にくさあまって、
かわいさ六拾六寸。
愉しみはのちほど、ですぞ。……ンフフ、たまらぬ顔をしたってなんのその。焦らした分だけ甘露ですから。ええ、ええ、ぜひとも実践してみせましょうぞ。しばしお待ちをば、マスター。
さてと。ンンンンン、珍しく食い気味に呼び出された理由がよおく分かりましたぞ。拙僧めを騙ろうったって一千年はやい!…いやちと短いかな。
まあなに、街では、『はろうぃん』だとかいう祭事が行われていたそうで。拙僧めが適任だと!マスターのおそばであれば、いつなんどきでも適任でしょうに。およよ、ほらさみしさから涙が、……(出ない。)まったく、都合のわるい器たらありゃしない。そう、それで。その祭事とやらは、南瓜をくりぬいて飾ったり、菓子をくすねて練り歩くようで、なにより悪霊の身の振りをしなくばならないと。討ち取った頭蓋で酒盛りをするだの、鎧武者のはらわたをくり抜いて鳥に食わせてやるだの、あれらの簡易化でしょうなあンフフ…、あ違う?どうであろうと、拙僧めは悪霊のなりふりせずとも素のままですから、マスターもお呼びになられたのでしょ?なに、ひとを悪霊なんて人聞きの悪い。あいくるしいあなたの愛猫ですのに。とも言え、その祭事すら満足にマスターに差し上げられなかったのが、道満め、こころくるしくて、どうにかなりそうでございます。うらめしいどころじゃあない。こんな機会なぞ、呑気に待っているだけではマスターが骨壷に収まってしまいますから。そりゃあもう!祭事にどんと乗っかりあんなこと♡やこんなこと♡もしくば、……♡────ああいかんいかん、口に出ているとは思わず♡ンフフ…、つぎの『はろうぃん』には、復讐させていただきますぞ。柳の下より、愛慕をこめて。うらめしや。