「そう、『僕たちは、ひとつ』…だね。」
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わたしとあなたの魔法のことば。
出会った時から幾度となく取り交わされたそれは、ふたりの暗黙で、鏡越しの暗示で、魔法のように美しいけれど、どこか呪文めいた響きでもあったわ。
『わたし達は、ひとつ』…だけど、今ならよく分かるの。あなたがおっしゃっていた言葉の意味。涙とは、ただ理由もなく溢れて頬を濡らすものだと思っていたけれど…幸せな気持ちでも、溢れてしまうのね。
支えもなく地面に這い崩れていた庭の蔓ばらも、わたしとあなたの接ぎ木でより一層、強くなるかしら。