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┗1065.ラストノートがわからない(36-40/188)

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40 :鍾離(乱入)
2024/01/06(土) 16:56

🐉🔶年を跨いで

 璃月で新年を祝うのはもう少し先になるのが一般的ではあるが、それでも十二月の末から元日にかけては多少なりとも賑わいを見せる。この国で商売を営んだり生活をしている人々は必ずしも璃月人とは限らない。異国の催しや祝い事があれば商人や宴を好む者たちにとって絶好のチャンスであり、活気溢れる街の中、皆それぞれに楽しんでいたようだ。
 かく言う俺も、年の瀬に誕生日を迎えるとあって浮かれていた。理由は言わずもがな、気合を入れて祝いの席を用意してくれる恋人の存在があるからだ。前もって「誕生日当日は時間をくれ」と言われていたのだが、生憎往生堂の仕事があって丸ごと空けておくことは難しかった。しかし日付が変わる瞬間は恋人の隣で過ごすことが叶ったのは喜ばしい。
 0時丁度のタイミングで祝福を受け取ったのだが、それ以前に三十日の夜に帰宅してみると室内が華やかに飾られていた。更には彼自身も特別な衣装で着飾っていて、時計の針を見計らい手紙やプレゼントの数々を託してくれたのだ。
 彼は俺の髪に触れるのが好きだと言うし、俺も触れられるのは好きだ。だからつげ櫛は自分で使うのは勿論、彼に髪を梳いてもらう為に俺も自分で購入したことがある。特注のコートは取り外せるパーツがあって、以前強請った小さい毛布代わりにもなる。デザインも……多くは語らないが、璃月港で会うことがあればよく見てくれ。彼の好みと拘り、独占欲を感じる上物だ。
 その夜は、俺からも小さな贈り物を用意した。彼の故郷では誕生日を迎えた本人がケーキを用意する風習があると知り、共犯者として深夜の背徳を分け合うひと時に見たあの笑顔もプレゼントの一つとして記憶に刻んでいる。
 そして翌朝、誕生日当日。仕事に向かう俺の為に彼が用意してくれたのは立派な重箱だった。まさか三段重を持って往生堂に行くことになるとは思わず、中身は俺のリクエストした料理をはじめとした璃月風の物と、彼の故郷の味。どの料理も味わい深く、聞けば事前に試行錯誤を繰り返していたらしい。どこまでも愛情深く真面目な男だと思い知らされた。流石に全て食べ切る時間はなく数点つまんで、残りは家で共に食べることで幸せの味が染み込んだように思う。
 明けて元日。俺も休暇とあって家でのんびり過ごすと決めていたこの日は、祝いの席の礼と言っては何だが彼の願いを叶えることにした。きっかけは前日、俺が旧屋から持ち出した昔の服を着て見せてほしいと強請られたこと。旅人の口が軽いのかファデュイの情報網を見縊っていたのか……衣装を改めた俺に見惚れる恋人の眼差しにあてられるのは、恥ずかしくも悪くない気分だったから良しとしよう。その後は重の残りを食べたり写真を撮られたり、年明けから濃い時間を過ごすことが叶った。ありがとう、公子殿。

 真夜中に小さなタルトを分け合う背徳を、「幾つになった?」と聞かれ「貴殿の二つ(桁が)上だ」と笑う幸福を、今年も変わらず隣で育んでいきたい。その幕開けに相応しい休日を共に過ごしてくれた愛しい貴殿にとっても幸多き一年になることを願い、今年の一枚目にこのページを挟む。


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39 :タルタリヤ
2023/12/31(日) 00:00

🐋🏹拝啓、親愛なる鍾離先生へ

木枯らしが吹きすさぶ頃となりましたが、鍾離先生はいかがお過ごしですか。なんて、毎日顔を見ているし教えてくれた元素の痕跡を追う手紙の送り方でほぼ毎日出しているから、今更こんな書き出しは似合わないのだけど。
それでも改めて手紙を出したくなった。シンプルで特別なラブレターはもう一通の手紙に託したから、これは俺なりに先生へ贈る祝福や感謝の類かもしれない。
「こ/こ/ろ/に/近/い/こ/と/ば/を/え/ら/び/た/い/ん/だ」この一文、俺の先生なら分かるだろう?
多忙由来とはいえお祝いが三十一日と一日に分かれるのも何だかテイワット暦で年の瀬生まれの先生らしくて笑ってしまうね。

