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┗折針入れ(131-140/1000)

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137 :金木研(東京喰種)
2015/10/24(土) 08:52

空の白さが眠りの火照りを冷ましていく。
未だ薄い意識が、夜の続きを求めて熱く涙の膜を蓄える。

煮詰めた体温の蜜は陽を受けては薄い皮膚を破いて零して喉のざらつきを顕著に見せるものだろうとも思う。何も口にしていない、秋の冷えていたはずの夜は只目まぐるしく見た色彩の落としたあざやかな風景に思考は艶を持つ。
脳の、奥が熱い。思考がうわ言のように吐息に溶けて形を持たない言葉が浮かんでは消えていく。

其の一房を絡めて弄ぶように空へ綴りと指先をくゆらせて、思草を知らない舌は只馴染むように知った肉の熱さの覚えを頼りに紡ぎ出す。
灯した熾りのほどけて、意味もなく、思考の潜る訳でもなく。動く儘に乗せていく。さながらあても意味も無けれど解いたその元の織り癖をなぞるように形を決めて嵌っていく。都合のよく行儀を決める。

作ることは息苦しい自発を強いる。
だから、形式にはまっていくのは転じて自由だ。
喰種でも人でもないことは、――
それでも僕を、此処へと繋ぐ。


――…もう少しだけ。
と。
眠りの続きを求める覚えも本当は間違って居るのだけど。得たのはほんの小休止。眠っては居ない、筈だったのだけども。

まぁ、いいか。
続きを。

今この瞬間の、もののみえかた。

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131 :金木研(東京喰種)
2015/10/23(金) 18:37

渇きと飢えは違う。
違った。

貼り付く舌に嚥下を諦め只絞り出す様力を込めた其れと違う。
癒えれば好いのだと罅割れた喉へ一滴の熱さえ求めた心地とはまた違う。
此れ以上はと煙る目に光の散るは渇きの優しげな労りの類。飢えは耳を貸すまいと血潮を沸いて首筋を掻いた。

耳鳴りは喋る。舌がさかしまの数を読む。
肌が薄い。臓の笑いが喉を濡らす。脳味噌を絞られ認知を通らぬ言語の色の、曰くは代謝とばかりに思考を滑る。

――…、
濡らした夜に縋りを遂げる。耳の奥の雨音がうわ言を塗り潰す。然し黒く塗り潰した夜も僕だけを取り残した様に。澄んだ記憶が溶けることを許さない。夜を悦ぶ腹を見透かした様に僕を刳り貫いた。
柔らかい肉を舌の腹に甘美に撫ぜるも叶わない、ファスナーの噛んだマスクだけが今の僕の唯一の救い。
「僕はもう食―――


体の具合は凄く好い。
渇いた衣擦れが、人の頃から変わらず運ぶ鼓動を抓る。
僕は、“喰_種”だ。

馴染んだ血肉が認めた様に、嚥下を成して思考を許す。酷く渇く。――飢えは、癒えた。

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