「そうだな……また、君に似合う口紅を選んであげる。ほら、こっちを向いて。」
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すっかり、メイクも落ちてしまったわ。
青み掛かったローズピンクの口紅と、夜明け色のドレス。パールが緑を抱き込む二連のネックレスも…みんな、あなたがわたしの為に選んでくださったものよ。虚ろなわたしが少しずつあなたの色に染まっていくようで嬉しかった。だから口紅だけじゃなくてもっと欲しいの。新しい靴も、リボンも、お洋服も。いっそ、わたしを飾る全てをあなたの色で塗り固めて、わたしらしさを教えて。
あれもこれも、強請っている最中に彼の両手がわたしの頬をぎゅうぎゅうに挟み込んでしまったの。頬や唇の形を歪ませて遊んでいらっしゃるようだけど…、恥ずかしいわ。みっともない顔をしているのではなくて?