話好きの感性が好きだ。話題の膨らませ方とさり気なく俺を立ててくれる言葉選びが嬉しい、質問の突拍子のなさは毎回噎せがちだけど。考えていない価値観を知れるのが好きだ。
喜怒哀楽が好きだ。喜楽は口を大きく開きすぎず短く、でも子供みたいに。逆に怒哀は目が最初に変わる。仏頂面ではない発露が可愛らしい。
嗜好品への向き合い方が好きだ。最初に香りを確かめて食材を慈しんで、でもジャンクなものも臆せず好んで向き合う好奇心が好ましい。
我欲の出し方が好きだ。好きな物、見たいものに躊躇わず食い切るまで手を止めず時には爪で追い詰める龍の傲慢が恋しい。

こんな風に好きを並べられた俺に応えてくれた結果、神の心の空洞に浮かんできた先生の恋心を大切に撫でていきたいんだ。今度こそ俺だけが手にする、最上級の獲物。忌避していた恋慕も欠かせないと告げていた朝の散歩の習性も、北国から来た小僧一人が変えてしまったね。
ねぇ、鍾離先生。摩耗して行き着く先を恐れていたモラクスの裏側で夢を、浪漫を追いかける「鍾離」という存在は、今どんな気持ちで俺の生き方を見ていてくれているの?俺の幸せを構築する一部になりたい。俺に恋をしているから蚊帳の外で見守るだけでは足りないと告げてくれたあの時──本当は、泣きそうなくらい嬉しかった。鍾離先生から取り出された剥き出しの言葉は毛布で直ぐに包まないと傷ついてしまうんじゃないかと思うくらい無垢で、俺に向けられていい深愛なのかと何度も自分に問いて、何度も同じ結論にたどり着いた。
震える言葉と指を隠しきれずに縋ってくれた「公子」の末路の先を欲しがるのも、正直最初は憐れみもあったよ。こんなに強い精神があるのに、いやあるからこそ寂しさを正しく理解して大悪党の俺を欲しがるのかと。
でも続いた言葉を聞いて触れた箇所が熱くなった時、俺の在り方はもう違う線路を自分から選んでいたんだね。宝石の色をした目で愛おしく呼ばれるだけで堪らなく恋が湧く。この視線は俺のものだと抱えたくなる。……遠く離れた地で俺の暴れっぷりがあんたに響くだけで良かったのに。
深く抱き締めるだけじゃ足りなくて、キスで溶けたら触れ合えない。でも世界を食らい尽くした残骸の山で最期の時が来たらその時は二人の満身創痍を同じ槍で貫いて、天理を越える高い場所で跡形もなく盛大に殺しあおう。この魂一度きりのとびきりもあんただけに捧げるよ。

だから今はどうか、健やかであってくれ。穏やかな余生を俺の波止場、俺の錨として笑いながら費やしてくれ。今度時間が出来たら、彼の人にも挨拶をさせて欲しい──やりたい事も積み重なるばかりだ。
世界で一番暖かい影の下、共に笑い合う最愛の貴方へ。
誕生日おめでとう。末永く幸せでありますように。 敬具

ファデュイ執行官第十一位 「公子」タルタリヤより

…スネージナヤ特産の白樺を使ったつげ櫛とバンスクリップはまだしも、オーダーメイドコートはやり過ぎたかな?
ところで鍾離先生。俺旧屋の存在知らなかったんだけど。今度そっちの家も勿論招いてくれるんだろう?


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38 :__(乱入)
2023/12/30(土) 18:10

🔔🔒

あなたがわたしの元を訪ねてくるのは海灯祭に月逐、それから、催しも何もない日。花を手向けに来ることに特別な理由がないことも知っているし、わたしの声や気配を感じられないことも知っている。偲ぶ心を持つようになったのは嬉しいけれど、いつまでも後ろを向いてばかりいるようで、少しだけ心配していたの。
あなたが創った大地、あなたが守った民。いまは人間と仙人が共生する美しい国で、あなたは凡人として生きることを選んだ。先日持ってきた異国の強いお酒、あれはきっと、あなたの趣味ではないのでしょう?わたしは嫌いじゃなかった。でもあれは二人じゃなくて、もっと沢山の友と宴を開いて飲みたい味。次はお酒を持たせてくれた方も連れて来てね。

名も知らぬ異国の役者、脆くも強かな人の子よ。彼は強くて優しい人になったけれど、足りない知恵も体験もまだ多くある。普通の小麦で平凡に焼かれたパンをふわふわもっちりのトーストにしてくれた、と大層喜んでいたくらい、人間としては赤子のようなもの。あの人とこの国で暮らす民たちが強く優しかったのは本当に幸運だったわ。悪戯を仕掛けた汝も、塵になっていたかもしれないから。



