいな。猫箱フォルムじゃかさかさしていて困っちゃうだろうから、千織お姉さんの為なら普通の猫又になってもふもふ暖めてあげたいな。
ひとりぼっちじゃないよ、スマートで格好いいだけの千織お姉さんがずっといる訳じゃないってわたし、知ってるよ。
千織お姉さんが一番ほしいもの、今すぐ箱に詰めて狛荷屋超特急便でたったか走ってお届けしてあげたいな。
瑞希先生に嫌なものを取って貰った後、美味しいご飯を食べてあったかいお布団で眠って、沢山の綺麗な布ときらきらなお洋服のアイディアに囲まれる夢があったらいいのになぁ。千織お姉さんがどうかどうか、テイワットで一番幸せな女の人でありますようにっ！

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189 :ニィロウ
2025/02/11(火) 00:09

🪷💃🏻鐘を鳴らす日、ふたり

大切なあなたのための日。お誕生日おめでとう、アルハイゼンさん。

アルハイゼンさんの珈琲好きはカーヴェさん補正を抜きにしても結構凄くて、偶に私にも淹れたてを用意してくれるの。私はブラックを飲めないんだけどアルハイゼンさんはそれを特に何も言わずに美味しい淹れ方を提供してくれるだけじゃなくて、私たちが築いた言いようの無い幸福を示すための"はぴ"、その"はぴ"を大皿から二人で取り分けてお腹いっぱいのひと時を心に蓄える為の"しぇあはぴ"を模索してくれる横顔が私は大好きなんだ。
ふわふわのフォームミルクと蜂蜜を混ぜて、おそろいのマグカップで今日は何をしてた、明日はあれそれをするから遅くなるかも。その為に今夜も寄り添っていたいって飲みながら話す時間が好き。アルハイゼンさんの口角が普段の小さな笑顔よりも分かりやすくなる、きっと私だけの特別。
挽きたての珈琲豆が男の人に混ざる香りがどんなものかだって、貴方の首筋から教えてもらったんだよ。この先も貴方だけではあるんだけどね。
私へマーキングをしながら顎下とか耳の裏をこしょこしょされると擦り寄りに来てくれる甘えたさんな姿がとっても可愛くて、そんな貴方が明日も私の彼氏さんでいてくれるのが今でも夢じゃないかなって考えちゃうくらいに、アルハイゼンさんが大好き。
貴方にいいことがあるように、今日はとびきりのおまじないを夜に会いに来てくれる時に渡してあげるね。

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