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37 :ナヴィア
2023/12/29(金) 16:50

🌹🕶あんたと綴る恋の話

書類上は今日で棘薔薇の会も仕事納め。勿論困ってる人がいるならなんの躊躇いもなく向かうつもりだけど、一旦〆を作っておくことは大事なのよ。
お菓子の生地だって一旦休ませたりしないと美味しくならないし似たようなものだと思って。
パパとマルシラック、シルヴァに挨拶を済ませてそっと吹いた風が冷たいけど優しくて、何より見上げた空がとっても綺麗で思わず風の翼と傘を駆使してふわふわ飛び降りてみちゃった!
ねぇ相棒、この前デートした時に楽しくなっちゃってついついあんたの手を取って飛んだことまだ覚えてる?
あたしとは違う意味で野を駆け山を駆け海を渡るあんたなら慣れっこだって分かってるけど、それでもあたしはあんたと浴びる風の温度を感じたかった。
スメールの緑に満ちた国もいいけど新しい文明と自然の混ざり方が綺麗なフォンテーヌだって負けてないでしょ?……なんて、分かってたことを自慢したくなるのも相棒が久しぶりなんだから。…あ、他国に友達がいないとかそんなのじゃないから!本当に!

相棒の去年は今と同じくらい幸せに過ごせてた?
あたしも失った事はとても多いけど……それでも、あの時伸ばされた手と日々向けてくれる暖かさや、普段冷静に振る舞うあんたのちょっとした甘さ…「誰にも見せなかった顔をナヴィアに見て欲しい…と思うとつい、甘えてしまう」って隣で漏らす振る舞いの尊さを知ってるよ。だからあたしは去年と同じくらい、うぅん、ちょっと上回っちゃうくらい楽しかったって胸を張って言える。
なんたってあんたが居てくれるんだから!今年の間はちょっと時間が落ち着かないみたいだけど、それでも年明け最初のホリデーはもう予約しちゃったし…ゆったりしてるけど二人笑いあって、今持ち寄せ合える愛情を大事にしていましょ。
……少し早いけれど今年最後の日は別のことを書きたいから今の内に。今年は夏からとーっても楽しかった!次の季節もよろしくね、相棒!大好きよ!


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36 :タルタリヤ
2023/12/25(月) 22:58

  • 🐋🏹境界線を葡萄酒で

    新しいものや文化を知りたがる、臆せずに目で見た後匂いから確かめる鍾離先生の野生が何だか可愛らしい。
    璃月でホリデーシーズンは若者中心でしか根付いていないらしいから仕方ない、とはいえ冬にキラキラしたものは見ていていい気分になるから北国銀行の余りを借りて飾り付けたミニツリーのオーナメントをつついたり造木と分かっていながら楽しげに嗅いだりする仕草が妙に庇護欲を掻き立てた。
    プレゼント交換の文化を態々調べて新しい店のオードブル盛り合わせを注文してきてくれて。異国の民間伝承毎に異なる”クリスマス遊び”を楽しげに俺と甘受してくれるとついついつつきたくもなって、シンプルなネックレスの裏側に態々埋め込まれた金色の石を裏返してつけてみただけで「敵わないな」と右往左往する仕草は六千年ちょっと生きてきて経験がなかったのかとつい笑ってしまった。
    互いの洞天に用意した男二人並んで使えるでっっかい枕を贈り物にして正解だった、と今日起きた時に幸福に緩んで無防備な寝顔を見て思う。心も身体も寒がりな鍾離先生を大切に守りたくて、そういう俺の没後を撫でて欲しくて授けられたネックレスを仕事着の下に忍ばせた。前代未聞の魂の売却札だなんて冗談半分愛おしさ半分で告げたらその実間違いでは無かったらしい。……大切にしよう。

    ねぇ、鍾離先生。グリューワインのスパイスを態々五香粉にしたのは文化に馴染みやすくしたのもあるけれど、一番の理由はあんたが俺に溶けてしまえばいいと思った現れでもあるんだよ。
    甘かったりピリッと刺激があったり、でも最終的には全てが円やかになって蕩けあいたいと毎日共に寝る布団の中で考えているから。牙は抜いてないけど俺に平和ボケやら帰巣本能を少し根付かせた罪はでかいんだよ?
    だからどうか来年も俺と生きてくれ。……あぁいや、これは来週続けるべき言葉だね。兎角こうして俺達は”クリスマス遊び”を楽しんだと記録に残しておこう。
    愛している。


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